調査依頼


それから数ヶ月‥‥‥


「Sランク冒険者 ネロ殿はご在宅ですか⁉︎」

「はい、私ですが‥‥‥」


「私は冒険者ギルドのジーンと申します。指名依頼が入っております。ギルドまで御足労いただけますか?」

「わかりました、行きましょう」


「わたしの事、覚えてますか?」

「えーと、結婚式前夜に声を掛けてくれた方ですよね?」


「!!!! そ、そうです! 覚えていてくれましたか! ありがとうございます!」

「いえ、こちらこそ。あの時、声を掛けてくれなかったら一人ご飯でしたから‥‥‥」


「奥様に代わり、今後は私が専属で対応させていただきますので、宜しくお願いします」

「わかりました。こちらこそ宜しくお願いします」




「よく来てくれた。ネロ。子供が産まれたって?」

「ご無沙汰してます、ギルマス。指名依頼って断れないやつですよね?」


「どうしてもの場合以外は、基本な。辺境で魔の森が発見されて、そこの調査をしてもらいたい」


 魔の森‥‥‥ こっちの世界では数多くある未開拓地域で見つかる強いモンスターの住処になっているであろう森の事だ。


「わかりました、報酬は相場で‥‥‥」

「ありがたい、宜しく頼む」



「今回こそ絶対行きますゆえ。ネロ様の側を離れませぬ!」

 ヨウコちゃんの決意表明。まぁ前回の事があるので、連れて行くか。


「我はいつでも呼んでいただければ」

 リヴィアは留守番希望だ。まぁこう言ってくれてるから、必要な時は召喚しよう。


「ウチはもちろん行くニャ」

「あちしも。森だと索敵が必要だろ?」

 ローズ、サラはいつも通りだ。


「じゃあ今回は四人で行こうか」


 辺境伯領の端に見つかったという今回調査する魔の森。辺境伯領中心からは、かなり離れている。


 とりあえず辺境伯領まではミストドアで移動。

 これだけでかなりの日数が浮いている。


 で、その端っこの森までは、この間作った雲でひとっ飛び移動だ。


「ニャー! 速いニャー!!」

「こりゃご機嫌だぜ!!」

「ネロ様!! またかような移動を!!  いやぁあああーーーー!!!!」


 猫二人はご機嫌、ヨウコちゃんはご機嫌斜めになってしまった。





「ここが魔の森か‥‥‥。サラはなんか感じるか?」

「やべぇ臭いと気配がガンガンするよ‥‥‥」



 ミストサーチを最大限展開。ただ森は遮蔽物が多く、イマイチ分かりにくい部分が出てくる。


 ヨウコちゃんにも警戒を頼む。

 実はヨウコちゃん、この世界でも屈指の魔法使いだそうだ。使えるのは全属性。魔力もかなり高い。俺程では無いけれど。


「10時の方向! アイアンリザードが三頭!!」

「妾に任せよ。『サンダーIII』!!」


バリバリッガガーーン!!!!


 大轟音と共に雷の束が降り注ぐ。

 アイアンリザードは残らず光の粒子になっていく。オーバーキルじゃないか?


「やり過ぎじゃ無いか? 魔力も節約していかないと‥‥‥」

「ネロ様のお側に居れば、魔力切れなど有り得ませぬ」

「それもそうか‥‥‥」


 ドロップ品はアイアンリザードの皮だった。並の武器では傷もつかないなかなかの素材だ。うちのパーティーでは要らないかな。

 一応、拾っておくか。

 


「! 旦那、誰か来るぜ!」

「この形は‥‥‥、人か?」



「なんだ、キサマらは? 何者だ?」


 聞いた事があるな‥‥‥、森の中で女性だけで社会を形成している種族、地球で言うところの『アマゾネス』みたいな種族がいるって。


「ここから先は我々の支配している領域だ。許可なくうろつくな。村に来るなら歓迎する、がこの中に男はいないだろうな?」


あ、そういえばそういう種族だったよね~。

どうしよう?

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