第570話 救世主への道27(レジーナ王国編)
俺たちは結束を固め、奴隷の解放をすることにした、たぶん、亀のお腹の中にも奴隷の人が食われている。
奴隷たちは人間じゃいなんて、そういう考えは嫌だな。
俺は向こうから用事もないが、第二の王子のルーカスに会いに行く。
一応、王子が、どこにいるか確認してみたら、執務室で仕事中。
いつもの男性と2人で書類整理をしている。
なので馴染みがあるリアムとエマに先に行ってもらった。
「それでは、行ってまいります」とエマとリアムの2匹が俺の前に揃って敬礼をする。
この2人というか、2匹もアレクたちが敬礼をすることと同じようにしているけど。
ネコ2匹が俺の前に直立不動になって敬礼するしているのを見ると笑える。
そしてエマとリアムは転移していった。
俺が検索魔法で様子を窺っていると、うまくやれているみたいだ。
そうするとリアムが話が終わってみたいで「では、ご主人さまの登場で〜す」と恥ずかしいことを言い出した。
「あれっ、ご主人さま?」とリアム
「当たり前じゃない、そんな恥ずかしいことで登場できるわけないでしょう」とエマにどつかれていた。
俺はあまり待たせるもの嫌なので、恥ずかしさを我慢して渋々、王子の前に姿を現した。
「コホン」と咳払いして王子をみる。
王子は2度目なので驚いた様子はなかったが、リアムの言ったことに、一言、言いたそうにしていたが飲み込んで言わなかった。
俺は、言いたそうな顔を無視して話を進める。
「王子、ちょぅと良いですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「あなたの国は奴隷制度を持っていますね」
「‥‥‥はい」
「あなたの兄であるダニエルが、その奴隷制度を利用してお金儲けをしているみたいなんですが」
「‥‥はい、以前から気づいておりました。この国では、奴隷制度は合法なんですが、王族が関わってはいけないと法律で決まっているんですが」
「じゃ、知っていて、何もしなかったと‥‥‥」
「いいえ、手を打とうとしたんですが、証拠となるものが、何も見つからなくて、そのままに‥‥‥申し訳ありません」最後の言葉は小さくなる。
「ルーカス王子、今度のあなた方が人工的に作った亀ですが、餌となるものはなんだか、知っていますか?」
「いえ、知りませんが、今、言われた話から考えると、もしかして奴隷ですか?」
「そうです」
「っ、この国から奴隷制度をなくすことは不可能です。それは、貴族も多くの奴隷を抱えて仕事をさせています」
「そうですね、あなた1人では、どうしようもない」
「ええ、そうなんです」
たとえルーカス王子を王に据えても、他の貴族が黙っちゃいない。
しかし今の国王に意見しなかったのも事実だ。
貴族と言っても無視できない存在もいると思われる。
「では、国王の派閥ではなく、あなたの派閥の方はいるのですか?」
「はい、トラヴィス公爵を筆頭に数人の方がいます」
「では、逆に国王や王子に同調している方は?」
「はい、それもわかっています、父上に一番、近い位置にいるヴィクター公爵ですね。たぶん、ヴィクター公爵さえいなくなれば‥‥‥ヴィクター公爵は王家の親戚にあたります。この国の軍も率いていますので、軍司令長官です」
なるほど、王と王に一番、近い存在の2人がいれば誰も反対することができなくなり、軍でも動かすことができるし、軍の司令官だったら国軍も抑えられているということか。亀の件も、ヴィクター公爵が主犯格かな?
「トラヴィス公爵とヴィクター公爵の屋敷はわかりますか?」と聞いてみた。
王子はベランダに俺を連れて行って「あの屋敷がトラヴィス公爵の屋敷で、ヴィクター公爵の屋敷は少し離れて、あそこにあります」
ある程度、王子に聞いて情報を集めたので、俺はさっさとさることにした。
「では、王子、また」と行って転移しようとした。
そこに王子が「あの‥‥‥」と声をかけてきた。
俺は転移をやめて「なんですか?」と聞いてみた。
「あの、あなたは神ですか?」
なんだか、ひどい勘違いをしていないこともないけど「まぁ、想像にまかせます」と言って転移した。
宿に帰ってきてトラヴィス公爵とヴィクター公爵に合う必要が出てきた。
ヴィクター公爵の方が敵側になるので、先にトラヴィス公爵に会ってみようと思う。
王子と懇意にしているトラヴィス公爵を訪問してみよう。
王子に場所を聞いたので全員で行くのも、多すぎるので、神獣たちは俺のバックアップを頼み、他のメンバーも、できる人は練習のつもりで検索魔法をしてみることになった。
エマとリアムは、マントと剣になり、俺と行動を共にする。
俺はルーカス王子に聞いたトラヴィス公爵の屋敷まで転移してきた。
城の王子の部屋の方が高い位置にあるので、上から屋敷を示されれば、正確な位置が割り出せる。
俺は透明になりトラヴィス公爵の屋敷の前に到着して門の前にいるけど、当然だが門には兵士が警備している。
周りには店もないし貴族街だということで、貴族の住む大きな屋敷ばかり立っている。
立派な門に塀に大きな庭に、大きな屋敷が目の前に立っている。
俺は門の近くにいるけど、透明になっているので誰からも見つかることはない。そこで検索魔法を行使する。
トラヴィス公爵と思われる人物は、主人の部屋は上階にあるので、そこで年齢がいった男性を探すとヒットした。
俺は、どうしようかと思っている。
そこに念話で『ご主人さま、屋敷の方に向かっている馬車が一台います』
『あっ、見えた』と答えた
今、角を曲がってきたけど、まだ、どこに止まるのかわからないから、道路の端によけて待つことにした。
馬車が通りすぎることを期待して待っていたら、馬車がトラヴィス公爵の屋敷の前で止まった。
誰か、お客さんか?
と思ってみていたら索敵魔法でわかったことだがルーカス王子だった。
なんだ、ルーカス王子は、どうして、ここにきたのか?
ルーカス王子の馬車は、門の兵士と会話を交わして中に入っていく。
馬車が大きい庭を通り、玄関に馬車がついて、すぐに侍女が出て王子を迎える。
王子は、どうしてここにきたのか? 裏切りか?
王子が階段を上がっていく、扉が開かれ恰幅がいい男性に迎えられる。
その男性がトラヴィス公爵だ。
王子の突然の訪問に驚きながら、索敵魔法を展開する。
王子は客間に通され大きなソファに座っている。
まさか王子が裏切るんじゃないかな? という思いはある。
今、2人は侍女が持ってきた紅茶を飲んでいる。
「それで、王子、突然の訪問は、どういうわけです?」
「それが、大変、困ったことになった」と王子
困ったこと?
「なんです?」
「それが変な奴にかぎつけられた」
「えっ、変な奴?」
「ああ、そうだ。それで急いで対策を立てるために来た」
「それで、その変な奴というのは?」
「それがよくわからん。猫を使役しているのか、使い魔なのかわからんが、とにかく男で猫を2匹連れている奴だ」
「猫を連れている‥‥‥?」
「そうだ突然、俺の執務室に猫が2匹現れた、そのあとに男が、これも突然、姿を現した」
「魔法使いですか?」
「たぶん、そうだろうと思うんだが、何も、それ以上はわからん」
「う〜ん、困りましたね」
「トラヴィス公爵、どうにか、ならんか?」
「そうですね、聞いただけでは、どうにも対処しようもありませんが、暗殺者を仕向けますか?」
「そうだな、穏便に頼む、俺の幼馴染のも気づかれんようにな」
「ああ、そういえば、いましたね、いつも一緒にいる男が」
「ああ、あいつは、俺のことをよく知っているつもりだろうが、俺の金儲けのことまでわかっていまい」
「そうですね、あなたが兄である第一王子のダニエル王子の部屋を改装していることや、そこを隠し金の置き場にしていることも」
「ああ、知っているのは、お前だけだが、ダニエルも女と体を鍛えることしか、知らんからな」
「どっちかというと女のために体を鍛えているんでしょう」
「まぁ、そうかもな。俺がやった部屋の改装も階段まで作ったのに、そこに気がつかないなんて」
「まぁ、普通なら気がつくでしょうが、あのダニエル王子ですから」
「トラヴィス公爵、お前もいうようになったな」
「これもルーカス王子のおかげですよ」
「バカ言え
そう言えばトラヴィス公爵、あのレジーナ王国の姫をどうしても、手に入れるんだ」
「はい、それは、もう手配しております。うちの手練れのものをレジーナ王国に密偵として配置済みですので。
もう少しお待ちいただければ姫の顔を見ることができますよ」
「ああ、期待しているぞ、あの姫の体を舞踏会で見た時、本当に身の毛もよだつ感じだしたからな。俺が存分に楽しんだ後、あの戦争狂の親父にくれてやる」
「王子も悪ですな」
「楽しみがないとやってられるか。親父もバカ兄貴も俺の操り人形だからな」
「そうですな」
「あの麻薬でバカなオヤジとバカ兄貴を操って国を支配する、これが俺の第一目標だからな、邪魔はさせん」
「王子が国のトップに立った暁には‥‥‥」
「うむ、わかっておる」
麻薬で人を操る?
麻薬で?
えっ、そんな麻薬が作れるのは‥‥‥1人しかいない
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