第404話 最高神様

 な、なにっ!? なにが起こって……というか、身体が動かない!?


「あはは! いい反応だね!!

 ふふふ〜、あむ」


「ひょぇっ!?」


 み、耳が! 耳が何かに咥えられてっ!!


「いやぁ〜、本当に可愛い反応だよ。

 悪魔ちゃんなんて、可愛らしい反応どころか、こんな事をさせてくれないからね〜」


 なんなの!?

 後ろから誰かが私の耳元で話してるのはわかるけど……


「うぅ〜」


 なぜかさっきから体が微動だなしくて、振り解けないっ!!


「あはは……」


 フィル! 苦笑いしてないで助けてよっ!


「フィルくんも久しぶりだね」


「へっ?」


「閣下もお変わりないようで」


 な、なに? この謎の人物とも、フィルは知り合いなの?

 というか閣下って……顔は見えないけど、声音的に私達と同年代くらいの女の子だと思うんだけど。


「まったく、貴女は……」


「やぁ、ファルニクスくん。

 キミも大変だねぇ〜」


「っ!?」


 こ、国王陛下を!

 この国の国王陛下にして、魔法神ティフィア様の旦那様。

 正真正銘の神、竜神であるファルニクス国王陛下をくん呼びっ!?


「それよりも、彼女を離してあげてください」


「えぇ〜、せっかく可愛い反応をしてくれるから、もっと楽しもうと思ってたけど……仕方ない」


「っ!」


 耳元から気配が離れると同時に、身体が動くようになっ……


「ふふっ、こうして実際に会うのは初めてだね」


 なんの前兆もなく、気がついたら私の動きを止めて、私の真後ろにいた。

 フィルに閣下と呼ばれ、国王陛下すらもくん呼びにする存在。


 白銀の長髪に金色の瞳。

 身長は私と同じくらいの160センチ後半ほどで、国王陛下と同じくらいに完璧に整った、美女というよりは美少女って感じの顔立ち。


「あ、貴女は……」


「っと、そういえばまだ、ソフィーくんに名乗った事はなかったね。

 私のネフェリアス、この世界の最高神様だよ!」


「えっ……」


 この方が、最高神様……?


「まぁ、キミ達が驚くのもわかるよ?

 世間じゃあ最高神は魔法神って事になってるしね。

 けど悪魔ちゃんやファルニクスくんの上司、正真正銘の最高神はネフェリアス様ことこの私のなんだよ!!」


 ちょ、ちょっと待って!

 突然すぎて頭がこんがらがって……


「ネフェリアス様……」


 国王陛下が敬称をつけて……なら、今の話は本当のこと?

 この世界の最高神は魔法神ティフィア様じゃなくて、目の前のこの美少女……!?


「まぁまぁ、ファルニクスくんの言いたい事もわかるよ?

 けど自力でこの国に辿り着いた時点で、幸か不幸かこの子達の運命は決まってるんだし、この子達には知る権利がある」


「それは、そうですが……彼らは今日この国についたばかりです。

 本日はゆっくりしてもらって、その話は後日でもいいのでは?」


 どういうこと?

 私達の運命が決まってるって……いったいなんの話?


「ファルニクスくんの言うことにも一理あるけど、遅いか早いかだったら早い方がいいでしょ。

 っと言うわけで……」


「……え?」


「「「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」」」


 私としたことが唖然と呟いちゃったけど。

 私と同じSランク冒険者のみんなも驚愕に目を見開いたり、息を呑んだりしてるし、これは仕方ないことなのだ!

 だって……


「座って話をしようか」


 気がついたら、この場にいた全員が。

 私達をはじめ……グラン様や最高位悪魔アークデーモンであるソレイユさん。

 マリア先生達、伝説の大英雄達も! そして、七魔公の皆様も!!


 神様であるファルニクス国王陛下ですら!

 本当にこの部屋にいた全員が……次の瞬間にはいつのまにか、椅子の上に座らされていたんだから!!

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