第6話 ただスカートの中を覗きたい

「登録が済み次第ご連絡させて頂きますね」


 色々あったが、ギルドへたどり着いた俺たちは冒険者登録の申請を済ませた。

思ったよりも簡単な作業だったが、人が多いせいで時間がかかってしまった。

 このギルドの中はどこを見ても鎧などの防具を纏った男や女だらけ。

 ここは食堂も兼営しているため、食事をしている冒険者の姿もあるが、誰を見ても酒は必ず飲んでいる。羨ま…けしからん。


「優香さん、帰りますか」

「そうね」


・ ・ ・


 今まで気にしなかったが、この世界の子はみんな可愛いんだなぁ。街を歩いている女性なんてスタイルは良いし服装が際どい!

あんな短いスカートよく履けるな……。

もし俺が女子でも履きたくはないな。

 隣を通り過ぎていく彼女たちのスカートを眺めていた俺は、全力で走って風を起こしたらパンチラを拝めるのではないかと思った。

試してみる価値は無くはないな。

それに、最近運動不足だったから軽くジョギングするだけ。そうだそうだ。


「優香さん、俺ちょっと走ってきます」

「えっ、急に何言ってるのよ!」


 普段の走るときのフォームと同じ。体を前にゆっくりと倒し、つま先に力を込める。

 ただスカートの中を覗きたい。

その一心で、俺は一歩踏み出した。

たったのひと蹴り。それだけで俺は数十メートル以上は進んでしまっていた。

 両足を地面につく頃には、俺の後を追うようにして強い風が吹き、願い通り世の女性のスカートをめくることができた。

 よっし、もう一回いってみるか!

調子に乗った俺はもうひと蹴りしてみた。

——ピンク、白、黒、透け透けレース!

 すれ違っていく女性たちの姿に目を奪われていると、うっかり壁に衝突してしまった。


「いててて…」

「おい、そこのお前」


 ドスの効いた低い声が俺を呼ぶ。

見上げるとそこには熊のような大男。

分厚く重そうなプレートを纏うその男の顔は傷だらけで、どこからどうみてもアニメで出てくるような海賊の見た目をしていた。


「す、すいませんでしたぁ!」


 次会ったら絶対殺される!

そう思いながら、地面を蹴って逃げ出した。



「なんでそんなにもバテてるのよ……」

「なんでもないです…早く宿に戻りましょう…」


 肩で息をしながら優香さんにそう言い、周りを警戒しながら宿へ戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る