追悼37 偽善者はマウントを取りたがるものです。
財 津「船旅は退屈過ぎるな、俺には」
三 上「私も同感」
神宮寺「おふたりは野獣だもんね。僕は思う存分、ネットを愉しんだよ」
蜷 川「私も過去の少年犯罪で触法少年に該当する記録を洗い直す時間となり有意
義に過ごせましたよ」
財 津「少年犯罪で言えば、酒鬼薔聖斗が印象的だなぁ」
神宮寺「それなら僕も知っているよ」
三 上「いま彼は、一般人として家庭まで持っている。亡くなった子と親の理不尽
な思いは忘れてはいけないわ。罪を憎んで人を憎まず、なんて偽善者の慰
め事か犯罪者を受け入れる社会の言い訳にしか聞こえない」
蜷 川「確かに…。更生ありきの法では犯罪者の社会復帰に重きが置かれている。
微罪にせよ重罪にせよ再犯がある限り、私は疑問に思えるのも確か」
三 上「確か懲役・禁錮から拘禁刑に。懲罰から更生へと改正されたわね」
蜷 川「はい。考え方を改めさせるプログラムが導入されるんですが、受け入れる
社会が未成熟では…。監視下にある公的機関での更生が認められれば、一
般企業にというようなシステムが必要かと僕は思います」
神宮寺「本人は更生した気でも社会の冷遇は少なからずあるだろうね。それに耐え
られずまた横道に逸れてしまうのが再犯の常套だろうね。メンタルを鍛え
るしかないよね。労役は刑務所内なら効果はあるけど、自分自身を治する
道徳心が育たない。監視の目がなければ、犯罪に走るでは意味がないから
ね」
三 上「飲酒運転もあおり運転も、携帯電話を掛けながらの運転も。取り締まって
も常習者は繰り返す。罪への意識が低すぎるのよ」
蜷 川「厳罰が抑止になるか、は、議論の余地はありますが、それには周知が大切
ですよ。でも、反面、自暴自棄からより凶悪犯罪に走るデメリットも大き
いのが気の抜けない事実ですよ」
財 津「島国日本の子供から躾が当たり前になっているような感覚で外国人を受け
入れれば犯罪は凶悪化するだろうな」
神宮寺「それは偏見だ、と言われるから言わない方がいいね。事実でも」
三 上「桃が大量に盗まれ転売される事件など今までの日本では考えもしなかった
わよね。でなければ、無人販売所なんて成り立たない。自動販売機でさへ
ね。だとすれば、人権とか言う前にモラルの有無を問うのが優先されるべ
きでしょうね。少なくても卒業は兎も角、大学に通っていた、が最低条件
になるでしょうね。でなければ、就労・長期滞在者には、モラルの半年の
教育が必要ね。企業従事経験年数とかね」
蜷 川「同意します。やり方は別として。要は物の考え方が大雑把なのが犯罪を誘
発させているのは否めない。それを知育の環境のせいだと目を背けている
に過ぎない行政の怠慢というか、政治家などの無責任な考え方が災いして
いると断言せざるを得ない。花粉やウイルスを家に持ち込まないのは予防
の認識からで至極当然の防御策です。これが人間になると差別だと騒ぐ者
らし、正論者を追い込み黙らせる。私から言わせれば、悪い奴ほど、大声
で吠えるものです。その象徴的特徴は、他人の話を聞かない、凝り固まっ
た考えを貫き通す輩ですよ。議論にもならない輩は、厄介な者ですよ」
財 津「政治家さんに聞かせたいねぇ。自己保身とか綺麗ごとを並べて国民を騙す
のに躍起になっている奴らに」
三 上「厄介な奴らを見抜くのは簡単よ」
財 津「えっ、何、何、何」
三 上「政権交代が目的な輩よ。民主主義を唱えながら合議制を受け入れていない
おバカさんたちよ。多数決できめるなら、多くの賛同を得るための努力を
すべきであり、聞くべき側も損得勘定を考えず、国民の為に妥協すべきは
妥協する寛容さを備えるべきよ。発案者と実行者で成果を分配すればい
いのよ」
財 津「理沙からそんなことを聞くとは思わなかったわぁ」
神宮寺「言うう事を聞かない者はぶん殴って黙らせるの見た目だものね」
三 上「神宮寺、君」
三上は、微笑みながら握り拳を見せた。
財 津「理沙、やめろ。折角いい話をしているのに」
三 上「ゴメン、普段のストレスがでたわ」
蜷 川「そのストレスは、被害者のモノに似てると思いますよ」
財 津「確かに」
三 上「司法の人間は社会ズレしている。だから裁判員制度が導入された。でも、
司法はまた自分たちと考えが違うとシステムの欠陥を突いて覆し、自分た
ちの考えを押し付ける。金太郎飴か」
財 津「それに終止符を打つのが俺たちじゃない」
神宮寺「そうだね」
財 津「綾小路さんはどう思います」
綾小路「耳が痛い、という処でしょうか。おっしゃる通り合議ではなく敵味方を明
確にしマウントを取る事ばかりに凌ぎを削っている感は否めませんから。
政治家に関わっている者としては、意見の食い違いは、賛同の数でなく、
内容に重きを置くべきです。そのために政治の中にも裁判員制度のような
公約や政策に意見できる機関があればいいと思います」
神宮寺「第三者委員会ってやつ」
綾小路「あれは役に立つことはありません。あれは、臭い物に蓋をするの蓋でしか
なく見ない事にするためのまやかしの機関ですから」
蜷 川「政界に通じる綾小路さんの言葉だけに醜さが浮き彫りになっていますね」
綾小路「すみません。今のは聞かなかったことに」
財 津「残念、もう聞いちゃいました」
神宮寺「僕も」
三 上「私も」
綾小路「みなさん、イジメないでくださいよ」
三 上「それは誤解よ。賛同しているのよ、ね皆」
財津・神宮寺・蜷川は、綾小路に「お~」と笑みを浮かべて答えていた。
雑談を重ね一行を乗せたキャンピングカーは、綾小路が用意した高級宿泊施設に到着した。そこは、プライベートを確保した個別のコテージが建ち並ぶ優雅なものだった。暫くして一行のコテージの前に車が数台止まる気配がした。
綾小路「来たみたいですね」
神宮寺「誰?」
綾小路「調査部隊とでもいっておきましょうか」
神宮寺「僕たち以外に動いてくれた人たち?」
綾小路「彼らには私たちの目的や詳細を伝えていません。単に雑誌や放送局の取材
と伝えてありますので…そうですねぇ、取材、というワードで彼らに接し
て貰いましょうか。あなた方は制作スタッフということでお願いします」
財津が、一行の代表して了解と頷いて見せた。
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