第30話

 父は陛下と今後の話があるようなので残るとの事。私は1人用意された自室に戻ろうとするとリカルド殿下とアーサー殿下が自室までエスコートしてくれるらしい。両手に花だわ。


「アーサーのお嫁さんになっちゃったかー。残念。今でも変える気はない?僕、アイちゃんの作る唐揚げが気に入ったんだよね。胃袋掴まれちゃった感じ。また作ってね」


そう言うとリカルド殿下は手を振り執務室へと戻って行った。


 アーサー殿下はやっと行ったかと言わんばかりの顔をして手でしっしっと払っていた。私はアーサー殿下に連れられ、そのまま王族専用の小さな中庭に案内され、2人でお茶をする事になった。


「やっと婚約者になってくれたね。嬉しいよ。でも、王妃教育が無くなるって事はアイラが王宮に泊まり込むのが無くなる。と思うと寂しいな」


そう言ってニコリと微笑むアーサー殿下。やっぱりイケメンね。枯れた私でもドキドキするわ。


「それと、アイラが卒業するまでに最低魔法剣100本の納品が必要になると思うよ。少数精鋭の魔法騎士団になるだろうけど、それなりに数は必要だからね」


なんと。家に帰ってたらすぐに取り掛からねばね。魔法使用で本来の鍛造より日数は減るが、きっちり鍛造するために日数はかかりますよ。兄や父に刻印は投げよう。そうしよう。


「アーサー殿下、本当に私で良いのでしょうか?私は浮気する人は嫌いですよ。妾を作るのも嫌いです。もし、浮気するなら今からでも婚約解消してもらっても構いませんわ。私の魔力や研究を押さえておきたいための婚約ならなくても大丈夫ですわ。私は王宮の片隅で作り続けても良いのです」


「アーサーと呼んで。前にも言った通り、アイラに一目惚れしたんだ。僕は浮気なんてしないし、これからもする事はないよ。僕はアイラを一途に愛し続けるよ。卒業と同時に結婚となると思うと嬉しくて待ちきれないね」


浮気しないと言質いただきました。さて、王妃教育も無くなったので急いで領地に帰らねば。


殿下は明日まで居てもいい、なんならずっと一緒になんて言ってだけど、やっぱり研究するなら自邸がいいよね。ゆっくりできる。


 すぐさま荷物を纏めて父の帰宅時間に一緒に帰る事にした。父も一旦領地に帰ってくれるらしい。



 領地に帰ってからは毎日領地訪問と魔法剣作りに勤しんだ。兄も魔法を使った鍛造が出来るようになったため、一緒に魔法剣造り。仕上げの研ぎは勿論私。妥協は許さない。



どこぞのスライムのようにコピー出来たら良いのに。

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