ーー012 もみあげ
その後もみあげさんの奢りでエールを何杯か空けた頃に禿さんが戻ってきた。
「あ、来てやがった」
と、入り口に入ったとたん口にした禿さん。
「おっせーなー、何食いに行ってたんだ?そばでもすすってさっさと帰ってくりゃよかったんだ」
ともみあげさんが言うが
「そば?そば?!!」俺
「あ?おまえ、そば好きか!おもしれーやつだな!本当に居たんだなぁ、へぇ?」
まじまじと見られてしまった。
この街にも蕎麦屋何軒かあるはずだからあとで行ってみな、ともみあげさん。
良い情報、いただきました!
あと、そば好きって変わった奴扱いなの???
って、よく考えりゃ、日本のMMOなんだから蕎麦屋とか作っとくか。だよな?いくら設定が中世欧州みたいな風?ぽい?感じだけど蕎麦屋くらいやるよな?
きつねそばくいてぇ、コロッケあったらいいなー。おいなりさんとかも置いてるのかなー。
「丁度いいか、ここでもな。」
と、禿さんが俺の並びに腰掛ける。ちなみに余裕を結構持って6人掛けのテーブル。リアルな居酒屋だと片側6人くらい詰め込まれそうだ。
もみあげさんがまたエールを6杯頼んだ。一人2杯づつ。つまり俺の分も。逃げられない仕様にされてしまってる件。
先程の、俺に話しかけてくれた冒険者はメシクッたらさっさと外に逃げてったし・・・。
エールが来たら、なんもいわずに禿さんともみあげさんがジョッキをぶつけた。
似たもの同士というか、もう知り杉あった同士というか・・なんだなー。
「で?」と俺に目線をやってから禿さんをみるもみあげさん。
「ああ、うちの・・・なんだ、一番強そうなやつだ。いいぞ?」
何が?
「ほう、なんかそーかと思ったんだ。見かけはまぁふつーだがな。そこがいいかもな。」
なぜ?
早く逃げたいかなー。
「名は、タコだ。相棒が居るようでな、ちびだ」
・・・・・その名前、仕方ないですね。あの時に拒否しなかったんだから。拒否出来る感じでもなかったけど・・・。
「おう、よろしくな!俺はこいつの腐れ縁でゴルだ。もみあげさんって呼んでもいいぜ?なんかはまってるよな?」
と禿さんに目をやる。
「おう、もみあげんさんのほうがいんじゃねーか?改名するか?」
「いや、呼び名でいいだろ?」
「まぁ、そうか」
本気で改名させる気だったんだ?
小一時間飲み、
「さて、んじゃタコ、いっちょやるか!」
何をですか?何いってんですか?もみあげさん?
「おう、いいな。言っとくけどな、たまたまだが、一度だけ俺は・・勝てなかったぞ?」禿
ものは言い様とは・・
「はっはっは!そのくらいじゃないとなっつ!!!」
何がっつ????いやだよ?いやですよ?
「さあ!裏の訓練場行こうかっ!!」
そのもみあげさんの言葉にその食堂どころか受付に居た者、受け付けの中の者たちも一斉に立ち上がった。
何?ゆーめー人なのこの人?
「ボク、目立つの、ダメなんです・・・」
言ってみた。
「・・・んじゃ、ギャラリーなしな!来るなよ?イシツブテ、ぶっつけるぞ?」
ザンッ!ガタガタッ!!一斉に座る。
もみあげさんの手に視線をやると、
うっわー、あの親指でピンって小石弾いたらすんげー速度でどこまでも飛びそう・・・
拳銃弾より威力あるんじゃね?
俺にどーしろってんだろー?
って、襟首掴まれて訓練場に引きづられていった。
「あの、その服、着替えなくって良いんですかー!!」
必死こいて逃げようとしながら言ってみる!
「あー、いいよ、一張羅じゃないから!」
そーですか
「はげ、タコは余裕だなぁ!あっはっは!」
「だろう?あっはっは!」
なんだよこの人達
俺は今木剣じゃなくって訓練用の長い方の槍を持って立っている。
訓練場のど真ん中。
剣だと、近づくの怖いんだもん、
あの人、剣(木剣)持っただけでがらっとかわっちゃうんだもん!!!
「タコ、槍も使えたのか・・・」
と禿さん
いえ、持ったの初めてです。触ったことすらないです。怖いからつんつんしようと思っただけです。
どっかで見た感じのように構える。半身で、槍は相手から点にしか見えないように構える、んだったよな。
むぅ、とか唸ってるよもみあげさん
あ、身体強化忘れてた!!びしゅん!
よし、これで逃げるのは可能だろう・・・・・多分
一瞬もみあげさんの目が丸くなったが、またもとの平静?な感じにも見えるような、でもいっちゃん危なそうな目だなあれ、多分。
あ、
槍のけつを肩にあてて、ライフルを構えるようにやってみた。
すげー長いけど、身体強化してるんでぜんぜんへーきだ。
槍に照星と照門を想像でくっつけ、それでもみあげさんに狙いを付ける。あとは人差し指で引き金をひくばかりにしておく。
と、
もみあげさん、なんか後ずさってる?
思わず顔を上げると、もみあげさんは自分があとずさってると気づいた様子。
顔が真っ赤になっているよ?
すんげー殺気いや怒気だ。
こわいんでまた狙う。
これで、槍の先から魔力で弾出せればいいのにな、と思わず、もみあげさんの剣を狙って空想の引き金引く。
かくん、肩に僅かな衝撃。
ばっこっ!!ひゅーーー、からんからんからんからん・・・
お?おお?おおおお?お?
まじすか?まじ?
槍ライフル?なんだそれ?
目がまん丸くなってるもみあげさん。と、それを見ていた端にいた禿さん。
2−3分?くらい?
「おほん!」
とやってみた、けど動かないので。
とことことことこ、かけかけコトン、とことことこ、ぎぃー
「こらっつ!どこ行くんだ!!」
禿さんの声が後ろから
「いやー、動かないんで、いいかな?って」
槍を武器庫の中に立てかけて、ギルドの裏口を開け、あと一歩で建物の中に、つーところで阻止されてしまった。
「というかっつ!!なんだあれっつ!!!」
怒ってるよー、またかよー、毎回ココに来ると怒ってるよなー
「知りませんよー、俺だって初めてだったんですからー」
と真実を述べてみる。
「嘘つけ!そんなん簡単にできるかっつ!!」
「誰がそうなのか知りませんが、俺ん時はそうなんです。だってほら、前回だって初めてできたし?」
「・・・そういや、そんなこと言ってたな」
「なんか、ココに来るといきなりレベルアップできる仕様なのかなぁ」
え?そうなの?
と禿さんが剣を振ったり飛び跳ねたりしてみてる。
・・・・
「ねーよ!!俺は何も変わってねーよっつ!!」
「そりゃ見ていただけだからじゃないんですか?」
・・・・・あー言やこー言う、とかブツブツ言ってる禿
あ、もみあげさん、
見ると、さっきは立っていたが、今は座り込んで地面になんか人差し指で書いている・・の、の字?
・・・・違うと思います。の、の字はお見合いで恥ずかしがってる女性とかが使う手法です。世界が違うと使い方も違うのかな?ネーヨ
結局、禿さんがもみあげさんを助けに?行って、その隙きに逃げた。
なんか、ギルドに来ると毎回問題があるよな?
・・・・すべて禿さんが原因だよね?
なので、街に出て蕎麦屋を探し回った。
一軒目発見!
がらがらがら・・引き戸だ。蕎麦屋らしい!って、店屋の大半は引き戸だけど。冬にはいいよね!!
お!そばの汁の匂い!ホントのそばだなっつ!!
結果発表。
そば美味かった。かき揚げとかコロッケとかあればもっとよかった。
今度小麦粉とか探してあの店のおばちゃんに作りから教えよう!
パンがあるから小麦粉と卵とじゃがいもっぽいのと玉ねぎっぽいやつでOKだな!
あと、かき揚げってやさいならなんでもよかったっけ?小魚とか?しらすっぽいのあるとうまそうだな!
などとるんるんしながら気持ちスキップで街の出口の城門に向かっていた。
ぐいっ!!
「ぐえっ!」
首が締まる!!
後ろから誰かに襟首を引っ張られたのだ!
「おめー、もう帰るのか?」
この声、もみあげさん?
「ええ、幼い子がお腹空かして待っているので・・・」
ぽとん!半分浮き掛かっていた体が落とされた。
ふう・・
「まぁそれじゃしかたねーな」
「なんだ、タコに子供が居たのか?あのちびとは別か?」
「ええまぁ、新たに来まして、面倒見はじめて・・・」
「ほう、奇特なやつだな。そういうの、なんかいいな!」
もみあげさんはもみあげをなでながらそう言った。
「おもしれぇ奴だろ?」
禿さんは頭をつるっとなでながらそう言った。
聞いてみようかな?
「あの、ドラゴンミールってあったけど、うさぎミールとか、ないんですかね?」
「「うざぎぃ?」」
はい、無いんですね。だいじょぶっす、うさぎたちには親や仲間いるので。
あっけにとられている2人を置いて、そそくさと城門を出て、壁の影に入って家に転移した。
「ただいまー」
家の前に出て、そのまま扉を開けて入る。
うさぎとチビドラがベッドの上で仲良く寝ていた。
よかった。・・・いろいろと。
それから少なくなった物資をコピー魔法でコピーして増やす作業に入った。多めにしておいてもいいよな、と、特にうさぎ達の好きな缶詰は多めにしておく。
あ、それと、ウイスキーも多めに作っておいてストレージに入れておこう。どっかで何かに使えるだろう。もうかなり入っているはずだけどw
そういや昔、南米やアフリカのどっかで、タバコのマルボロの赤がお金並に使えるとか聞いたことあったな。
翌日、早朝、なにやら物音がしていたが、うさぎとチビドラの声だけだったのでそのまま寝ていた。
ようやく十分に寝たので起きたら、2人?2匹?とも見当たらない。チビドラが食事した形跡はある。うさぎがあげたのだろう。
ああ、だからうさぎの食事をしに外に出たのか。
畑があるのでうさぎの食事はそこで見つけられる。
ドラが大きくなるまでここに居ることになったから、畑を広げてもいいよな。
じゃ、今日は畑を広げるために森を少しだけ開拓させてもらおうかな?
うさぎに聞いてみよう。うさぎは森の住人だからなー。
家の裏にまわると、いたいた。
が、
うさぎが白菜とか食べているのはわかるが、ドラゴンも食べるの?野菜を?へぇ?
家の裏につっ立ったまま見ていると、チビドラもうまそうに食べている。
大丈夫かな?
2−3日様子見て、大丈夫なら・・。
あす、街に行って・・・・誰に聞こう?
ドラゴンミールのお店の人に訊けばいいか。
ドラゴンの干し肉を売ったときにかなりの代金貰えたので、おかねには余裕がった。
なにせでっかいドラゴンの肉だったのだ、山盛りダンプ2−3台はあったろう。
ドラゴン肉だとバレてしまったが、そのおかで少し高めに買ってくれた。
「いくらでも売れるんだよ!」と、買い取ってくれたギルドの職員は喜んでいた。自分でも食うのかな?
その頃から、街に逝くには大体おれ一人。その間はうさぎがチビドラを見ててくれる、という感じになっていた。
当然、ウチの畑で作っていない野菜をお土産に買ってきてやる。
ドラもうさぎたちと一緒に野菜食っている。
雑食性ドラになってしまったかな?まぁ健康そうでいいのかな?お店の人も「ドラ?食うよ野菜。」と、竜騎士の竜も野菜を食うって言ってたし。
そん時に訊いてみた、
「ちなみに、あのでっかいドラゴンはやっぱ野菜食うんですかね?」
「・・・飼ってる者なんぞいないんじゃないか?聞いたことナイなぁ」
ですよねー。
チビドラは自立できるようになったらリリースしないとムリだろうな。
・・・・
あれ?
なんだろー、
なんかひっかかるぞ?
・・・
ま、いいか・・
めしでも・・・
あいつだ!!!
タタタタタタ!!
駆け出していた。
扉が開け放してある。
飛び込む!
はぁはぁはぁ・・
「そんなにカレーが食べたかったのですか?」宿屋の娘が目の前に立っていた
「お?おお、カレーが恋しくってたまんねーよ、もちろんおまえのお父さんのカレーだけどなっっつ!!!」
・・・
「大辛大盛いっちょー!!」娘
「・・・ま、いいか、熱いスープもほしいな、何が在る?」
と聞きながら側のイスに座る。
「フツーの塩と胡椒の、コンソメ、ミソ、クリームのどれかですかね、今日
「待ったっつ!!今、ミソつて言った?!!ねえ!みそっていった?!!」
「え、ええ、言いましたが何か?」
「それくれ大盛な!!」
「・・おきゃくさんミソラーだったんですか・・」娘
そういうのあるんだ、この世界・・蕎麦好きは変わってるだの、なんかくくりが少しひどくね?
が!!
やっぱおやっさんの作ったもの!
うまい!
「この香り!あじ!やっぱいいなぁーーーー!!」
など半泣きに成りながらすすっては具を食べ・・・。
「お客さん、カレーたべなさいよ?」娘が呆れながら見ながら注意してくる
お、そうか、忘れていたわカレーちゃん。
君を忘れたなんて失礼だったな!
君も懐かしい美味しい食事だもんなー!
ブツブツと料理に話しかけながら食べているヤツ。
生暖かく見守るというか、すこしビビっている娘。大丈夫!厨房には龍人なおとうさんがいる!!
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