第586話 破滅へ向かう瞬間まで3
全員のメンバーが欠けることなく今まで通りとなったけど、これから、どうするのか?
しかし改めてメンバーの能力を確認するだけになってしまったけど、やる意味は大きかった。
特にアリシアの能力が確認できたのは良かったと思う。
他のメンバーはアリシアのことを知っていたみたいだけど、俺は知らなかった。
そのことに軽いショックを受けながら、アリシアが俺に近くなったような気がした。
選抜も終わりとなったので、俺は、土魔法で壁を作って高くした。
「全員、横に並んで」と俺が言うと、数人がブツブツいいながら並んだ。
「お腹減ったな」と
俺は、それを無視して「いい? みんな、あの壁を壊すくらいの魔法を放つんだ。それも全力で」
「ご主人様、これが終わったら何か食べれる?」とアイリスが聞いてきた。
「うん、みんなで一緒においしいもの食べようか?」
「やった~」
「じゃ、たくさん食べれるように魔法力を消費するぞ」
「あっ、私も、そうしよう」
「じゃ、並んだね、精いっぱいの魔法で、壁を壊してね、じゃ、開始」
もっとお腹を減らす為に、それぞれが得意魔法を使って壁を壊そうとしているけど、当然、簡単には壊れない。
俺は時々、チラ見しながら異空間から焼肉をするために準備していく。
ときどき、アレクやアデル、エイミー、アイリス、イザベラがこちらを見ている。
俺が土魔法で回りを固めていき、火を起こして、肉を出して焼いていく、片寄らないように野菜も出して、生で食べたり、焼いていく。
美味しい匂いが漂いだした。
「ジャネット」と呼んで、火の番を交代する。
メンバーたちは一つの魔法じゃなく色々な魔法を試している。
俺が端っこに並んで、魔法を行使する。
まずはファイヤースピア、多くの槍の形をした炎を出した。
数を増やす事もできるが、まずは槍を大きくしていく、その大きくしたものを数本、作ってみた。
まぁ5本くらいでいいだろう。
俺はファイヤースピアを飛ばして、5本が同じ動きをするのではなく、別々の動きをすようにコントロールする。
壁の周りを縦横無人に動き回る炎の槍。
俺が炎の槍を作って遊んでいると、誰かが俺と同じものを作り出してきた。
それも俺と同じ大きさで本数も5本……
誰だ? こんな芸当ができるのは?
俺と同じ航跡を飛ばしてくる。
俺が一本を上へ向けて走らせると、俺の後を追ってくる。
他は、壁の周りを回っている。
上に向けた槍と、もう一本、斜めに槍を走らせると、それも追ってきている。
さらに、もう一本、上空に飛ばす。それも追ってきている。
これは簡単なようで、かなり高等技術がいり、集中力も必要になる。
他のメンバーたちは、俺たちの魔法を見るためにやめてしまった。
俺がチラッと見ると、魔法を行使しているのは、やはりアリシアだった。
そこで、俺は意地悪して、透明になる魔法を用いた。
これは炎系の魔法と透明の魔法の多重魔法…
炎を操りながらコントロールもして意識を切らせることなく、透明の魔法を行使しなければならない。
しかも上空に放った魔法が、どんどん離れていく訳だから、コントロールが難しい。
「はぁ、もうダメ」と言ってアリシアは魔法を解除した。
「あ~あ、もう少し、できるかと思ったけど」
「いや、アリシア、十分、上達しているよ」
「クリス、それ本気で言ってんの?」
「うん」
「でも、クリスの魔法、まだ、飛んでいるよね」
俺は魔法を解除した。
「もう、飛んでいないよ」
「そ、それは違うわよ、クリスが魔法を解除したからでしょう?」
「うん、まあね」
「クリスは魔法を使いながら、余裕があるよね」
「そうかな」
「うん、十分、余裕があるね、あれは」とアレク
「うん、そうだね、私も、そう思う」とアデル
「でも、いい匂いがしてきた」とアイリス
「うん、どうだね」とエイミー
「よし、じゃ、食べようか?」
「やった~」とアイリス
俺たちは練習のあとの食事を楽しんだ
*
俺は食事しながら考えている。
魔族がいるのに、魔族の住む場所? ってどこなんだろう?
どこかに魔族が住む国があるのかな?
でも、今まで星の反対側までいったけど、そんな国はなかった……
それで皆に聞いてみる
「みんなに聞くけど、魔族って、どこに住んでいるか知っている人?」
「えっ、魔族ですか?」とジャネット
パトリシア「そういえば考えたこともなかったですね」
ロゼッタ「そうじゃな、あやつらは、どこからくるのか?」
シャーロット「魔族の国ってあるんじゃないの?」
「いいえ、長く生きていますが、そんな国はなかったですね」
「ワシも知らんぞ」とロゼッタ
セラフィーナ「そういえば、どこからくるんでしょうね」
全員が魔族がどこから来るのか、知らない…
ウルフの奴は魔族の王を吸収して、王になったと聞いた。
そして四天王がいるということだけど、今までの魔族との協力関係は吸収する為に近づくことだったのか?
ウルフの奴が何を考えているのか?
まずは、ウルフたちが動き出して見つけるよりも、魔族がどこから来るのか探る必要がある。
俺は一度もやったことがないが探知魔法を世界中に広げてみる。そうするとすんなりできた。
以前は、こんなこと簡単にできなかったな。俺は改めて振り返る。
結構、苦労してやっていた‥‥‥それが、今じゃ大してパワーも使わずにできるんだから本当に変わったものだ。
昔を思い出して懐かしんでいると「ちょっとクリス、早く食べなさいよ、無くなちゃうわよ」と横にいるアリシアが言ってきた。
みんな腹ペコで、すごい勢いで無くなってきている。
もう焼いた肉は、少ししか残っていないので、俺は異空間から肉を出して、ジャネットに渡した。
ジャネットは、即、肉を切って焼いていく。
たまには、こんなことも良いと思う、みんな頑張ってくれているから。
俺は今度は注意されないように、探知魔法を世界に広げていく。
あの魔族特有の姿を思い浮かべながら‥‥‥
でも、少しはいるけど、多くない。
ということは考えられるのは、一つ。
どこか他からやってきている可能性‥‥‥
それを突き止める必要がある。
魔族がどれくらいいるのか? どこからくるのか?
どうして人を狙うのか?
今、考えてもわからない。
考えてもわからないことは後回しにして食べよう。と思って焼いている肉を探したが、どこにもなかった。
*
俺たちはオーリス王国の屋敷に戻ってきた。
誰も欠けることなく、全員が合格したが、実践の戦いは、そう上手くいかない。
俺は自分の部屋で考えことをしているけど、他のメンバーは庭で戦いの練習をしている。
俺は、もう一度、探知魔法を展開して確認してみると、今度は増えている。
数カ所に数人ずついるみたいだ。一番、近くにいるのは、北方のダイラス連邦にいる。
魔族の5人がいる。
俺は、これをチャンスに変えることにした。
そこでジャネットに念話で連絡をとる。
念話『ジャネット、練習中、すまないが、ダイラス連邦に魔族がいるから、4人を俺の元に派遣して、条件は透明の魔法のインビジブルが使える人を選んで」
「はい、わかりました、ご主人さま」
そして現れたのが、ジャネット、パトリシア、アレク、アデルだった。
アレクは小さい方が、すばしっこくて良いだろうと言う判断だそうだ。
アデルは隠密行動に特化した狐だから選ばれたみたい。
「じゃ、ダイラス連邦に行こうか」
俺たちは魔族が、どこから切るのか知るために、ダイラス連邦に久しぶりにいくことになった。
もちろんダイラス連邦にも屋敷があるから、一瞬で行くんだけど。
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