第458話 狂った女神

「ふふっ!」


 戸惑ってるソフィーも可愛い。

 邪神と中良さげに話してるのはちょっと気に食わないけど……私だって猫ちゃん姿のソフィーを撫で撫でしてないのにっ!!


「むぅ」


 邪神の分際で私のソフィーに手を出すなんて許し難い。

 アイツには後でお仕置きするとして……


「ふむ」


 アナスタシアが呼び出した天使羽虫共の軍勢。

 魔素エネルギー量でいえば、熾天使に匹敵するクラスだし大したモノだけど……


「ふんっ、そんなハリボテで、なにができる?」


 ただそれだけ!

 所詮は魔素がそれなりに多いだけで、自我のない人形にすぎない。

 そんなのいくら数がいても無意味!!


 もっとも! たとえ自我があったとしても、この程度のヤツらなんていくらいても私の敵じゃないんだけど。

 その気になればあんな軍勢、文字通り一瞬で消してやる事もできるし。


「うふっ、確かに魔神レフィー、貴女にとってはそうかもしれませんね。

 ですが……自我を持たないこの子達でも、世界を浄化するには十分すぎる程の戦力だと思いませんか?」


 確かに……ムカつくけど、普通の人間共にとってはあんな魔素だけの天使羽虫共でも十分すぎる脅威。

 一般人は当然として、高位の冒険者でも相手にならない。


 それこそ悪魔王国で強くなったレフィー達や、現人神とか呼ばれてるショウとか、一部の人以外はなす術なく殲滅される事になる……か。


「うふっ、ウフフふふっ!!」


「むっ」


 なにアイツ、急に笑い出したんですけど。


「かつて貴女に敗れ、あの世界に閉じ込められた私がどんな気持ちで! なにを思い! なにを感じ!

 そして……なにを考えて過ごしてきたのか、わかりますか?」


 なにを、ね。

 そんなのもちろんわかってる。


「もちろんあの世界を創造した貴女なら知っているとは思いますが、あの世界とこの場所では時間の流れが違うのです。

 ここでは400年だそうですが、私はあの世界で……光も音も、何もない虚無の世界で魔素エネルギーを奪われながら数万年もの時間を過ごしてきました」


 うんうん、そうだろうな。

 なにせクソ女神の言う通り、私がそうあの世界を創造したわけだし!


「魔神レフィー……貴女への憎悪だけを考えてっ!!」


 やっぱり。


「貴女への憎悪があったからこそ、あの虚無という地獄で私は狂わずに……いえ、違いますね。

 ウフッ! ウフフふふっ!! 私はもう十分に狂ってしまいましたよ。

 それこそ、貴女への怨みを、憎しみを晴らせるのなら、この世界を壊してもいいほどに!!」


 この世界を壊してもいいほどに狂ってしまった?


「あはっ! あはっはっはっ!!」


 あのクソ女神が!

 偽善と自己愛に満ち満ちていたクソ女神が、ここまで堕ちてくれるなんて!!

 でも……


「お前より、私の方が、狂ってる……お前達への、憎悪によって」


まっ! 御託を並べるのはこのくらいにして……そろそろ始めるとしよう!!


「どっちの方が、狂っているか、教えてあげる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る