2023年3月17日(金)
日記をつけ始めてから、今日で丸三年になった。
休み休み、書きたいことがあるときだけつけてきた日記だけど、まさかこんなに長く続くとは思わなかったな。大事に使ってきた
どうせなら次も同じノートを使いたいなと思って、ネットで以前、このノートを売ってくれたハンドメイド作家さんを探したんだけど見つからなかった。
しばらく見ない間に活動をやめちゃったみたい。
素敵な作品をたくさん作る方だったから、すごく残念。同時に私と優星くんの今後を暗示されたみたいで、ちょっとだけ……ショックだった。
先週聞いた、優星くんの転院の件。
今朝、
やっぱり千葉県の、寝たきりの患者さん専門の病院に移るみたい。
もう二年以上意識が戻らないんだから、当然と言えば当然、だよね。
だけど千葉なら、東京住みの
だから転院して色々落ち着いた頃に、また新しい病院までお見舞いに行ってもいいですかって先生に
先生は家族と話し合って、これ以上君たちの負担にならないように決めたんだって、なるべく角が立たない言い方をしてくれたけど、あれは半分本音で、半分嘘。
だって仕方ないよ。優星くんがあんなことになったのは私のせいだもん。
本当は先生も、おばさんも、
ああ。やっぱり、すごくつらいや。
たとえお話しできなくても、目を覚ましてくれなくても、優星くんの顔を見られるだけで私はたぶん救われてた。なのにこんなに急に会えなくなるなんて思ってなかったから、頭の中が真っ白になっちゃって。
もしかして私、このまま二度と優星くんに会えないのかな?
永遠にさよならしないといけないのかな?
どうして? どうしてこうなっちゃったんだろう。
そう言って泣くしかできなかった私と一緒に、リコも泣いてくれた。おかげで少し気持ちがまぎれた。リコだって昔、私のせいで怖い目に遭ったのに。なのにリコも大滝くんも私のせいじゃないって言ってくれて。特に大滝くんには、私が自分を責めれば責めるほど優星くんが苦しむからやめろって、真剣に怒られちゃった。
大滝くんがちゃんと怒ってるところを見たのって、何気にあれが初めてかも。
でも、そうだよね。きっと大滝くんの言うとおりだ。
優星くんはあんな目に遭っても私に約束してくれた。
もう一度、必ず迎えにくるって。
だったら私は嘘でも前を向かなくちゃ。生きなくちゃ。
だって私も優星くんに約束した。ずっと信じて待ってる、って。
ねえ、優星くん。ごめんね。
私はもう会いには行けないけど、それでも待ってる。ずっと待ってるから。
どんなにつらくても苦しくても、君が生きていてくれる限り、私も生きるよ。
だから早く目を覚ましてくれると嬉しいな。
とりあえずそういうわけで、急遽来週の予定がなくなっちゃったから、明日からしばらく
もしかしてふたりとも、私とお母さんのこと、まだ心配してるのかな?
私ももう、お母さんに愛されたくて仕方なかった子どもじゃないんだから大丈夫なのに。ほんと、ふたり揃ってお人好しなんだから。
ああいうところ、リコと大滝くんは本当にお似合いだと思う。
なのにリコは大学を卒業しても、私とルームシェアを続けるって言ってる。
もちろんリコの気持ちは嬉しいけど、そこは絶対大滝くんと一緒に住むべき! って、今度はもうちょっと強めに言っておかなくちゃ。
だけどもし……もしもいつか優星くんが目を覚ましたら、そのときは四人でルームシェアしてみても楽しいかもね。……うん。絶対に楽しいよ。
ねえ、優星くん。私、今も君と一緒にやりたいことや、見たいものや、話したいことがたくさんあるの。だから、神様。
どうか、優星くんと共に生きる未来を私にお恵み下さい。
白石に帰ったら
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます