母 エリス


 昨日一日は魔法の検証に使ってしまった。今日こそはゆっくりするんだ。


 朝食を済ませて片付けを手伝った。そういえばママンは魔法が使えたのではなかったか?


「母様は確か魔法が使えましたよね? よかったら見せて下さい」

「ええ、使えるわよ。ただし水属性はないわ。私が使えるのは火と風と光ね」

 エリスママンは攻撃的だなぁ。まぁでも参考になるかもしれないし。


「お願いします」

「よーし! じゃあ張り切ってやっちゃうわよ~。でも安全なところに移動しましょう」

 確かに火も風も家の近くでは出来ないな。


「じゃ、簡単なやつだけね。『ファイアボール』」

 1メートルくらいの大きい火球が岩に向かって飛んでいく。速さも俺のウォーターレーザー以外より速い。ボンッと岩に命中、煙が上がり、岩は粉々になっていた。


「凄い‥‥」

素直に感動した。発動の速さも魔力の密度も俺とは桁違いだ。どう鍛えたらこうなれるかな?


「母様、ステータスを見てもよろしいですか?」

「えっ? ネロ、あなた『鑑定』も使えるの?」

「はい、使えます」

「スゴイじゃないの!」

 あれっ? 言ってなかったか。

「ちょっと恥ずかしい気もするけどいいわよ」

 よし、『鑑定』


 エリス•ヴァッサー 31歳


HP 250/250

MP 390/395

腕力  12

器用  17

素早さ 20

体力  18

魔力  23

魅力  21


火魔法LV4

風魔法LV4

光魔法LV3

魔術師


 おお、見られた。

 これがエリスママンの‥‥‥。て、なんか俺とそこまで差が無いような。MPと魔力に関しては俺より低いし。んー、つまりどういう事だ?


「どう? 見られた?」

「はい、大丈夫でした。母様は自分のステータスを把握しているんですか?」

 この世界ではステータスとして自分の特徴を数値で把握出来る。それは自分の才能を伸ばしやすい方に進められるって事だ。

 才能のないことを頑張るより才能のあることを頑張った方が才能を活かした人生を送れることになる。逆に言えば好きでもない才能のあることをやらされ続けることにもなりかねないが。


「もちろんしているわよ。魔術師で火と風の魔法がLV4、光魔法がLV3でしょう?」

「そうです」

「でも他人に無闇に鑑定してはダメよ。『プロテクト』してる人とかにはされたことを気付かれてしまうし」

 成る程、王都に滞在していた時沢山の人と会ったけど全然使ってなくて良かった。まぁ色々ありすぎて忘れていたのもあったけど。

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