第37話 絶壁

博物館に来たはずだ。

最新のテクノロジーを紹介してくれる大人も子供も楽しめる施設。

そんな建物で私は何をしているのだろう。

全ての展示物を見終わり、外に出るつもりがレストランに来てしまった。

先程下りてきた階段は間違いだったのか。

そう思い階段を上るとその先は売店で

私は出口に向かいたいのだ。

食事もお土産も興味は無い。

すみません、出口にはどうすれば行けますか?

スタッフに尋ねてみる。

懇切丁寧に説明してもらいその通りに進んだ筈が何故なのか私が辿り着いたのはレストランであった。


「いやー、大成功ですね」

「ああ、遂に私達の認識操作技術もここまで来たな」

「はい、ここまで本当に苦労しましたね」

「一口に出口がわからないようにするといっても実際中々複雑なコマンドですよ」

「しかしイマイチ展示としては地味かもしれないな。パッと見では館内をずっとうろうろしているだけの人だしなぁ」

「脳内の困惑具合が伝えられるといいんですけどね」

「そうだな、見せ方についてもうちょっと考えてみるか」

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