入学試験②
鑑定検査の試験は散々だった。おかしい、神級すごいってあんなに騒ぎになったのに。実技試験でひっくり返すしかない。
よし、全力でやってやる!
実技会場は少し離れている。どこだ? 迷ってしまった。こっちか? 違う、それならこっち、あれ、入り口だ。あれ、わからなくなってしまったぞ。
ウロウロしていたら試験終了の時間が迫ってくる。場所はわからないが時間はわかる、だから余計に焦る、どうしよう。
「ネロ? 何してるの? 試験終わったの?」
振り向くとマリアがいた、走り寄ると
「マリア‼︎ お願いだ、俺を実技の会場に連れてってくれ。なんでもするから」
焦りのあまりマリアの肩を掴み揺さぶる。マリアの顔は真っ赤になる。
「な、なんでも⁉︎ わかった、わかったから離して」
「あ、ごめん」
「ほら、ここが実技会場よ」
「良かった、ありがとう。助かったよ」
「早くしないと打ち切られるわよ」
そうだった、時間が。急いで会場へ入る。
「すいませーん。まだ間に合いますよね?」
「いえ、ダメです。時間です。規則ですので」
そんな⁉︎ ここでダメなら確実に落ちる。
「時間ギリギリセーフでしたよね?」
「すいませんね。規則ですので」
コイツそれしか言わねーじゃん。
クッソ!
「ちょっと貴方?」
後ろから声がした、マリアだ。
「マリア•フレインと申します。試験官さん、貴方この人を受けさせてあげて下さいな。貴方のために」
「は? えっ? フレイン辺境伯の‥‥‥。しかし時間が‥‥‥」
「‥‥‥知らないわよ」
凄みのある声だ。ここまで貴族に言われたら試験官だって馬鹿では無い。
「わかりました。その代わりに遅刻扱いで減点させていただきますから」
「ですってよ。ネロ」
「ありがとう、マリア」
「魔法科受験だね。あの的に向かって魔法を放って下さい。一回しか測定しませんので。おーい、あと1人いるよー、スイッチ入れといてー」
「えーまだいるのー?」
「おせーよ」
まぁ色々聞こえるけどワンチャンしかないんだ、集中、集中。あ、でも一応確認しとかなきゃ。
「全力でやってもい‥‥‥」
「早くしなさい!」
「わかりました」
許可もらったからOK、全集中! 魔力を練る練るねるね。周りの気温が上がる、全力で放つのは何気に初めてかもしれない。
よし、打つぞ。初披露だ。
「ハイドロボム‼︎」
シューーーーン‼︎‼︎
ガス漏れのような音の後に
「伏せて!」
ドーーーーーーーーーン‼︎‼︎‼︎
閃光弾の様な眩しさのあまり見えていないだろう、白い煙は湯気なのか水蒸気なのか、晴れた時にはあったはずの建物がなかった。
「よし!」
「「いや、良しじゃない‼︎」」
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