Sランク表彰式


「ネロ・ヴァッサー、前へ」

「はっ」


 ここは王宮。せめてものお願いだけは通って、こっそり表彰してくれた。その他大勢の貴族とかはいなかったので助かった。


「ネロ・ヴァッサー、先日のモンスターパレードにおける活躍は目覚ましいものであった。よってここに其方の功績を評し、冒険者Sランクに任じる事とする」

「ありがたき幸せに存じます」


プラチナカラーのプレートが王直々に手渡される。

「シャルを宜しく頼むぞ」

「はっ」


「本来なら大々的に発表するところだが、本人たっての希望故、この様に小規模の表彰式となった。諸侯もあまり言いふらさぬように」

「「ははっ」」


「御義父様、御義母様もいらっしゃれれば良かったのだけど‥‥‥」

「シャル、気遣いありがとう。手紙で報告しておくよ」



「ネロくん、おめでとう! この間はありがとう。体調もすっかり良くなって以前より元気になったわ」

 表彰式のあと、控室に王妃様がいらっしゃった。

「王妃様、御健康になられて誠に嬉しく存じます」


「堅苦しいわねぇ。ワタシは王妃の中でも下の方だし、シャルの母親よ。息子になるのだから、こんな場所では楽に話してちょうだい」


 うわぁ、話し方がシャルそっくり。いや、見た目も双子って言われてもわかんないくらいだけど。


「わかりました、お義母さん」


 普通なら勝利パレードとか凱旋パレードとかがあるみたいだけど、俺はもちろん断った。あんなの最高に目立つじゃん。罰ゲーム以外の何物でもない。


 王都の我が家に帰って来た。

「ネロくんお帰り、表彰おめでとう」

「ありがとう、ナタリー。これでようやく君とも結婚出来るね」

と言ったら、ナタリーは真っ赤になってしまった。

「もう、ネロくんたら‥‥‥」



「ネロ、おめでとうニャ。あっという間に抜かれてしまったニャ」

「旦那、おめでとう。あちし達もちゃんと構ってくれよな?」


「ローズ、サラ。ありがとう。今後ともよろしくな」


「ネロ~、おめでと~。ようやく結婚出来るね~」

「マリア、ありがとう。待たせてごめんね」


 これでようやく公式にシャル、マリアとの婚約を発表出来るというものだ。


 プロポーズも正式にしないといけないな、こっちの常識があまり無いからな。どういうものなのか?

 誰に相談しようかな?


 だとすると、ポール兄かクリフだな。比較的近くにいるクリフにしよう、卒業以来だ、久しぶりだ。

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