第162話 学園の妖精

「へっ?」


 なんで私の名前を知って……いや、それ以前に! 私のソフィアってどういうこと?


「えっと……ソフィーちゃん、この子は誰なの?

 もしかして、ソフィーちゃんの妹!?」


「い、いえ、私もなにがなんだか……」


 私の妹はミネルバだけ……のはず!

 でも……確かにこの容姿といい、さっき感じた変な感覚といい、私と無関係とも思えない。

 も、もしかして! お父様が浮気を……!?


 い、いや! さすがにそれは……でも、もし仮にそうだとすれば……私と似た容姿にも納得できる。

 はっ! もしかして、あの子から感じる変な感覚は、姉妹間のシンパシー的な……!?


「ん、私はソフィアの、妹じゃない」


「……」


 な、なんだ違うのか。

 ふぅ〜、ま、まぁなにはともあれ! これでお父様の不貞疑惑が解消されたし、ひとまずは一安心だわ。


『ふふっ、姉妹間のシンパシー! って1人で盛り上がってただけでよかったわね』


「っ……!!」


 ルミエ様っ! 恥ずかしいからそれ以上は勘弁してくださいっ!!

 危なかったわ……もうちょっとで、見当違いもいいところな推察を口にしちゃうところだった。

 でも、姉妹じゃないとすると、この子はいったい……


「あら、ソフィーちゃんの妹じゃないの?」


「ん、どちらかと言うと……私はソフィアの、お姉様」


 なるほど……妹じゃなくて、お姉様ね……


「ほぇっ!?」


 い、いまなんてっ!?


「ふふっ、ソフィアは特別。

 私の事をお姉様って、呼んでもいいよ?」


「えっ、あの……」


 妹じゃなくて、まさかの姉!!

 またまたお父様の不貞疑惑が再浮上したんですけどっ!!


「はぁ……まったく、適当な事を言わないの。

 ソフィーちゃんを始め、私のクラスの生徒達が混乱しちゃってるじゃない」


「むぅ、仕方ない。

 ここでは、マリアの顔を、立ててあげる」


「「「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」」」


 マ、マリア先生を!

 伝説の英雄と謳われる、大賢者であるマリア先生を呼び捨てにっ!?


「はぁ……もういいわ」


「あの、マリア先生」


「なにかしら?」


「結局、その子はいったい……」


 っ! さすがはミラさん。

 いきなり核心をつく質問をっ!!


「この子は……」


「ふむ、妖精の噂を、聞いた事はない?」


 妖精の噂?


「当然知ってます」


 おぉ〜、さすがはミラさん。


「学園の妖精っていうと、あの?」


「その噂なら私も」


「俺も聞いた事あるな」


 あ、あれ? もしかして、みんな知ってる感じ?

 ま、まさか! 知らないのは私だけっ!?


「フィ、フィルは知ってた?」


「まぁ……結構有名な噂だからね」


 う、うそでしょ……じゃあ、知らなかったのは本当に私だけ?


「三大学園には可憐な妖精が存在しており、その神出鬼没な妖精を見る事ができた者には幸福が訪れる。

 その妖精は美しい白銀の髪に、紫の瞳、をした、幼い……少女……」


 と、いうことは、まさか……


「こほん、改めて、私はレフィー。

 三大学園を、陰で支配する、真の支配者」


 し、真の支配者……


「ふふん〜! 学園の妖精レフィーちゃんとは、私の事っ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る