ジゴロ探偵の甘美な嘘3〜短編集『魔法使いの赤い薔薇』〜

涼森巳王(東堂薫)

登場人物紹介、設定集


 ワレス 本名ワレサレス(ワレサ)


 愛する人が必ず死んでしまうという不幸な宿命を持つ金髪碧眼の超絶美青年。


 頭脳明晰、剣術にも優れ、たいていのことはなんでもできてしまうハイスペック男子。ただし、生い立ちが複雑なので性格は屈折している。プライドが高く、威圧的な権威が大嫌い。世をすねつつ、正義や純粋なものに憧れる。


 幼くして家族を亡くし天涯孤独てんがいこどくで各地をさまよった。

 十代の数年間、アウティグル伯爵家にひきとられていたが、そこの子息ルーシサスが死んだことで、ずっと苦悩している。


 現在(最初の話のころで二十二歳)は貴婦人のご機嫌をとってお小遣いをもらうジゴロを職業にしている。後見人はジョスリーヌ。



 ジョスリーヌ・レンド・ラ・ベル侯爵


 名門貴族なので、ほんとはもっとミドルネームがズラズラならんでる。


 初代皇帝につきしたがった十二人の騎士の一人を先祖に持つ『十二騎士』という特殊な家柄の大貴族の一人娘として生まれた。

 多くの領地を所有し、そこから入る税金で贅沢きわまりない生活がゆるされている特権階級。

 夫が若くして亡くなり、一人息子が成人するまで、みずからが爵位を継いだ女侯爵。


 たぶん三十代。

 黒髪黒い瞳のユイラ皇国では一般的な容姿。もちろん美人。気まぐれ。恋多き女だが、ワレスのことは特別に目をかけている。

 後見人であり、恋人であり、友人であり、おたがいに束縛しない。つかず離れずの関係を保っている。



 ジェイムズ・エロール・アリオン・ル・レイ・ティンバー准男爵(次期子爵)


 ル・ティンバー子爵家の跡取り。ルーシサスの従兄弟で、騎士学校時代のワレスの学友。

 とある事件でワレスと再会し、何かとかまってくる。ワレスの行く末を案じているっぽい。


 年齢はワレスより一つ二つ上。(貴族の学校は入学年齢が決まってない。さらに飛び級もあるので、同学年でも同い年とはかぎらない)


 とび色のゆるくウェーブした髪と黒い瞳。あわいグリーンの瞳にしとけばよかったなぁと作者は後悔している。容姿の記述をあまりしてないので、今からでも修正できないだろうか。できるかもしれない。


 身長はワレスより高く、華奢なユイラ人のなかでは、たくましいほう。

 温厚な性格で、ワレスにはしばしば、そこを利用されている。純粋でまっすぐな生粋の貴公子。


 実家は宮廷貴族(宮廷に出仕して役職につくことで給料をもらってる)で、ジェイムズの役職は裁判所預かり調査部という、裁判に関して調査をする部隊。今で言う検察のようなものか。



 ルーシサス・ル・レイ・アウティグル次期伯爵(故人)


 ワレスが少年期お世話になっていたアウティグル伯爵家の一人息子。愛称はルーシィ。

 ユイラではきわめてめずらしいプラチナブロンドと若草色の瞳の少年。ユイラでたまにいる、すごい美形だけど虚弱体質というタイプ。

 ワレスとの純愛に命を捧げた。


 ワレスはバイなのかなと思ってたけど、最近のすごく細かいLGBTの区分を見ると、パンセクシャル(男女無関係で好きな人を好き。性別はどうでもいい)なんだと思う。

 ルーシサスはそういう相手。


 ついでに言えば、ユイラは文化が円熟して退廃的な気風なので、ユイラ人の多くはパンセクシャル。みんな男女の区別つかないような美形だし、あんまり性別を気にしない。

 社会的には女性優位。



 ジゴロ探偵シリーズがもっとよくわかる設定集


 ユイラ皇国(ユイラ皇帝国)

 ワレスたちが暮らす祖国。

 世界の華とうたわれる大国。文化水準が他国にくらべて、きわめて高い。

 いわゆるナーロッパだが、じつは現文明が滅亡したあとに、新たに栄えた文明という設定なので、現在の風習や英語などが古代の知識として残っていたり。


 この世界には銃は存在していない。火薬は花火として持ちいられているものの、古代の禁じられた遺物として、銃を規制している。


 ユイラ皇国は国名にもなっているユイラを主神とする、十二の神を崇める多神教国家。


 北に属国ルイド大公領があり、さらにその北に南北タウロス、ダーレスなどの共和国(十二公国)がある。その上にセレニア、セイレス、グラノアの北三国。


 南には海をへだてて、友好国の六海州があり、その隣国ブラゴールは砂漠の新興国で、かつてユイラと戦になったことがある。


 西は西海と呼ばれ、いまだ謎の多い海域。


 東には深い森があり、そこには魔術全盛時代(三千年くらい前)の遺物が多数残り、魔物がいるというウワサもある。

 ジゴロがイヤになったワレスが、いずれ向かう場所。『墜落のシリウス』シリーズ。



 ユイラ貴族の名前

 貴族の名前につく、ラ、ル、レイについて。

 ラは公侯爵の名字の前に、ルは伯爵から男爵までに、レイは准男爵、騎士の家柄につける。ただし、名字を襲爵しない次男以下の貴公子、またはジェイムズのように継嗣ではあるが襲爵前の子弟にも、レイが使われる。

 ちなみに皇室や皇室の親戚筋(公爵のように臣下にくだっていない)には、リが冠される。

 ワレスのように平民に姓はない。


 そう言えば、レンドというのがあった。千年以上というものすごく長く続く家名にだけつけることがゆるされてる。家柄のよい旧家である証。


 ユイラの気候

 年間を通して常春。多少の四季はあるものの、夏冬が激しくない。ユイラではめったに雪が降ることはなく、一生、それを見ずにすごす人もいる。


 ユイラの服装

 基本的には男女ともローブにマント。女性は裾の長いドレス風ローブ。男性は膝丈で素足に編み上げブーツ、またはローブの下にキュロットスカートっぽいボトムス。その場合は編み上げではないサンダル。

 そういう軽装が気候にあってるため。


 ユイラの食べ物

 お茶はリンナという茶葉をひいて粉にしたものをミルクで煮立てる。これはリンナール。抹茶ミルクだと思ってほしい。粉にせず茶葉を沸かしたやつがリンナーナ。

 十二公国から入ってきたコーニン茶は紅茶っぽいもので、味わえるのは貴族や金持ち。


 同じく小麦は十二公国がおもな産地で、ユイラではクルスミという木の実をひいて粉にし、パンにしている。


 ジゴロ探偵シリーズでは、しばしばブドウ酒が出てくるが、じっさいは市民にはザマ酒という果実酒のほうが一般的。ザクロっぽい果実を使った甘酸っぱいお酒。色は赤い。


 肉はおもに牛、羊、鶏。牛乳や羊毛、卵を得るためがメインで牧畜してるので、肉は一般市民にとっては、ひんぱんに食べるものではない。養豚はしてない。貴族たちは狩りをするので、鹿、熊、イノシシ、ウサギなども食べる。


 ユイラの人種

 ユイラ人は単一民族

 特徴は黒髪、黒い瞳。透きとおるような白い肌。身長は平均百五十〜百七十センチていど。小柄で優美。美形が多く、神々の末裔、神々のような人々と呼ばれる。


 ユイラの皇室の祖は国名にもなったユイラ神だと言われている。ちなみにユイラ神は最初の神である男神と女神が一体になった姿で、双頭の神。いわゆるシャム双生児のような姿。


 このへんのユイラ神話は、ユイラの建国にかかわっているのだが、ジゴロ探偵シリーズではそこまでファンタジックなことは書かないようにしている。ミステリーなので、論理で解き明かせないものは排除。

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