第193話 レン対エリアスと進む準備
「こりゃ、面白そうじゃねーか!なあ、ネーヴァン?」
武道大会会場の上の方で、アルファードがネーヴァンに声をかける。見ているのはレンとエリアスの試合だ。
「そうだね、あの2人はなかなか骨がありそうじゃないか。でもあんたの敵じゃ無いんだろう?」
とネーヴァンが言う。
「ああ、今はな……それにレンの方はまだ力を隠しているぞ」
確信があると言うようにアルファードが口にする。
「そうかもね。使わないと言うことは、見られたく無いのかもしれないね」
2人の戦いの様子を見守りながらも、アルファードとネーヴァンは、周囲にも注意を向けるのだった。
「マジックバレット!」
レンがエリアスに向かって複数の魔法を連射する。
「ライトニング!」
エリアスが雷を纏ってレンに攻撃を仕掛けるも、先程の様に捉えることが出来ないでいた。レンも警戒してスピードを上げているのだ。
『次に貫かれたら即死ですよ。ハートを貫いてゲットされます』
「そのジョーク重いよ!……あぶなっ、フラッシュ」
再びレンは目眩しで光魔法を放つが、やはりエリアスにはバレている。フェンリルの力で様々な感覚が研ぎ澄まされている。
「ライトニングボール」
エリアスが雷の球を放ってくるが、レンはそれをしっかりと相殺してエリアスに迫る。そして、エリアスに触れることに成功する。
「よしっ!ハッキング」
「離れなさい、ライトニング!」
エリアスが雷を纏ったためレンに痺れが走る。だが、耐性スキルでなんとか喰らいつく。
「ロック発動!」
「なっ!ライトニングが使えない……」
エリアスが自らのスキルが発動しないことに驚く。
「危なかったな……結構丸こげだけど」
「何をしたの?」
身体から煙を上げているレンにエリアスが言う。
「ユニークスキル、ロックだ。それでエリアスの雷魔法を封じた!俺が許可するまで外れないぞ」
とレンが言う。
「レンには、驚いてばっかりだね……まだ、降参なんてしないけどね」
エリアスには全く諦めた様子が無かった。
「本当は、フェンリルの加護の方をロックしたかったんだけどな……さすがに余裕がなかったよ」
レンとしてもずっと雷に打たれるの避けたいものだった。
「長期戦は避けたいから決めさせてもらうぞ」
剣を持ちながらレンは、エリアスに接近する。レンに対してエリアスも剣を持ちレンに立ち向かう。
『そろそろ決着がつくのかぁ?両者力を振り絞っている!』
レンとエリアス、お互いに隙を見つけては少しずつダメージを与えていく。
だが、レンに分があった。徐々にエリアスに当たる攻撃が増え吹き飛ばす。
「キャッ!」
吹き飛ばされたエリアスが立ち上がると、元の姿に戻っていた。
「チャンス!」
レンは、エリアスに向かってトドメを刺すために走り出す。
「まだ、まだだよ!」
レンが剣を振り下ろそうとした瞬間にエリアスがレンの頭上に飛び上がる。姿はフェンリルの状態に再びなっていることからレンをおびき寄せるフェイントだった様だ。
「空中に逃げたのは愚策だったな、エリアス!」
「それはどうでしょうか?」
とエリアスが返す。
「ふふっ、やはり使うことになりますか。さすがは相手がレン殿だけありますね。さあ、どうなるか」
見張りをしながらハルカが笑う。
レンは、上にいるエリアスの手に持たれている物に目が釘付けになる。
「散弾銃!」
レンに向かってエリアスが引き金を引き、弾丸が放たれるのだった。
「ハヒャヒャ、魔族の皆さん、準備はどうですかぁ?」
王都の遥上空……そこには、スティグマや魔族が集まっていた。龍の上に乗っている魔族たちが何やら呪文を唱えている。
「あと少しです、サジャード様!」
「そうですかぁ〜もしかすると王都を攻撃する予定が速まるかもしれませんねぇ」
ケラケラと笑うサジャードの隣に男がやってくる。
「本当にイカれてんな、お前」
ボロボロのフードを被った弓を持った男だ。
「おやおや、貴方でしたか〜。私は、イタッテェー正常ですよぉ?ヒャハ!それで、魔王の娘は始末したんですか?」
「いや、今回も下で狙ったが光明の魔女とやらもいて狙えねぇな」
と男が言う。
「そうですかぁー、まぁこの後どうせ殺すチャンスもあるでしょうから、たのしみましょう」
ね?とニコニコと言うサジャードを見て男は、あまり良い気持ちになれなかった。
「あと、15分ほどで完成します」
と魔族からの報告をサジャードは聞く。
「そうですかぁー、それはそれは。良いですねぇ!楽しみですよ、魔族の禁じられた魔術とやらが」
敵は王都に襲撃する準備を整えつつあるのだった。
レンに向かって放たれた散弾。頭を狙っている攻撃、レンはスキルを使う。
「フリーズ!」
距離的にエリアスと散弾に掛けた。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
ホッと一息つこうとした瞬間にエリアスが何事もなかったかのようにレンに蹴りを放つ。
「蹴り、結構効くな……どうしてフリーズが効かなかったんだ?」
少し下がりながらレンは呟く。確かにフリーズは発動した。だが、エリアスは動いたのだ。
『フェンリルの加護かもしれませんね。彼女も0.何秒かは停止したと思われます』
とナビゲーターさんの考えが頭に流れる。
「便利だな……それに銃って、ハルカさんか」
目の前では、エリアスが散弾銃から別の銃に切り替えて、もう一方の手には剣を装備している。
レンを見つめる赤い瞳は、獲物を追い詰める獣だ。
「そろそろ、終わりにしよう」
エリアスがレンに向かって走ってくる。
「そうだな、俺も切り札を切らせてもらう!」
と向かってくるエリアスにレンが言うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます