第9話
「おはようございます。レオン様」
「おはよう」
レオンたち一行が、伯爵領を発ってから、約三日。
レオンたちはすでにタスフェルドの領地に足を踏み入れていた。
「それにしても、街道すらないとは、小さな馬車がこんなところで役立つとは……」
「本当にこの道、狭いですからね」
そう、タスフェルドに入ってからは、木々が生い茂り、過去、村があった場所まで細い道が一本あるだけの有り様であった。だれも、使わないので道が残っているだけでもありがたい話ではあるのだが、
「道がガタガタでお尻が痛い」
そう、ロクに整備もされていない上に馬車もサスペンションなど付いていないため、レオンは筋肉痛であった。
「まあまあ、今日には、男爵邸に着きますから、それまでの辛抱ですよ」
「うん、そうだね、まあ……」
男爵邸住める状況かわからないけど、とは流石に言えないので飲み込む。
「レオン様、朝食の用意ができました」
「うん、ありがとう」
レオンはダンの用意した朝食を食べながら考える。
(これから、男爵領の中枢に着くわけだけど、どれほどの辺境なのだろうか。せめて、雨風凌げる場所があればいいけど……手持ちは支度金に金貨一枚貰ったから190万円ほどだから、無駄遣いするわけにもいかない。というか、店とかない上にここまでロクに街もなかったんだよね。金貨一枚をどうしろというんだろうか)
「まあ、流石に雨風凌げる場所ぐらいはあるだろう」
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