第61話
「報告します。旧テイラー伯爵領にレッドドラゴンが現れました。至急、各部隊と連絡を取り向かって下さい」
旧テイラー伯爵領は伯爵が亡くなった後、継ぐ者が居なかった為、今は王家管理の土地。そしてレッドドラゴンは竜種の中でも上位種であり、勿論希少種。普段は山の奥に住んでいて伯爵領には居ないはず。嫌な予感しか無いね。
並大抵の騎士では歯が立たないのでこれは王族の誰かが討伐しにいく事となる。どうやら緊急会議の結果、魔法師5名、魔法騎士10名、騎士30名、治療師2名で向かう事が決定。兄とアーサーが参加となった。
私は父に掛け合い、無理矢理治療師補助として参加させて貰った。持てるだけの魔法珠とエリア結界が張れる道具を持って行く。
王都から1日の距離を魔法師達の力で3時間の行軍となった。私は勿論馬車の中。現地に着くとドラゴンは建物や森も破壊しながら歩いて王都の方向へ向かっている様子。
号令と共に騎士達はドラゴンへと向かって行く。私は早速、魔法珠のエリアヒールを用意する。次々に兵士は傷付きエリアヒールの場所に運ばれ治療師から治療を受ける。
魔法騎士団は各自得意属性を剣に纏わせ攻撃しているが、流石は上位種、ダメージが少ない。アーサーが尻尾を斬り落とし、兄が氷で攻撃し足止めしている。後少し。
と、思っていると1人の魔法師がアーサーに向かって魔法で攻撃してきた。
一瞬の事でアーサーの体勢が崩れ膝をついたその瞬間、隷属の首輪をアーサーに嵌める。
アーサーがそのまま微動だにしなくなった。私は居ても立ってもいれずに走り出した。
「あの魔術師を拘束せよ!」
大声を張り上げ、魔術師に拘束魔法を掛ける。
「そこの騎士3名、アーサー殿下をエリアヒールへ移動させよ」
拘束された魔法師は
「は、は、はは…。やった」
と声を出している。動かれては堪らないのですぐさま魔法珠で強結界を作り魔道師を放り込む。魔力消費が激しいので1時間持たないかも知れないが、討伐の邪魔をされては困る。
「お兄様、アーサー殿下の方を宜しくお願いします。私がドラゴンと対峙しますわ」
「さぁ、私がお相手致しますわ。死にたく無ければみな下がりなさい」
アーサーをこんな目に合わせたやつ死ねばいいわ。ドラゴンに向き直り、無数の小さな結界をドラゴンの足や口に掛ける。
【荊棘と雷よ我と共にその力を示せ、グリーンウィップ・サンダー】荊棘の鞭に雷を纏わせてドラゴンへ叩き込む。
動けずにいるドラゴンへ更に何度も鞭の攻撃を叩き込む。【風よ最大限に圧縮し刃となれ、ウインドスラッシュ】ドラゴンの首を斬り落とすとドラゴンはその場で倒れた。うん。ばっちり倒せたわ。
唱詠って面倒なんだけど、力を集中させて纏めやすくなるからいざという時は使わないとね。ふと、振り返ると何故かみんなが注目している。あれ?なんで?グロかったかしら。圧縮空気銃で頭一撃した方が良かったのかな。
とりあえず、今はアーサーよ。アーサーの方へ向かう。アーサーはかなりの魔力が消費されているのが見える。
魔力切れに近く、動けずにいるみたい。私の純粋な魔力を吸わせた手のひらサイズの魔法珠をアーサーに向かって投げると魔法珠は割れ、アーサーの全身が光る。
「アーサー。大丈夫ですか。」
「あぁ、アイラのおかげでもう大丈夫だ。それにさっきので隷属返しが出来たよ。あの魔法師はもう俺に逆らえない。」
アーサーの足元には隷属の首輪が転がっており、代わりに魔法師の首元には隷属の模様が刻まれている。うん。私凄いわ。
この場はこっそり自画自賛してもいいよね。
怪我人は治療師達のおかげで元気そうだし良かったわ。
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