第465話 もう、いいや
自らの眷属であり子供とも言える存在を、自分がパワーアップするための駒。
生贄に使うなんて! 400年前のクソ女神では思いつきもしなかっただろうなぁ。
まぁ尤も、私のことは生贄にしてくれたわけだけど。
それに見た目もあんなに変わっちゃって! ご自慢の金色の髪も、真っ黒に染まって禍々しさが滲み出てるし。
「あはっ…本当に……」
私の選択は間違っていなかった。
「本当に、よかった」
あの時、一思いに殺しちゃわなくて。
「ふふっ、あはっはっはっはっ!!」
「……やはり、もう既に壊れているみたいですね。
いえ、壊れていたと言うべきでしょうか?」
クソ女神に関わらず超越者、つまりは神と呼ばれる者は受肉の有無はあるものの基本的には不滅の存在へと至る。
つまりは
その例に漏れずクソ女神も精神生命体なわけだけど、精神生命体は普通の生物に比べて精神状況が容姿に反映されやすい。
つまり……クソ女神の容姿が目に見えて変質しちゃってるって事は、精神状態にそれ相応の変化があったという事!
「勇者ノアールと聖女リナ達の手により、無実の罪で処刑されてしまったあの時から……ですがご安心ください。
今度こそ貴女を討ち滅ぼし、哀れなその魂をこの私が救済して差し上げましょう」
それはつまりっ! 私がクソ女神に与えた……肉体を失い身動きもできず、何も感じる事すらない闇の中で永劫の時をこの世界に魔素を満たすための燃料タンクとして孤独に過ごすという罰。
私の判断は間違っていなかった事の証明に他ならないっ!!
あっ、だからなのかな? 確かにクソ女神が神級の神能を獲得した事は想定外だったけど……
自分自身が喪失した魔素を世界に満たすための燃料タンクとして過ごす罰を与えられていたからこそ、400年前の自己愛と保身に塗れたクソ女神では思いつきもしなかっただろう計画を!
「魔神レフィー、確かに貴女は強い。
それはかつて貴女と対峙し、なすすべなく敗北した私自身が一番よく理解しています。
ですが今の私はもう、かつての私ではありません」
生み出した熾天使共を封印から解放された後の力の回復と、パワーアップのための生贄にする事を思いついたのかも!
ぷぷっ、燃料タンクにされてるクソ女神が、自身の子供とも言える熾天使共を燃料タンクに利用するとか滑稽だわ!!
「今の私であれば、貴女とであっても対等以上に渡り合えますので」
そんでもって、クソ女神が使った神級の神能・怨讐ノ神だっけ?
その名前からもよぉ〜く伝わってくるけど、急速に増大した
「いえ、貴女だけではありません。
今の私ならば最高神である、ネフェリアス様とすら対等に渡り合えるでしょう!」
あぁ! 見える、見えるよ!!
「それがどういう意味か理解できますか? うふっ! そう誰もこの私を止める事などできないという事ですっ!!」
「あはっはっはっはっ!」
魂を見る事ができる悪魔族である、私の目にはハッキリと!!
「……う、うふふっ、確かに貴女の神能・付与ノ神の権能は凄まじい。
攻撃にも防御にも優れ、相手を意のままに操る事すら可能と、まさに全能とすら言えるでしょう。
ですが防ぐ方法は幾つか存在する、そうでしょう?」
禍々しく真っ黒に!
憎悪に染まって、醜く醜悪に歪みまくったクソ女神の魂がっ!!
「そうですね……例えば、声に出さなければ発動できないのでしょう?
それに、これほど強力な力をなんの代償もなく、無制限に行使できるはずがありません。
つまり……」
「むっ?」
これは……
「絶えずその力を使い続ければ、いずれ限界を迎えるという事です!」
おぉ〜! 一瞬で上下左右360度、私の周囲を囲うように無数の魔法陣が。
「うふふっ、これは一つ一つが先程の神滅に匹敵します。
これがどういう意味かわかりますか? これらは貴女の結界では防げない。
つまりっ! 神能で防ぐしかないという事です!!」
「っ!!」
「わかっていただけたようですね、貴女が置かれている現状が!
うふっ! さぁ、果たしてどこまで耐えられるでしょうか!?」
ま、まずいっ!
これはヤバいっ!!
い、いったいどうすれば……やりたくはない、やりたくはないけど、こうなったらもうアレしか……
「あぁ、逃げるなんてつまらない真似は許しませんよ。
もし仮に貴女が逃走するというのであれば、この無数の神滅の雨が眼下の都市に降り注ぐ事になるでしょう」
「……」
だ、大丈夫。
この程度、なんとでもなる……!
「ですがご安心ください。
貴女が逃げても、逃げなくとも結果は変わりません。
貴女を討ち滅ぼした後は、そこにいる貴女の愛子を……」
「ッ〜!!!」
「これほどまでに腐敗し、堕落してしまった哀れな子らも浄化して差し上げますので!!」
「……は?」
「あら? 逃げないのですか?」
「もう、いいや」
「これはこれは、少しでもあの者達を延命させようとは、殊勝な心がけですね。
うふふっ、では絶望を始めましょう。
魔神レフィー、今度は貴女の番です。
せいぜい足掻いて、私を楽しませてください……神能・怨讐ノ神──」
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