第39話 気の抜けたケバブ屋

今や若者に大人気!急増しているケバブ屋。

つい先日キッチンカーでケバブ屋を開業したというIさんにお話を伺いました。


どんな場所で売っていることが多いですか?

「普段は大型商業施設の前で売っていることが多いですけど、イベントとかあればどこでも行きますよ。やっぱり人が集まる所の方が売れますからね」


どのような経緯でケバブ屋を始められたんですか?

「経緯ですか?特にないですよ。出来る仕事が他になかったので」


以前は他の仕事をされていたことはあるんですか?

「前は普通に営業職みたいなことやってました。けどなんか着いていけなくて」


着いていけなかった、といいますと?

「社会の速さ、というかそういう感じのものにです」


なるほど…

それで何故ケバブ屋になろうと思われたのでしょうか?

「なんか会社で働いてた頃は不安だったんですよ。なんというか世界が回ってるのに着いていくのに必死、というか着いていけてるのかなーみたいな気持ちがずっとあって」


世界が回っているのに着いていく?

「はい。それである日ケバブが回ってるのを見たらすごく落ち着いたんですよ。

その時はなんとも思わなかったんですけど、その夜寝る前にケバブが回ってるのを見たいってことしか考えられなくなって次の日には辞表を提出しました」


すごい行動力ですね

「そうですかね?

そうするしかなかったからそうしただけなんですけど」


では今はケバブが回っているのを見ると落ち着くと?

「そうですね。仕事中はずっと回ってますし、夜もその気になれば自分のトラックでケバブが回ってるのを見られると思うと落ち着ける気はしますね」


ケバブが回っているのを見ると落ち着くという方はあまりいらっしゃらない気もしますが「なんでなんですかね。

なんかケバブが回ってるのを見ると地球が回ってるのを実感出来るんですよ。

ほら、地球って結構な速さで回ってるらしいけど実感ないじゃないですか」


…そうですね。

何か今後の目標などあったりしますか?

「そうですね…

ケバブ屋をずっと続けていきたいってだけですかね。

この回転を見てると楽なので」

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