追悼31 子は国の宝なら、救済は国?
財 津「10人の加害者の未来と1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。1人の
被害者のために10人の加害者の未来を潰してもいいんですか、と平然と
答えた奴がいただろ」
三 上「北勢中学校副校長・名嘉山健司ね。この発言を正しく伝えると、自分を含
めて11人ってことね。最も守らなくてはならないのは、実績を積んでき
た自分で在り、馬鹿な奴らじゃない。奴ら等どうなってもいい。飛び火さ
せるな、本当に迷惑な話だ。その主張を通すために数字的に1と10の比較
で誤魔化そうとしただけ。本人には悪気はない。ただ、上に立つ者、教育
者として、いえ、人間として最低な奴よ。こんな奴らが牛耳っているから
世の中が可笑しくなる。教育現場は日本の恥部の縮図よ」
財 津「理沙も感情的になっている~」
三 上「その口、塞いでやろうか、この拳で」
財 津「ほ~、こわ」
蜷 川「自分が有能と考える権力者は、対応能力に欠け前に進むことより、事なか
れ主義を推奨して隠蔽に走る。そんな事例を嫌と言う程、見せられてき
た」
財 津「無能な人間が権力者にはなれないでしょう」
蜷 川「私は悪魔の運だと思っている。功績でなく、愛想がいいか媚を売るのが
上手いか、単なる社交的かというね。実力のある者は寡黙なものだ。研究
者がいい例だ」
財 津「志が活かされない選挙制度か…。難しいね」
蜷 川「だからこそ、議論できる教育が急がれるんだ。何故?を根拠を持って議論
できる考え方を必要とする、それが余りにも欠如している、残念な事だ」
三 上「論点がずれているわよ」
蜷 川「ああ、済まなかった。でも、私にとって無駄な時間じゃなかったよ」
財 津「何故だか聞かせて貰える」
蜷 川「誰も否定をしない、押し付けない。まず、受け入れ考える人たちだと分か
ったからね」
三 上「確かに」
蜷 川「じゃ、改めて整理してみましょうか。被害者女子が中学に進学後、二年上
の生徒からイジメを受ける。この年齢の二学年差は大きく、主従関係に陥
りやすい」
財 津「この年齢じゃ初めて見る大人の世界って感じだな。差し詰め、役員に言い
つけられる何も知らない、判断できない新入社員との関係だな。イジメら
れる側には恐怖だな」
蜷 川「被害者の母は担任に相談する。担任は加害者に真偽を直接確かめる」
三 上「そこで担任は大きなミスを犯す。加害者に被害者を認知させてしまう。こ
れでは、あなたを密告したのは○○だと知らしめているのと同じで、その
後、仕返しを受けるという配慮を軽視したのは許せない失態よ」
神宮寺「その配慮がなかったことによって、イジメは更に激化するんだ」
蜷 川「被害者は、川に飛び込む。加害者グループの前で。この際、被害者が学校
に助けを求め連絡を入れ、学校は警察に届ける。警察は、現場にいた少年
たちと目撃者から事情を聴く」
三 上「ここで警察のミスが発覚。被害者が家庭内の虐待を受け、それを苦に川に
飛び込んだという少年グループの証言を鵜呑みにする。馬鹿げている。状
況を見て判断できないのは落胆しかないわ。知らせを受けた母を遠ざける
行為を被害者保護を理由に正当化していたが、それ以前の問題よ」
財 津「まぁまぁまぁ。目撃者が事実を証言してくれたから、ここではスルー」
三 上「初動捜査の大事さがわかるでしょ。もし、犯人がそこにいれば取り逃す事
に、はぁ~イライラしてきた」
神宮寺「落ち着いて」
三 上「あんたに言われるんなら受け入れるわ」
神宮寺「どうも」
蜷 川「少年たちの虚言は、警察が調べたスマホのデータで暴かれる」
三 上「川に飛び込んだ。その状況の目撃証言がある。この段階で何故、少年たち
が嘘をついたのか、イジメを充分疑わせるスマホのデータ。ここで対処し
ていれば、起きなかった事件だわ」
蜷 川「警察はイジメを認め厳重注意処分を行う」
神宮寺「それって、やめようね、で拘束されたりしないよね」
蜷 川「しない。解決にも何もならない。更生を目的としたものがそれを妨げる要
因になっている、それが触法少年の廃棄に値する壁だ」
神宮寺「弁護士同伴の元、謝罪の会を実施されるが、該当中学の校長・副校長が拒
否しているよね、教育現場に弁護士を入れるのは反対だ、と」
三 上「犯罪者は、裁かれることを嫌うものよ、認めさせられたくないから」
綾小路「その後、旭川市教育員会の指導で開催されています」
神宮寺「でも、録音禁止、教師出席なし、当事者のみって、知られたくない事がて
んこ盛りだと白状しているようじゃない。事実を受け入れられない奴らの
典型的なやり口だね」
蜷 川「被害者は引越・転校を行い、1年半後に被害者は家を飛び出し、失踪、そ
の1ヶ月後に凍死した状態で発見される」
財 津「だな。神宮寺君の調べたものは無駄じゃないよ」
神宮寺「ありが・と」
蜷 川「この事件は、時系列が長期間で調査報告が進まない。19年6月の飛び込
み事件は事件として解決済み。21年2月、家を飛び出した原因。21年7
月、重大事態と認定。被害者のPTSDの原因も科学的な検証が必要とされ
る。飛び出しとPTSDの因果関係もね」
財 津「文部科学大臣がこの問題を国会で取り上げたね、萩田浩司さんだっけ」
綾小路「はい。参議院議員の決算委員会で旭川の事件で学校側が何も公表しない対
応にしっかり対応すべきと答えたものですね。役人目線で見ると大臣はこ
の事件を知っている。対応すべきは、学校・教育委員会にいい加減なこと
は許さないの圧力だった。この際、議員からこの事態が進まなかったらど
うされるんですか、と詰め寄る質問があった。進まなければ文部科学省の
職員を現地に派遣する。場合によれば、直接、現地に入って指導する、と
明言されました。個別の案件に関しては、という官僚答弁をしなかった。
これは異例なことでした。この翌日に市の教育委員会がこれはイジメの重
大事態と認定した。国が地方に睨みを利かせた出来事でした」
財 津「議員・役人を抑え込むのは、国かぁ。国からすれば、小さい旭川の教育委
員会に何故出張らないといけないのかと憤慨しているだろうな」
神宮寺「旭川の役人はパニックじゃない」
三 上「そうね。市の上が道府県。その上からおらおらおらって乗り込まれたら、
縮こまるわよね、知事、困るって」
神宮寺「理沙さん、親父ギャグ、いうんだ」
三 上「おっさんたちと仕事をするには必要よ」
綾小路「職員を派遣しますという時は、既に派遣され、動いていることを意味する
場合が多い。だからすぐに認定がされた。校長・副校長・先生からすれば
首・降格など何らかの罰がちらつく。市の教育員会にはその権限がないか
ら第三者委員会を立ち上げて、やってます~、が通じるが、国が出てくる
とそうはいかない。だから、北勢中学校校長・兼昆敬は、立心共同党の指
示を受け、衆議院議員選挙へと逃げた経緯があります」
神宮寺「ずる~い」
綾小路「学校の問題は、権限の複雑さで、学校が隠蔽すれば見え難いのです」
神宮寺「学校の問題は、国の機関が権限を持ち、裁断を下さないと繰り返すね」
綾小路「私もそう思います。教育現場の公安警察のようなものが必要な時代でしょ
うか、私立も含めてね」
財 津「首輪が緩いから、教育現場で反日運動や思想が蔓延しているのかぁ」
綾小路「それは…。今回とは別の問題としましょうか」
三上は、財津に向かって、口にチャックのポーズで諫めた。
蜷 川「学校問題の被害者は国が守る。そうすれば、市町村・都道府県の教育委員
会や学校は、国に睨まれて動かざるを得ないでしょうね」
綾小路「この事件は、確実に防げた。自分の保身、大人の対応、救済機関の脆弱さ
などが浮き彫りになった事件かと。だから、悔しいのです」
三 上「加害者の中で責任がうやむやになり、ノリと勢いで犯行が加速。その地域
の当たり前が他の常識ではない状態で起こった事件だけに、特定するのは
難しいわね」
蜷 川「だからこそ、私たちがやるのです。鬼になろうが悪になろうが。それが、
抑止力になるなら。いや、被害者の救いになるのなら」
神宮寺「それに新たな被害者をうまないためにね」
蜷 川「私たちの間違いは、閻魔大王にお任せしましょう」
財 津「ですね」
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