第15話 ヒロイン対策は念入りにした……かった(エリオット視点)
なんなのあいつ?ほんとマジムリなんだけど!
昨夜の疲れを残したまま食欲もないのに集まった朝食の場にはもちろんヒロインがいた。まったく、あんな事があったのによく顔を出せるよね。確かヒロインって天然でどこかズレてるイメージがあったはずだけど、それって図太いの間違いじゃないの?!
……まぁ、1番意味わからないのはジェンキンスなんだけどさ。
あいつずっとヒロインを睨んでるし、食事にもほとんど手をつけずにフォークを投げ出して部屋から出ていくし、もはや「何かありました」って宣伝してるようなものじゃないか。あのヒロインがどんな思惑があってリヒトにチクらなかったのかは知らないけど、それでもリヒトやルーファスにバレたらマズイのはわかりきっているだろうにさ。バカなんじゃないの?!
さらに“変”と言えばルーファスだよ。あいつ、何キモい目でヒロイン見てるのさ?ほんのり頬を赤く染めてるし、なに?なんか開けちゃいけない扉でも開けちゃったわけ?どれだけ顔が良くてもあんな変態を兄と呼ばなくちゃいけない僕の身にもなって欲しいよ!あー、キモい。
リヒトはリヒトで、裏の読めない微笑みを浮かべてるし……もー、マジキモい!
「はぁ……」
僕は自室に入ると盛大にため息をついた。
今のところ僕がヤンデレ化する感じはしないけれど、いつゲームの強制力が働き出すかわからない。だから出来るだけヒロインには関わりたくないのに……さっきはジェンキンスに絡まれてるのを見てつい助けちゃったけど、そのせいで僕のルートを選ばれたら大迷惑だ。
「……こうなったら、ヒロインがどのルートを選んだか調べるしかないか」
結局はあのヒロインがどのルートを選んだのかがわからなければ対策のしようがない。それにリヒトは確かお助けキャラのはずなのに、どうにも不穏な雰囲気がする……気がする。まったく、おとなしく好感度のお知らせだけしとけば良いのに何を企んでいるんだか!
……もしかしなくてもゲームとは違う状況になっているのだろうか。と、不安にも思うからだ。
「でも……」
それでも、やっぱりヒロインに近づくのは怖い。下手に近づいたりしたら何をキッカケにエリオットルートになって僕がヤンデレ化するかわらないじゃないか。
どうしたらいいんだろう。
悩めども答えは出ず、頭を抱えていると……部屋の扉がコンコンとノックされる。
「……誰?」
あのキモい兄達が僕の部屋にやって来るなんてほぼ無い事だが、もしかしたらさっきの事や昨夜の事をジェンキンスが口止めにでも来たのかと思った。それともリヒトがーーーー。とイライラしながら鍵を開けて思いっきり後悔することになる。
それは思いもがけない相手だったのだ。
「……あの。私よ、エレナ。エリオットに話があるのよ」
なんでヒロインが僕の部屋にやって来るんだよーーーー?!
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