反魂

主道 学

第1話

 空から天の恵みが降ってきたみたい。

 それもザンザンと激しく。

 風はなくて。

 暗闇の中で二人で佇んだ。


「きっと……ねえ……ん? そうでしょ」

「そうね……」

 

 轟きと共に振りだしたその夕立は、二つの花壇に潤いをこれからも与えつづけるだろう。

 

 そう、私たちには残酷だった。

 

 

 17で夏だった。

 友達の綾香も17だ。

 もうすぐ夏休み。

 今は7月だった。

 

「ねえ、晴香は明日は家に来るって言ったね。それなら家の花壇にアレを植えましょ」

 机に乗せたそれぞれの鞄には、お揃いのテニスボールのキーホルダーがぶら下がって、中身は教科書なんてなくて、お弁当が入っているだけ。

「そうよね。アレを植えましょ」

 キーンコーンとチャイムが鳴る。

 教室は途端にガヤガヤと騒ぎ出した。

 学校は今日でおしまい。

 明日から私たちの夏休みが始まる。


「須田君も来るって?」

「ええ。もう言ったのよ。須田君に」

「もう?」

「ええ」

 

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