不遇な俺が手に入れた育成スキルで造られたヒロインのレベルマックスを目指す
三流木青二斎無一門
設定流し 断章の頁
スキルを設定した所で早速実験を開始する事にする。
俺はまずアルトリクスにペンギンを出す様に指示をした。
「はい、ペンギンですね、いきますよ?」
スキル『人鳥の共鳴』によってアルトリクスはペンギンを呼び寄せる。
其処から出現したペンギンが、砂場からひょっこりを顔を出して、体を震わせながら穴から飛び出て来る。
「こいつらに、試しに『断章の頁』を使用してみてくれ」
「はい」
アルトリクスがスキルを使用しようとする。
『
・対象の能力を破棄させるスキル
・ランクEの為、手に触れる事でしか発動出来ない。
・ランクEの為、事前に対象の能力を知っておかなければならない。
スキルはかなりの制限がついているが、既にアルトリクスが召喚した『爆弾の皇帝人鳥』のスキルは承知しており、彼らは彼女の手の触れられる位置に存在している。
アルトリクスがペンギンに触れる。頭を撫でられたかと思い、目を細めるペンギン。
スキルが発動されると、白い光が彼女の掌から光り出して、ペンギンの頭から黒い靄の様なモノが吸収された。
俺は、スキルが発動し終わったのだと思って、ペンギンに向けて自らの能力鑑定を発動させる。
ペンギンのスキルは二つある内の『推力加速』と『自爆破壊』の内、『自爆破壊』の方が抹消されている。
「これで、ペンギンが自爆する事はないな……他のペンギンにも使用してみてくれ」
アルトリクスが他のペンギンたちに手を翳して、次々と『自爆破壊』のスキルを破棄させていく。
そうして、召喚されたペンギンの約八体は『自爆破壊』を失ったペンギンであり、心なしかペンギンたちは嬉しそうにアルトリクスの方をヨチヨチを擦り寄っている。
『断章の頁』、スキルを対象にするとは書いて無かったが、ある程度はスキルを選択して除去出来るようだな。
これは中々使い勝手が良いスキルになりそうだ。
良し、スキルを確認した所で。
「手頃なエネミーは居ないか?」
俺は周囲を見渡した。
「エネミーですか……こういうとき、あのスキルがあれば便利ですね」
あのスキル、と聞いて俺はスキル解放欄に乗っているスキルを思い浮かべた。
恐らくは『
あのスキルの効果上、他のエネミーを察知する事が出来るらしい。
しかし、察知すると言うだけであって、特定する事は出来ない。
どうせスキルを習得するのならば、察知、または特定が可能なスキルを習得した方が良いと思う。
今回の様にあくまで実験として活用している場合、不用意にスキルを習得するのは頂けない行為だ。
これが初期のスキル選択であれば、まだ使い捨てが出来たんだがな……。
最初期の頃、スキルを選択する際に、スキル所得枠が一つだけだった時、その時はスキルを捨てる事が出来た。
所得枠が増えると、何時の間にかスキル忘却と言う項目は消えていた。
だから、初期の時に出来たかも知れないスキルの使い捨てを試せていたのだが……。
「……ん?」
俺はふと考えた。
そして、スキル解放欄を展開させて、『害悪の視線』を選択して、アルトリクスに取得させる。
「わっ、プロフェッサー?これは?」
急に自らのスキルが増えて驚いているアルトリクス。
不思議そうな表情を浮かべる彼女に対して俺は頷きながら言った。
「取り合えず、スキルの『害悪の視線』を使ってみてくれ」
何がなんだか分からない様子のアルトリクスだったが、俺の言葉に頷いて、彼女はスキルを発動させる。
頭を抑えて、スキルによって何処にエネミーが居るのか確認すると。
「あ……あちらの方に、何やらオーラを感じます」
と、アルトリクスがそう言った。
俺とペンギンは、アルトリクスが歩き出した方へと、行軍を成しながら移動し始めた。
移動した先は、なんと、砂の様な煉瓦が積まれた遺跡だった。
遥か地平線まで伸びる砂地には、こんな遺跡など見えなかった。
何故かこの遺跡は、遠方から見れば、その姿を消してしまうスキルの様なものを使用しているのだろうか、と思う。
「この中から、オーラを感じます」
アルトリクスがそう告げた。
俺は頷いて遺跡の入り口らしき場所を覗く。
「うーん……中々強そうなだな……ところでオーラってなんだよ?」
俺がそう聞くと、アルトリクスが説明をする。
「エネミーの気配、とでもいうのでしょうか、なんだか、熱々の湯気を顔に掛けられたかの様な、少し痛い視線です」
そう言われて俺は頷いた。
「オーラでエネミーの強さとか分かるか?」
「いえ……其処までは……」
と、アルトリクスが首を左右に振った。
そうか、なら、仕方が無いな。
出来れば敵の強さも理解しておきたい所だったが。
「さて………アルトリクス、『断章の頁』なんだが……」
俺は、彼女が所持しているスキルに対して、別の使い方をする様に頼んだ。
「それを自分に使う事は出来るか?」
そう言われて、アルトリクスはえ?と首を傾げる。
「自分に、ですか?」
『断章の頁』。
そのスキルは対象の能力を破棄する、と言うもの。
そしてその効果対象は、敵とも味方とも書いていなかった。
だから、使える筈だ。自分のスキルを破棄する事は。
そう思って、『害悪の視線』を彼女に取得させたのだ。
「それを使って、自分の所持している『害悪の視線』を破棄してみてくれ」
アルトリクスは、自らに向けてスキルを発動した。
そして俺は、ステータス画面から『害悪の視線』が消えているかどうか確認する。
アルトリクスがスキルを発動した結果、彼女のステータス画面からは『害悪の視線』が消えていた。
そして、スキル取得枠は一つ空いたままになっている。
「やはりか」
成程、これは考えを改めるべきだな。
『断章の頁』を使用すれば、事実上、他のスキルを使い捨てする事が出来る。
これは戦略の幅が広がりそうだ、そう思った。
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