第2章 物語は流転して

第13.5話 バッドエンド3  また明日

第13.5話


それから、数ヶ月は何も起きなかった。


何故か金剛が絡んでくる様な事はあったが、それはどうでも良い事だろう。


アレからアイツ等が関わってくる事がなかったのは幸いだろう。


それに傷も大分楽になってきた。


慰め合うのも終わりが近付いてきた。


香織との関係も変えなければいけない日が来るかもしれない…


はぁ、どうした物か…


「リューくん♪」

「…朱里か。」


最近関わってこなかったアイツが、何故か話し掛けてきた。


今日は久しぶりに一人だ。


理由?香織が風邪で休んでるからである。


今から見舞いに行く予定だったのに、どうしてくれようか…


「何の用だ?俺は今急ぎの用があるんだが…」

「…そうなんだ。ごめんね、直ぐに終わるから、よく聞いてね♪」

「…はぁ、何だ?」

「私と結婚してください!」


……………………………………………………はぁ?


コイツ、今なんて…


耳が可笑しくなったのだろうか?


「ふざけるな!アイツは、賢人の奴はどうしたんだよ!」

「えっ、あのゴミ?そんなのは関係ないよ!で、リューくんは私と結婚してくれるの?」


どうも話が噛み合わない。


しかも、吐き気までしてきた。


ふざけるなよ…


「だったら、何で俺を振ったんだよ!お前には彼氏が居るだろ!もう俺は関係ないだろ!何で俺なんかと…」


そう俺が叫ぶ中、朱里は俺を抱きしめてくる。


「大丈夫だよ、リューくん。私は貴方以外を選ぶ事なんてしないから…」

「あ、朱里…」

「だから、安心して?私に委ねて?」


と、優しくキスをしてくる朱里。


触れる唇からは、優しくて甘い嘘の味がした…


「………………………………………………違う。」


そして、やっと気が付いた。


「何が?」

?お前は朱里じゃない!」


そう叫ぶと、朱里は…


「はぁ、何で?何で?リューくんは私が誰か解らないの?ずっと、ずっと貴方の事が大好きだったのに?」

「俺も朱里が大好きだった。だからこそ、解るんだよ!お前は誰だ!」

「朱里だよ?私は正真正銘、雨崎 朱里だよ?もしかして、あの雌豚に汚されたのかな?なら、消毒しなくちゃね!」

「くっ、お前…」


急に何かを突き出してくる朱里から、何とか紙一重で避ける。


よく見ると、昔防犯対策としてプレゼントしたスタンガンだった…


「何で避けるの?素直に喰らってよ!」

「避けるに決まってるだろ、偽物女!」

「偽物?偽物はあっちの方なのに、酷いねリューくんは…。やっぱり、あの雌豚に可笑しくされたんだ…」


話が通じない、早く逃げなきゃ…


「あっ、逃さないよ♪」

「がっ!?目、目が!」


朱里の偽物が懐から出した銃みたいな物が、俺の目を撃ち抜く。


ちくしょう、エアガンまで持ってるのかよ!


目が痛すぎて、マトモに思考できない…


「やっと大人しくなったね!じゃあ、バラしちゃおっか!」


痛みに倒れた俺に、偽物は包丁を振り下ろす。


痛い!何でこんな事を…


「ごめんね、リューくん。でも、こうしなきゃダメなの。こうしなきゃ、やり直せないの。」


やり…直す……?


一体………何を…………


「だから、死んでねリューくん。また、明日♪」


続く

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