王都学院編

学生寮


 色々あったが無事入学出来た。発表の後一度マイチー州に戻り寮暮らしの準備を整える。まぁアイテムボックスになんでも入れて行けば良いので大変では無い。あとはしばらく離れるので近所や大将に挨拶しておかねば。


「なんでぃ。王都でもどこでも行っちまえ!」

「夏休みには戻ってくるよ」

「へっ、ケガなんかすんじゃねーぞ!」

 うーん、ツンデレ。このやりとりもしばらく出来なくなるんだな。

 

「ネロ行っちゃうのね」

「母様、夏には戻りますよ」


「大丈夫? やっぱり私も‥‥‥」

「いいってば」


「では父様行って参ります」

「うむ、実りある学院生活を過ごすように」

「はい」


「あまり目立つなよ」

「はい、ピーター兄さん」


「俺も向こうに行くから何か有ればな」

「よろしく、ポール兄さん」


 ポール兄さんは王都で騎士見習いとして近衛兵隊に入隊予定だ。ピカピカ鎧伯爵の勧めでそうなったらしい。

「じゃ、行ってきます!」


 ダッシュで走り去る。俺が身体強化して走って行けば馬車よりずっと早い。  

 所々で休憩をしつつ、感知する範囲でモンスターがいれば、狩りつつ進んで夕方には王都に着いた。貴族専用門を徒歩で入ろうとして止められたが説明したら通れた。貴族専用門は馬車で入るものらしい。


 寮に行く前に辺境伯邸に。泊めてもらったお礼にマイチー州名物の蕎麦粉だ。マイチー州は寒暖の差が大きく、良い蕎麦が獲れるのだ。年に一度晩秋の時期にマイチー蕎麦祭りなんてのも有るのだ。


「ネロ、受かってよかったわね。しかも特待生なんて」

「ありがとう、マリア。そういえば実技試験の時の話だけど‥‥‥」


「その前にオークの群れから助けてもらったしそれは別にいいんだけど」

「いや、それは試験日まで泊めてもらったし」


「じゃあ保留にさせて。何か有ったらお願いするわ」

「そうだね、それで。なんでも言って」


 辺境伯邸を出て寮に着き、部屋を案内される。なかなか綺麗だが特待生だからといって部屋は特別では無いみたいだ。寮費が無料ではあるけど。隣がガタガタしてる、隣も今日入寮したのだろう、挨拶しておくか。


 ノックする「はーい」ドアを開けると可愛い顔の少年だった。

「こんにちは、隣の魔法科一年のネロ•ヴァッサーです。よろしく」

「こんにちは、僕も魔法科一年のクリフ・エステラーゼです。こちらこそよろしく」


おお、同窓生だ。 

「何が使える? 俺は水だけなんだけど」

「僕は火と水、風、土の四つ」

「テトラマジシャンじゃん! スゴイ!!」

 二種はディ、三種がトリ、四種がテトラだ。エリスママンがトリでピーター兄はブラックと別系統なのだ。 


「ネロ君こそ一種で合格できているんだからそっちのがスゴイよ」

「ネロでいいよ。ねぇ鑑定してもいい?」

「! 鑑定も出来るの? あと、僕もクリフで」


 クリフ•エステラーゼ 12歳


HP 150/150

MP 255/255

腕力  11

器用  17

素早さ 15

体力  12

魔力  20

魅力  17


火魔法LV2

水魔法LV1

風魔法LV2

土魔法LV1

魔術師


 優秀じゃないか! クリフは。


 聞いてみたらエステラーゼ伯爵の次男だそうだ。身なりも良いので金持ちなのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る