第37話 Aランクと戦闘開始
明け方のまだ日が出てない時間のギルドには、フェレンスの街の冒険者が多く集まっていた。
「皆さん、お静かに。ギルド長お願いします!」
とギルドの職員が言った。
レンも、他の冒険者に混じって話を聞いていた。
フィレンの話が始まる。美しいエルフに皆の注目が集まる。
「偵察を行っていた冒険者からの報告が入りました。とうとう敵が動きだして、街に向かっています。あと数時間ほどで街に到達すると予想できます」
と言った。
レンは、ギルドに緊張が走ったのを感じた。
新人の冒険者などは、青い顔をしており、とても辛そうな様子だ。
「確かに不安があるかもしれない。でも今回の戦いには、たまたま街に来ていた、Aランクの冒険者も参加してくれることになった。そして私も街を守るために戦うわ!」
とフィレンが宣言した。
その瞬間、ギルド内の緊張が和んだ気がしたのは錯覚ではないのだろう。
さすがは英雄だなとレンは思って聞いていた。
フィレンの話が終わり現在、冒険者達は、近くのものと会話をするなどして過ごしていた。
レンは、エリアスと並んで座っていた。
するとレンに、声をかけるものがいた。
「レン!お前も戦うんだな」
そこにいたのは、レンが迷宮で助けた、ランドだった。
「ああ!そのつもりだよ」
とレンは返す。
ヴィン、フラウ、ミーアも近くにやってきた。
「レンさんなら余裕で勝てるかもしれませんね」
とミーアが言う。
「さすがに数が多いよ」
と答えておく。
ここでフラウが隣にいるエリアスに気づく。
「隣の人はレンの仲間の人?」
「ああ!俺の仲間なんだが、訳あって話せないんだ。勘弁してやってくれ」
と考えていたセリフを言う。
今のエリアスは、フルプレートを着ているため、性別などもわからないだろう。
「死ぬんじゃないぞ!」
とお互いの健闘を祈る。
ランド達との会話が終わり、のんびりしていると、フィレンから声がかかる。
「レン、ちょっと来てもらって良いかしら?」
と言われたのでついていくと3人の冒険者がいた。
「彼らがAランクの冒険者よ」
とフィレンが紹介してくれた。
「俺の名前は、ガレスだ!よろしく!」
とムキムキの髭の生えた男が言った。ドワーフだと思われる。
「レンです。よろしくお願いします!」
と言って握手する。
まさに歴戦の戦士といったような見た目をしている。
「私は、ナティアよ。よろしくね!」
見た目40代ほどの女性が挨拶する。
「私は、カーラです。よろしくお願いします!」
とレンとあまり歳の変わらない少女が挨拶する。
2人とも、順番に挨拶を交わす。
「なかなか強そうじゃないか」
とナティアが言う。
「そんなことはないですよ」
とレンは返事をする。
「私のお気に入りよ。かなり強いわ」
とフィレンが言う。
近くの冒険者からざわめきが起こる。ギルド長がお気に入りだと言ったのだ。周りから注目される。
目立ちたくはないのにとレンは思うのだった。
「魔物との戦いでは、基本Aランクパーティの3人を軸としながら戦うけど、レンには、自由に動いてもらいたいわ」
その方がやりやすいでしょ?と言うようにフィレンが声をかけてくる。
「では、俺とエリアスの2人での行動で、お願いします」
と言っておく。
「わかったわ。私の武器は弓だから接近戦は任せるわよ」
と言いレンの肩を軽く叩いて歩いていく。
バリケードの近くには、多くの冒険者が集合していた。レンとエリアスは、他の冒険者とは別行動のため、少し離れた場所にいる。
そして太陽が昇り始めた頃、魔物の群れが少しずつ見えてきた。
ついにフェレンスにとっての長い一日が始まろうとしていた。
1人の冒険者が呟いた。
「おい!あれってワイバーンじゃないか?」
空を飛びながら街に接近しようとしているワイバーンが見えたのだ。
「これじゃバリケードも意味がねぇぞ!」
と冒険者が吐き捨てるように言う。
「まさかワイバーンもいるとはな…」
と遠くで見ていたレンは呟いた。
「スキルを使えば勝てると思うけど……厄介だね」
とエリアスが呟いた。
戦いの前にエリアスには、レンの様々な情報を教えた。
最初は、異世界人であることなどに衝撃を受けたエリアスだったが理解してくれた。
そのためスキルを使い目立つことを気にしているのだ。
「でも、みんなを、街を守るためには使わないとな……」
とレンは呟き戦闘に向けて武器を準備するのだった。
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