ちょっとした夢

春嵐

第1話

 夢から覚める。

 彼女のことは、覚えていない。何かあって、夢を見ていて。彼女に逢った。それは分かるのに、彼女の顔も、声も、服さえも。思い出せない。いつもこんな感じだった。


「おい。行くぞ。駅前にでかいのが出た」


「そうか」


 夢から覚めれば、現実。任務が待っている。


「終わらせて、もう少し寝るか。まだ寝足りない」


「眠るの、本当に好きだな」


「まあね」

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