第246話 思い出と修行

 日が暮れたフェレンスの門の外、封龍の森を眺めることが出来る広い野原にエリアスは立っていた。


「ここが思い出の場所?」


 エリアスについてきたルティアが声をかける。


「うん、私の呪いをレンが解いてくれた場所。止まってた私の時間が動き始めた場所だよ」


 笑顔を浮かべてエリアスがルティアに教える。エリアスがレンと話している時に良く見せる1番可愛い笑顔だとルティアは思った。




「全く、一緒に冒険しようって誘っといて、1人で行かないでくれよ、エリアス。まだ俺も約束を果たせてないんだから」


 そう言って、黒龍と戦おうとした自分を助けてくれた。



 そして、呪いが消えて手で触れた花が枯れないことに驚く私に、


「これでみんなと話せるね!」


 と言ってくれた。





「エリアス?」


「あ、ごめん。レンのことを思い出してた」


 ボーッとしているエリアスにルティアが声をかけると返事が返る。


「ホント好きよね!見てるこっちが恥ずかしくなりそうだわ」


「うん、本当にレンのこと好きだから。気づかなかっただけで、もしかすると初めて話した時から……」


 ルティアとしては、からかうつもりで言ったが本気の答えが返ってきたため言葉が続かない。


「ルティアはどうなの?」


「うーん、振り向かせる機会が無いわね〜。レンは、エリアス一筋な気がするわ」


 やれやれといった感じで腕を振っている。その後、他愛無い話をして、エリアスとルティアはフェレンスに戻るのだった。








「うわっ!」


 レンが声をあげ、直後に岩山に激突する。起き上がると目の前には、父ライが立っていた。


「おいおい、こんなもんか?レン。こんなんじゃすぐに死んじまうぜぃ?」


 相変わらずニヤっと笑ってくる。


「父さん、こんなに強かったのか」


 と言いながら立ち上がる。


「そりゃあ父さんだからな!家族を守る男は強いぜ!」


 ムキっとポーズを決めてくる。本当にこの人の息子なのかと思えてくるが、何気に顔つき等そっくりな所が多い。元の世界の母さんもこっちのお母さんも父によく似ていると言っているのだ。



「怪我したか?」


「まあ、てか怪我させられただよ!」


「しょうがねえだろ、鍛えてやってんだから。ほらよっ!」


 レンは突然ライにつかまれて投げられる。向かう先は、湖だ。


 バシャンと音を立てて、レンは水中に落ちた。


「ガハッ……ゴホッ、水飲んだ……」


 と言いながら水から顔を出す。


「どうよ?気分は」


「そんなの最悪に……怪我がなくなってる?」


 怪我した部分は、元の状態に戻っているのだ。


「便利なもんもあるってこった。これでさらに思いっきりやれるなぁ?」


 父は、さらにやる気が上がったように見えた。


「こりゃ、大変そうだ」


 と言いながらもレンは、湖から上がり再び身体を動かすのだった。

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