第32話 『地震とミステリー』の発表
「地震、といえばナマズ、ですよね、シッシッシッ。」
仮入部したミス研。
中川さんが、黒板にでっかく『地震とミステリー』と板書し、おそらくはそれについて報告?をしている。
先日の仮入部提出に当たって、ミス研には、中高でなんと50名ほどが所属していて、それなりに派閥、というか、研究対象ごとにチーム分けされているんだ、ということが説明された。
といっても、誰かが自分の興味ある研究テーマを発案し、やりたい人がそれに乗っかるという方法でチームが形成されるため、自ずと同じような人が一緒に組んで研究してる、みたいな形になるんだとか。
で、一応ひとつのクラブ、ということで、週1、基本的には木曜日に研究発表的なことを全員が集まってやる、のだとか。まぁ、幽霊部員大歓迎をわざわざうたうこのクラブのこと、実際に集合するのは、毎回2,30人程度。今回は32人もの出席、ということで多い方なんだとか。ゴールデンウィーク開け初の木曜日、ということで、なにやら遠出したチームも多く、その発表のため多いのだと中川さんがささやいていた。
チーム代表、は、提案した人、とかで、学年の上下関係なく代表となる、というのもこのクラブの特徴だとか。下の学年に積極的に提案させ、先輩方がフォローするのが当たり前、そういう気風を作ってきた、ということで、意外にも中学生リーダーも多い。ちなみに一人での研究もOKだとか。
で、この定例発表会、リーダーの学年が下の方から発表が始まる。
今まで、中学生リーダーの発表を見てきたが、いろいろと多岐にわたり、うさんくさいものから学術的なものまで、まさに玉石混交。なかなかに興味深く聞くことが出来た。たとえば、心霊スポットと呼ばれるような場所に(きちんと許可取りをいた上で)、赤外線カメラを置いてキャンプした結果の発表、だとか、延々ESPカードの透視実験をして確率論との差を検証、とか、まぁ、そういった感じ。
で、ここにきて、高校生の部、1番目が唯一の高1リーダーである中川さん、の発表が始まる、てことのようで・・・
いったいいつそんな研究をしていたのか分からないけど、今、中川さんと、中学生2名、高3の先輩1名の計4名で発表を始めた、そのお題が、地震とミステリー。ようは地震の予知についての発表、なんだそう。
「ほんまに使えるやっちゃなぁ。」
配られたプリントをパラパラめくり、タツがそうつぶやいた。
「?」
「これな、儂の話から調べ始めたんやで。」
ニカッと笑って、プリントを指で弾く。
「どういうことですか?」
私たち仮入部組の中で、今日、唯一他のクラブに出ていなかったピーチが私の向こうからタツに疑問を投げかけた。
「いやな、近々地震が起きそう、ちゅう噂を、やな、耳にして、そんな話、中川はんとしててん。」
私にもタツは近々地震が起きるかもしれないから、それを止めるのに力を貸して欲しい、と、話していた。まぁ、その結果として、なぜか、こんなところに座っているのだけど・・・
タツが言う以上、ようは霊的なことが発生原因、なんだとは思う。一応神様なタツのこと、本当は起こるべきじゃない地震なら止める、そんな感じみたい。
「ちゃんと地面が動いてな、それがぶつかったりで地面が跳ね上がる、そんで地震が起こる、そういうのはええんや。そやけどな、誰かが地脈いじって、地震が起こる、いうのは阻止せなあかん。無駄にいろんなもんが無くなってまうよってな。」
先日、電車で二人の時に言った、タツのセリフ。
前で中川さんが発表しているのは、地震と地震雲の話、とか、最近の微震の状況、そしてその震源の移動。最後に地震とナマズの話。
そういえば、私も何かのテレビ番組で、水族館のナマズが地震を予知した、っての、見た気がする。あれ?たこだったっけ?
まぁ、昔っから、ナマズが地震を予知する、とか、大ナマズが暴れて地震が起こる、とか、そんな迷信があるのは、知っている。その手の話を嬉々としてまじめにやっていて、しかも、みなさん、なんだか真面目に質疑応答中。
ナマズ、みんな信じてるのかなぁ。
なんか、賢そうな先輩がナマズは地磁気の乱れを敏感にキャッチしてるんじゃないか、とか、地震雲も地磁気の乱れが大気に影響してるんだろう、と、地磁気の調査をやろうぜ、みたいなノリになってきてるんだけど、ちょっと私にはついて行けないかも・・・
「シッシッシッ。どうでした?」
私たちの側に戻ってきた中川さん。
まずは、そんなことを言いながら席に座る。
本日の発表は、そのあと、もうちょっと続いたけど、全部が終わったあとは、好きなチームで発表の感想だとか、さらなる研究の提案だとか、帰る人とか、まぁ、好き勝手に散らばった感じ。
中川さんと一緒に発表した人達も別々になったみたいで、結局は私とタツ、中川さんにピーチ、といった4人で、中川さんのプリントを開げていた。
「おお、さすがやわ。よう調べたなぁ。」
「えっとですね、土曜日がこのへん、日曜日だとこのへん、でしょうかね、シッシッシッ。」
中川さんは、さきほど配った資料に、赤鉛筆で○を付けながら、そう言った。
「なんです?」
ピーチが不思議そうに言う。
「あんな、地震、まぁ今のとこ微震、言うんかいな?これ、移動しとるやろ、ほらこんな風に。」
タツがそれに答えて、中川さんが丸をした地図に鉛筆で線を書いていく。
なるほど。
確かに徐々に移動している?
移動速度からいったら、確かに明後日、明明後日には、赤鉛筆のところが危険、だろう。
ていうか、これって・・・・
「ほぉ、詩音も気付いたか。」
「それは、まぁ・・・」
ピーチの不思議そうな顔に、ちょっと言葉を濁しちゃった。
けど、間違いなく、一番大きかった、一応テレビでも速報が流れた、その一連の地震の起点。その震源地は、あの、しめ縄が切られた岩の辺りで間違いなく・・・
そして・・・
その行く先をたどると、我が町へと行き着く、のは、間違いなかった。
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