可愛くて、健気で、エッチで、一途な女の子達は、好きですか?~付き合いたい彼女達と付き合いたくない彼の攻防戦~+α
三日月
僕と王様ゲーム①
「まー君。王様ゲームやらない?」
「は?」
僕の自慢の幼馴染であるところの木葉咲夜のいきなりの意味不明な発言。きっとこの時の僕の顔を鏡で見たら強張った表情をしているに違いない。
「だから王様ゲームだよ。王様ゲーム。もしかしてマー君王様ゲーム知らない?」
「いや、知っってはいるけど勿論。あれだろ。王様ゲームって言ったら合コンでよくやる番号の書かれたくじと王様の王冠が書かれたくじを引いて、その中の王様を引いたものが指定の番号の人間に好きな命令をできる頭の悪いゲームだろ?」
「確かにそうだけど……なんかその言い方はちょっと違うと思う」
「というと?」
「私が思うに、王様ゲームっていうのは自分の気になる人に合法的に命令できる魅惑のゲームだと思うの」
「いや、まあ確かに合法的に命令はできるけどもそれはあくまで自分が王様になった場合なわけで、しかも王様になっても命令できる人間は名前じゃなくて番号だからそんな都合よく命令はできないだろ……」
「それは……そうだけど……でも私はやりたいんだもん」
「そうは言うけど、そもそもあれって二人でやるゲームじゃないじゃないか」
「あ、その点については大丈夫」
「え、なんでさ」
「だってもう呼んじゃったから」
「は?」
そう言って我が部屋の扉から現れたのは、ドヤ顔の表情で仁王立ちをしている江中敦とその隣でジト目をしている赤坂朱音がたっていた。
「い、いつの間に……」
「ん? 俺達が付いたのは今さっきだぞ。なあ赤坂」
「はぁ……本当。どうして来ちゃったのかしら」
「え、ええと二人はなんで呼ばれたのか知っているのか?」
「ん? いや、俺は何も知らん。ただ木葉さんから雅也が困ってるって連絡が来たから来ただけだぞ」
「私は咲夜に来ないと秘密をばらすって言われたから渋々……」
「お、おう。そうか。なんかごめんな。咲夜が迷惑をかけたみたいで……」
「別に気にしなくていいぞ。俺としてはむしろお前が困っていなくて安心したぜ」
え、何? 敦ってこんなキャラだったっけ? 何かめっちゃ綺麗になってない? え、キモ。
「本当。困っちゃうわよね。木葉さんの奇行には」
「いや、ちょっと待ってください。何ナチュラルに腕を絡めているんですか先・輩・」
「え? 何か可笑しなところあったかしら?」
「可笑しなところだけだは‼ てか咲夜、待て。怖い。目が怖い」
「うふふふふふふふ……」
怖い怖い怖い怖い。咲夜さん目が、目がマジで笑ってない。
「キャーコワイー雅也君タスケテー」
凄まじいまでの棒読みである。
「うふふふふふふふふ……」
ヤバい。咲夜がそろそろ限界を超えそうだ。
僕はそう判断すると先輩を無理やり引き離した。その時先輩が名残惜しそうな顔をしたが、これ以上してもむしろ僕に嫌われるだけと判断したのか、無理に縋るようなことはしてこなかった。
「と、とりあえず咲夜の要望通り王様ゲームをしよ。な? それで機嫌直してくれ?」
「むぅ……しょうがないな」
そう言いつつ先輩が抱き着いていた腕の方に、自分の腕を組ませ、尚且つ体を先輩以上に密着させてくるあたり余程嫌だったのだろうということが嫌でもわかってしまい、苦笑を禁じえなかった。
「てか雅也」
「なんだ。王様ゲームってどういう事?」
「ああ、それは……」
「咲夜が雅也とやりたいからその人数合わせであたしたちは呼ばれたのよ」
「そういう事。てか朱音。もしかして機嫌悪い?」
「別に‼」
そういう割に語気は明らかに強いし、表情もなんだか怒っている様にも見て取れる。実際今の朱音の視線は着た時とは打って変わって、今にも人を殺してしまいそうな程鋭い眼光をしている。
「雅也君。雅也君」
「はい、はい。なんでしょう」
「ひとまず朱音の事は放っておいて早くやろう?」
「咲夜はそれでいいのか……」
「いいの。今はこれが正解だから」
「お、おう」
何かを理解しているかの様な咲夜のその言葉に僕はこれ以上の追及はできず、こうしてゲームは始まったのであった。
そのゲームがあんな悲惨な末路を辿るとも知らずに……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます