子供たちの修練


 あれから二月、魔力トレーニングや魔法の検証などを行い、いろいろと発見があった。


「皆、そろそろ上手く使えるようになってきたようじゃの」


「頑張ったもん!」

「僕も! 大変だったよ‥‥‥」

「大変だったよなぁ‥‥‥」

「魔力切れを何度もしたのが大変でしたわ。辛かったですわ」


 魔力切れを起こすと人によって気絶以外にもめまい、吐き気、ふらつき、手の痺れなどが起きるみたいだ。今更だが。

 俺の場合はすぐ意識が遠くなるので知らなかった。


「良かったな。お疲れさん。今日明日はゆっくり休んでからギルド依頼を受ける事にしようか」



 明後日にギルド訪問。なんだか騒がしい。


「あっ!! ネロさん! 良いところに来てくれました。大変なことになりました! スタンピードですっ!!!」

「スタンピード? モンスターパレードと何が違うんですか?」


「モンスターパレードよりも遥かに大規模で同時多発的に起こるのがスタンピードです!! でもネロさんパーティーが居れば‥‥‥」

「同時多発!? どことどこに発生するのかわかりますか?」


「ここ王都とマロニェール領、ミヤキャソル領のようなのです」

「全部俺の関係あるとこじゃねーか!! どうしたらいいですか?」

 王都は今住んでるところ、マロニェール領は実家マイチー州のある領、ミヤキャソルはマリアの実家がある。


「ネロさんの家族も含めて総出で対応してもらえないでしょうか?」

「そうせざるを得ないよなぁ。わかりました」


ーーーーーーーーーーーー


「おお、ネロよ。国難じゃ! なんとかしてもらえぬか?」

「陛下、私もこのヤーパンの一員でございます。全力でこの国難を退けてみせましょう」

「おぉ、頼もしい。王都、マロニェール、ミヤキャソルと同時とあってはどうするのじゃ?」


「そうですねぇ、こちらも同時展開しましょうかねぇ。陛下! お願いがございます!」

「お、おう。なんじゃ?」


「この件に関しては、私に絶対指揮権をいただけますでしょうか?」


絶対指揮権とはその場においての最優先指揮権。三カ所同時多発スタンピードなんて即座に情報が行き届かなければ被害を抑えることは難しいだろう。だから俺が進んでやりたい訳ではなく俺なら被害を最小限に出来るかもって手を挙げた。


 陛下は感動していた、ようだ。義息子の俺が自ら頑張って食い止めようとしてる姿を見て。


ーーーーーーーーーーーー


「早速ですが軍議をまとめます。王都守護隊隊長ポール様。ミヤキャソル領辺境伯トーマス様。マロニェール領代表マイチー州領主ゲオルグ様。ようこそ」



「ネロよ! 久しいな! 父上も辺境伯様もご無沙汰しております!」

「まさか霧を潜った先が王宮とはね。ネロくんの魔法には驚かされるばかりだよ」

「ネロよ。儂が化かされている訳ではないのだな? いつからこんな立場に‥‥‥?」



「まぁ、細かい話は後にしましょう。今していただきたいのは王都とマロニェール領とミヤキャソル領を襲う予定のモンスターの群れの対応についてです。一応私の対応案ですがご覧下さい」


「「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」」


「どうでしょうか?」

「フハハハ、さすがはネロだ! こうするよりあるまい!」


「現状これが最上でしょうな」

「異論はないが、ネロよ。こうする他ないのか?」


「辺境伯のおっしゃる通り、これが最上だと考えます」

「‥‥‥心得た」


さてと、どうなることやら‥‥‥。

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