追悼07 我が物顔の悪態ー影狼の法廷・触法少年
「これ?見た」
「会合、ひらかれてないわねぇ」
「知らないわよ」
「でも、ここにPTA会長って連名が…」
「私たちの知らない所で何か、起こっているの?」
終息を図りに掛かったの兼昆敬校長の見え過ぎた工作は、保護者の疑念・不信感を抱かせるものになった。
桜子の母・静江は、配布物を見て、娘に起こった悲劇を消し去ろうとする学校の姿勢に絶望感を覚え、兼昆敬校長に直談判に押しかけたが対応したのは、名嘉山副校長だった。現状を訴え改善を願う静江は、名嘉山副校長を問い質すと、耳を疑う言葉を浴びせられた。
「あなたねぇ、10人の加害者の未来と1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。1人のために10人の未来を潰していいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。冷静に考えて下さい」
事なかれ主義の兼昆敬校長への忖度と自己保身のための名嘉山副校長の発した言葉は、静江を不毛な意思のぶつけ合い徒労に終える虚しさを痛感した。
「…娘を何だと思っているんですか」
徒労は、言いようのない虚しさと絶望感を引き寄せる。
「分からない人だなぁ、1人と10人ではどちらが大切なのかの話ですよ」
話がかみ合わない失望感は、気を強く保ち対応しようとしていた静江を崩壊させていく。
「なら、娘の記憶を消してください」
咽び泣く静江を見て名嘉山副校長は、勝ち誇ったように言い放った。
「あなた、狂っている?まともじゃないですよ」
母・静江は、自分の無力さに膝から崩れ落ちた。
学校側は、権限を持ってイジメに介入した。まず、やるべきことは、被害者1人の未来を救い、次に、加害者10人に「責任を取らせる」ことで社会常識を学ばせて、その10人の未来を正すことだ。
日本の美しい伝統と慣習を憂い、反日を唱え、他国に寄生し、場合によれば寄らば指導されることを好む輩の考えが蔓延する今の世では、自分たちを指示してくれるいかれた加害者10人を守ることで、過度な自己主張をすることなく粛々と生きる真っ当な1人の被害者を見殺しにすることを良しとする世界を作り出していることに気づくことを忘れてはならない。
兼昆敬校長と名嘉山副校長は少なくとも、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った者(地方公務員法29条)として責任を与える必要があるのでは…。
最高権力者が毅然とした態度を取れず、いや取る事を拒み、場合によれば正論を言う者を排除し、公然と罪を犯しても責任を取らない出来事が続く中では、日本民族全体が破滅に向かって進んでいるとしか思えない虚しさに憤りを禁じえない。
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