第624話 魔族5

しかし、目の前の奴は、1人の者が乗っ取ったというよりも、誰もが優位に立つことなく、融合しているようにしか見えない。


ウルフが融合したのか、合体したのか、わからなが、先ほど出ていたドス黒い魔力と関係があるのは間違いないみたいだ。


ドス黒い魔力は、誰がばら撒いているのだろうか?


それを誰が作っているのか?


ばら撒いている奴と、作っている奴が同一なのか?


さぁ、目の前の怪物を、どうにかしなければ。


大型になった怪物のようなのが、俺の方に歩いてくる。


融合された魔族は残念だけど、元に戻ることができないだろう。


なんて、ことを考えていたら、怪物が近づいてきて、俺を腕で捉えようとしたので、もちろん、俺は下にしゃがんで回避した。


そして、すぐにファイヤーストームで怪物の腹を燃やしたが、皮膚が硬いみたいで表面を焦がしただけになってしまった。


俺は、一度、離れて間を取ることにした。


今の俺の攻撃でファイヤーボールではなくファイヤーストームで相手にダメージを与えることができないと言うのが厄介だ。


奴の動きは、今のところは遅い。


しかし攻撃してもダメージを与えることができるのか?


剣の方がいいのか?


俺は異空間収納から、剣を取り出して構えた。


怪物が、ゆっくりとした足取りで近づいてくる。


のっそりとした感じて、俺に近づこうとする。


両手を上に上げて俺を掴もうとしている。


「グワァ〜」


言葉も話すことができないのか?


なんだか、怪物になったはいいが、哀れだな。


「グワ〜」となんだか、悲しい雄叫びをあげる怪物。


その時に、また陽炎が2つ現れた。


「なんだ?」


何かが起きる予感がして、俺は警戒を強くする。


何かが起きようとしている‥‥‥


陽炎は、一瞬で姿を現し人になった。


なんだ、何が始まるんだ?


姿を現した陽炎だったものは、キョロキョロしている。


自分が、ここに現れた理由がわからないみたいに‥‥‥


姿を現した2人は、農民のような格好をしている。


手に持っているのは、畑を耕す鍬だ。


その鍬で、俺を攻撃するのか? 意図がわからない。


姿を現した農民の2人は、後ろを振り返り、「うわぁ〜」と驚いて地面に腰をついてしまう。


しかし、何が起きるのか俺が見ているうちに、予想もしていないことが起きてしまった。


農民2人が怪物に融合されてしまった。


「うわ〜、助けてくれ」


強い奴を融合するなら、わかるけど、明らかに、そうじゃない人を融合するなんて、思わなくて間に合わなかった。


考えもしない怪物の行動に、唖然としながら、どうにかできないか行動するまもない。


2人は怪物に融合されてしまった。


その融合スピードも初めよりも早くなっている。


1秒もないスピードで、農民は怪物の一部となってしまった。


なんだ、何がやりたいんだ?


予想できることなら対処しやすいが‥‥‥


また、すぐに3つの陽炎が立ち上る。


今度も、人だと思えるので、俺は転移させる用意をする。


この怪物は何が、したいのか、さっぱりわからない。


一度めは助けることができなかったが、今度は、そうはいかない。


現れようとする三人の陽炎。


姿を現した三人が融合される前の時間がないと思えるけど、完全に姿を表さなければ転移させて逃すことはできない。


多分、姿を現し終えた瞬間に融合が始まる可能性がある。


三人、同時に姿を表すと「!、っ」と思わざる人物が姿を現した。


「親父?」と言いながら3人を転移させて避難させた。


一瞬の間もないくらいの時間だったので、親父は俺とは気が付かないと思う。


今、一瞬、姿を現した3人のうち、1人は久しぶりにみる父親だった。


俺が三人を転移させた先は、山荘の別荘だ。


久しぶりに親子対面が待ち構えている方が緊張してしまう。


さぁ、もう終わりにしよう。


怪物に取り込まれた人は助けることができないだろうけど、これ以上の被害が増えることを避けなければならない。


俺は剣を抜いて、微振動の魔法を使って、さらに雷撃魔法を剣に纏わせる。


一撃で仕留めることにした。


怪物はゆっくり歩いてきている。


俺は、怪物の腹に狙いを定めているけど、怪物は大型なので、人間の位置とは違い、上になる。


かなり普通よりも上に構えて、怪物に突進を始めた。


俺が走り始めると、怪物も、今まで遅い動きしかしなかったのに、急にすごい速さで走りだした。


怪物は腕と手の爪で俺を引き裂こうとしているのと、腕で捕まえて俺を圧死させようとしているのか、武器は持っていないが、爪の鋭さがある。


俺の攻撃が届く前に、奴の手の方が長くて、俺は避けねばならなかった。


これは今の速度では、懐に飛び込めない。甘く見ていた。


怪物と俺が同時に振り返り動き出す。


先ほどよりも素早く動いて、怪物の懐に潜り込み、奴が俺を認識するよりも早く、剣を突き立てて、腹を掻っ捌いていく。


雷撃魔法と振動魔法を剣に発動させているのに、結構、硬い‥‥‥。


怪物の動きが止まって、さらに一気に体を真っ二つにしていく。


剣が当たった部分から火が出て、同時に怪物が燃え上がってくるので、俺は怪物から距離を置いた。


怪物は燃え上がりながら、動くことはなくなった。


念話で様子を監視していたアリシアが「クリス、変な奴だったね」と連絡してきた。


「うん、そうだね。俺は、なんだか胸騒ぎがするなら、もう少し、ここにとどまるよ」


「うん、了解、お父さんは私が、もてなしておくね」


「うん、頼んだ」


なんだか、あっさりと怪物が倒されたよう気がしている。初めての奴なので気が抜けない。


腹を切られて真っ二つになった怪物が燃え上がっているので、あたりに、すごい臭い匂いがしている。


悪臭を鼻と口で布で覆って、、少しでも防ぎながら、少し離れてみることにした。


近くに大きな木があったので、警戒は怠らず木に背中を預けて地面に座った。


地面に座った途端、いつの間にか眠りに落ちていく。


頭の中で男性の声で「この世界も、魔族の世界も、終わりが近づこうとしている。それを救うことが、お前にできるか?」


寝ている俺に誰かはわからないが、問いかけてくる言葉‥‥‥


そこに警戒していた反応があって、俺は夢の中から目を覚ました。


俺が急いで立ち上がって、魔物を見てみる‥‥‥じっと見てみると、ピクリと動きがある。


体が痙攣しているのか? いや怪物の生命反応はない。


じゃ、なんだ? 鑑定魔法を使って確認してみると魔物の中で動くものがいる。


この姿は?


そう、この姿には覚えある。


魔族が攻め込んできた時に、暗躍している小さい黒い奴だ。


そいつが怪物の中から出てころうとしている。


一瞬、飲み込まれた人かと思ったが違った。


黒い小さい奴は、怪物の死体を押し退けながら出てきた。


出てきたところで俺と目があって、「はっ」と両者が立ち尽くす。


「貴様、どうして、まだ、ここにいる?」と言い出した。


「そんなことお前に関係ない」というと、奴は後ろに下がりながら、ゆらりと姿を薄くして消えようとしている。


「逃さん」


俺は奴が逃げようしている位置に、ありたっけのファイヤーボール、アイススピアをぶち込んだ。


姿が消えようとしていたのと同時に攻撃を放ったので、攻撃も奴のいる次元に吸い込まれたと思うが、死んだかは定かではない。


「さぁ、帰るか?」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


1話目の前半を書き換えました。


時間がなかったので、前半だけですが。


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