第3話

 神社で何気なく綾香と座ってぼーっとしていると、須田君が「何も祈らないの?」

 と、聞いてきたのがきっかけだった。


 それから三人で色々と話した。

 生前の須田君は今通う学校の三年生だった。

 交通事故らしい。

 それで、須田君はこの世から去り。

 死んだ後は神社でお参りしている人とよく話すようになった。

 須田君はこの町では有名人だ。


 須田君は、姿は見えにくく。透けて見えるけど、その大きな声はこの町の誰よりもよく聞こえるのだ。


 明日に須田君のために備えて、おばあちゃんからサイカチの葉とムクゲの葉を貰った。本当は危険な砒霜ひそうという毒にもなる薬を須田君の骨に塗るのだけど、須田君の骨にはトリカブトで間に合わせた。


 ベッドの中で、明日は須田君のもう一つの誕生日だなと思った。

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