第396話 ボールドウィン王国へ

俺たちは、朝から飛行魔法で飛んでいくため、空中でパニックを起こされると危険なので練習をすることにした。


「あの、本当に空を飛んでいくんですか?」とロリー


「うん、そうだよ。

良いかい、エレノア姫」


「呼び捨てでお願いします、勇者クリス様」ってエレノアが言い出した。


今までとは言葉使いも違うし、態度も全然、違いすぎる、どうしてだ?


何かあったんだろうか?


まぁ、いいや、と思って、う〜ん、どうしよう?


俺が3人とも飛ばすこともできるけど、できたら俺はあけておきたいし、俺だけ男性からだ、どうしようかな。


「あの、3人いるから、ロリーさんとハンナさんは、そうだな、ジャネットとパトリシアにお願いしようかな」


「はい、わかりました」


「じゃ、練習しますよ」とジャネット

「こちらの練習しますよ」とパトリシア


「エレノアは、誰とが良い?」


「もちろん勇者クリス様が良いです」


「あっ、そう、でも勇者クリス様じゃなくて、クリスでいいよ」


すっごい笑顔をして「はいっ、わかりました、クリス様」と言ってきたので、まぁ、良いかと思ったけど。


「じゃ、手を握ろうね」と言って手を差し出したら、俺の体に抱きついてきた。


「ちょっと、そこまで抱きつかなくてもいいよ」


「だって、怖いんですもの」と言われればしょうがない。


みんなの目が怖い


なぜか、エレノアの方じゃなく、俺を睨んでいる。抱きついたのは俺じゃなくてエレノアの方だよ、俺、関係ないからね。


はぁ、疲れる子‥‥‥


「じゃ、飛行するから、俺から離れないでね」というと余計に抱きついてきた。


俺もエレノアを手で支えているんだけど、それ以上に彼女は俺にひっいてくる。


お姫様なのに良いんだろうか?


俺は、そんなことは、構わずに徐々にだけど、様子を見ながら上空に浮いていく。


ロリーとハンナも、同じくらいの高さにいる。


3人とも普通にしているので、大丈夫そうだ。


徐々に飛行速度を上げていくが、最初からしがみついているから、怖がっているのか、わからない。


「あの、エレノア、大丈夫?」


「はい、大丈夫です、なんてたってクリス様と一緒ですから、もう、どこへでも、行きますよ」


「そ、そう」俺の方が圧倒されそう。


「じゃ、早くしていくから、怖かったら言ってね、エレノア」


「はい、わかりました」と俺は徐々に飛行速度を早く、高く飛んでいく。


エレノアは大丈夫そうだな、と他の二人の方を見ても、少しは怖がっているけど、そうでもないみたい。


これくらいで、良いかな? と思って元の位置に戻って下に降りていく。


俺の足が地面についたけど、エレノアは、一向に離れてくれない。


「あのエレノア、地面についたよ」


「えっ、そうなんですか?」と言っても離れない‥‥‥


どうしよう、この子‥‥‥と思っていると、アイリスが来て、「だめ、ご主人さまはみんなのものなんだから」と言って引っぺがしてくれた。


あ〜、よかった。


でも、これから飛ぶ時、どうしよう?


あっ、そうだ。


「じゃ、今からボールドウィン王国に飛び立つけど、俺は何かあった時に、開けておくから、エレノアはロゼッタと飛んでくれる?」


「はい、わかりましたのじゃ」と言ってロゼッタがエレノアに近づいていくと、エレノアは露骨に嫌そうな顔をした。


「え〜、私、クリス様がいい」


「ほら、俺は、さっきも言ったけど、開けておく必要があるんだよ」


「そうじゃぞ、クリス様は臨機応変に対処する必要があるのじゃ」


「そうなの?、もう、しょうがないな、じゃ、お願いします」とロゼッタに頭を下げた。


それを見ていたメンバーは、少し不安が解消されたけど、どうなんだろうな、あのわがまま娘。



「じゃ、飛んでいくのは、10分後ね、それまでに用意して」と俺が告げると、トイレ、トイレと言いながら数人が走っていった。


あっ、俺も行っておこう。


俺がトイレに行くときに、3人がたったままだったので「君たちもトイレは行っていた方がいいよ、これから飛ぶ距離で数時間はトイレに行くことができないよ、もしトイレに途中で行きたい場合、野原ですることになるよ」と俺がいうと、慌てて、トイレに行くことにしたようだ。


もうクリス様ったら、私の前でトイレだなんて、言わないでよ、恥ずかしいじゃないと エレノアが思っていた。


でも大変だわ、私も用は済ませていおかないと、野原なんか、嫌だわ。



10分後に3人を残して全員が集まったけど、まだ3人がこない。


少し待つと3人が屋敷から走ってきた。


「ごめんなさい」とエレノア

3人は、洋服を着替えたようだけど、王女は短パンで、他の二人はパンツを履いているから、飛んでも下着が見えないように借りたみたいだ。


「私が貸してあげたんだ」とアレク


「女性たちには、私が貸しました、あのままじゃ危ないから」とソフィア


「ありがとう、二人とも、これで全員が揃ったね」


「じゃ、行こうか?」


「はい」

「うん」

「了解」

「わかった」‥‥‥と返事をもらって、俺はフリーでいく。


他のメンバーは神獣たちが魔法を使いゆっくりと上昇していく。


俺は、3人をみながら上昇していくけど、大丈夫そうだ。


ある程度、上昇したらボールドウィン王国の方角を目指して横方向の動きに変える。


昨日、しっかりとエレノア王女と二人に地図を広げて確認しておいたから、方向は大丈夫だ。


でも、上空から見た景色は違うから、ときどき、街があれば確認したほうが良いかな?


3人の様子を見ながら、徐々に高速飛行に移っていくけど、神獣たちが結界魔法を張って風の寒さから守ってあげているみたい。


「ここからは俺たちの国から外れるから、透明化の魔法を使って見えないように飛んでいくよ」と言うと、全員が透明化の魔法を使って飛んでいるのを確認した。


3人は、なんのことやら、と言う感じだけど、この3人には魔力がないから、他のメンバーが突然、見えなくなって慌てている。


「あっ、今、俺たちは他の人の目に見えないように魔法を使っているから、他のメンバーが消えたように思えるかもしれないけど、近くにいるからね」と俺が説明すると


「そ、そうなんですね、すごい、さすが勇者様ですね」とエレノア


いや、俺だけじゃなく、全員が消えているんだよ、君たちもね。


俺はエレノアが言ったことには答えないで、「じゃ、海を渡るから、全員、乱気流に注意して飛ぶんだよ」と伝える。


今まで、俺は瞬間転移をしたことはあるけど、飛んで海を渡ることは初めてだけど、海は風が荒れやすいのは知っている。


オズワルド王国の漁師さんが海がシケで漁に出れないと言っていたから。


今は海岸沿いを飛んでいきながら、徐々に海しか見えなくなる。


こう言う時もパニックを起こしやすいから注意する必要があるけど、3人も海を上空から見て「きれい」とか、いっているから大丈夫だろう。


うちのメンバーも海を堪能しているようだ。


俺たちは飛行高度を取りながら、高速飛行しているんだけど、もう、飛び立ってから1時間が経過したけど、いまだに陸地は見えてこない。


結構、遠いな。


きれいな海も長く見ていると飽きてくる。


しかし、飛行魔法が特殊な分野に入るためなのか、わからないけど、誰も飛んでいない。


遠くを見えても大きなクジラやイルカがいるくらいだから、のんびりした光景が広がっている。


ときどき、漁船がいるくらい、たまに荷物を積んだ船がいるくらいだ。


そう言う時の方が新鮮味がある。


2時間くらい飛んだ時に、大きな大陸が見えてきた。


ボールドウィン王国がある大陸なのか?


エレノアに近寄って、「あの大陸が、ボールドウィン王国?」と聞いてみたら


「たぶん、そうだと思うんですけど、まだ、遠くてわかりません」


「あっ、そうですか」


まぁ、それは、そうだろうな、自分が住んでいる国でも上空からみるとわかりにくいからね。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2023年2月19日

今まではプロローグ7で終わっていたのを、プロローグ10までに増やして変更しております。


特にライラとアルベルトのシーンは大幅に変更を行いました。


変更がないシーンもありますが、特に力を入れたのはプロローグ9、10です。


ライラとアルベルトのことを書いてあります。できたらお楽しみください。


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