望まない再会


 デフロック侯爵の屋敷についた、なんか派手だな。ゴテゴテとしてると言うか何というか、はっきり言えば美しくない。


「何だ? 貴様らは?」


 当然だが門番に止められる。すっごい感じ悪い。王家の依頼書を見せると態度がガラリと変わって通してくれた。

 まぁ考えようによってはちゃんと仕事してるって事だろう、アップダウン激しくて耳キーンってなるわ。


「領主様は獣人がお好きでないから、お付きの者は馬車で待たれよ」


 うわっ、そっち系の人間か。確かに差別的に扱われる事も多いらしいのは知ってたけどさ。


 ローズとサラは慣れてるというか当たり前の顔をしている。


 マリアも

「私もここで待つわ、そういう人とあまり顔を会わせたくないし」

と馬車に残った。


 えー、俺一人で会うの?


 屋敷の中に通された。太めの男性がいる。


「よく来た、其方が王家から派遣されて来た冒険者だな?」

「冒険者のネロと申します。来る途中の乾燥していた地域で雨を降らせてみたのですが、あまり効果がありませんでした。何か‥‥‥」


「何ぃ! 効果がないだと⁉︎ 貴様ホンモノか?」


 失礼だな、なんだこのオッサン‥‥‥てなんか前もこんな事があったような。アレは確か学院に入る前に‥‥‥。


「おい、聞いているのか? 貴様! 水魔法を見せてみろ!」


 アレ? 急にそんな展開?

 まぁ見せれば証明になるだろう。


「スコール!」


 屋敷の屋根を叩きつけるように豪雨が降ってきた。俺も少しムキになっていたようで、少し魔力込めちゃったみたい。


「父上! 何事でしょう? 先程まで晴れていたのに急に大雨が‥‥。⁉︎ キサマ、まさか水か? 何故ここにいる⁉︎」


 急に誰か入ってきた。でもなんか聞いたことある声、見た事ある顔、俺を「水」と呼ぶ奴いたっけな。でも、名前が出てこない。


「えーっと、どちら様でしたっけ?」

「キサマ! 忘れたとか言うんじゃないだろうな⁉︎」


「‥‥‥すいません」

「ダニエルだ! ダニエル=デフロック侯爵次期当主だ!」


 あっ! 思い出した! 

 模擬戦の後、バックれた人だ。


「失礼しました。思い出しました。お元気そうですね」

「何をキサマ、いけしゃあしゃあと‥‥‥」


 侯爵様が出てきて止めた。

「ダニエルよ、もう良い。話が進まん」


 そうでした、ニセモノと疑われたから雨を降らせていたのだった。雨を止めた。


「侯爵様、これでいかがですか?」

「う‥‥む、ニセモノでは無さそうだな。となると効果がないとはどういう事だ?」


「雨の直後は湿っていますがすぐに乾いてしまうのです。この土地に何か原因があるのではないでしょうか? 例えば呪いの類いとか‥‥‥」


「キサマ! 我が領地が呪われていると吐かすか⁉︎」

「父上、このような者に頼る必要はございません。とっとと追い出しましょう!」


 おっと、なんかマズイ雰囲気だ。


「いや、仮にも王家から派遣されてきたのだ。無闇に追い出すのはマズイ。うーむ」


 じゃあこっちから提案しよう。

「とりあえず領都内の宿で待機しておりますので、何かございましたらお呼び下さい」

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