第357話 オズワルド王国4

俺たちはオズワルド王国のデューク伯爵の屋敷にきている。


デューク伯爵は、このオズワルド王国でも指折りの貴族で、土地も広く、屋敷もでかいから、それなりに影響があるのは、わかるけど。


俺って、こんな場所って苦手だ。


まぁ、今日は貴族の服でもないし、ラフな服装で全員が出向いている。


デューク伯爵の侍女と思われる人から部屋まで案内された。


部屋に通されて、しばらくお待ちください、と言われたが、侍女は、部屋から出ないで、なんだか、そわそわしている。


なんだろう?


「あの〜、握手してもらっても良いですか?」と侍女は言うので、王子のことだと思い、黙っていると、「あの、握手してください」と俺に手を出してきた。


俺に無視されたからか、すごい顔が真っ赤で。


「あっ、はいはい」と言って俺は右手を差し出して、その侍女と手を握った。


そこに屋敷の主人である、デューク伯爵らしい人が入ってきた、デューク伯爵は、侍女と俺が握手しているのをみて、「なんだ、セルマ、もう握手しているのか」と言ったので、そのセルマは、「はい、お父様」といった。


なんだ侍女じゃなかったのか、娘さんか。


娘さんは、俺たちと同じ年のような感じだ。


俺たちは、入ってきたのが伯爵でも、先に立つ訳にはいかない。


伯爵が入ってきて、後に立つことをする。


伯爵の方がくらいは下だけど、目上であるから、一応、立つことにする。


貴族って、結構、ややこしい。


なんだって俺は公爵だから、王子は王族だけどね。


俺も公爵よりも、盟主としての立場もあるから、ややこしい。


まぁ、普通に礼儀をしていれば良いんじゃないかな。


デューク伯爵「どうぞ、お座りください」と言われたので、座る。


女性たちも椅子を用意してくれているので、今日は座ることになる。


デューク伯爵は「今日は、ご足労いただいて申し訳ありませんでした」と娘さんと頭を下げた。


「実は、此度の事件で王が交代することになり、私としても、一つ条件を付けされていただきました」


「その条件とは?」と俺


「それは、貴方様にお会いすることです」


「えっ」


「実は、私たち家族は、勇者物語りを読んで、あなたの大ファンなんですよ。

しかも創作物語ではなく、実際にあったことが書かれている物語ですからね。

生ける伝説であるクリス様にお会いできるなんて、本当に素晴らしいことです」


なんだ、生ける伝説って?


「しかも、そんな素晴らしい物語を書いた作者様がメンバーの中にいるなんて、なんて素晴らしいことなんでしょう」


「それで、もしかして、そちらの方が作者ですか?」


コリンが何も言わないので、俺が「はい、コリンと言います」と説明した。


「おお、やはり、貴方が勇者物語の作者ですね」


「‥‥‥」コリン


「コリン様、でひサインをいただきたいんですが」


コリン「‥‥‥」 緊張しているのか、何も言わないコリン


「コリンは、緊張しやすいので」と俺が色紙を受け取り、コリンに渡すと、コリンは、サインを練習していたようにサインした。


それを、直接、渡さずに、俺に戻してきたので、俺からデューク伯爵に渡す。


それを見ていたアリシアが、声も出さずにクスクス笑っている。


「おお、このサインは、我が家の家宝にしいます」と言って大事そうに、後ろの執事に手渡した。


手渡された執事はサインをした色紙を大事そうに持って、出ていった。


この屋敷の人は、本当に作者としてのコリンが好きみたいだ。


「それで、私の援護についてくれるというのは」とロードリック


「ああ、それでしたら、私は当然ですが、他の有力貴族も、あなた様の反対に回ることはありませんよ。

そんなことをしたら、勇者様を敵に回すことになりますし、もし勇者様を敵に回すようなことがあれば、この屋敷なんか、1分も持ちませんよ。

誰が好き好んで、勇者様であるクリス様に敵対するようなことをしますか。

ロードリック王子、私は、国家の安定が一番だと思います。

それよりも、勇者クリス様にお会いできたのが、何よりも至福です」


なんだか、俺に会いたいために、呼びつけたみたいだ。


「文献に残る歴代の勇者の中でも、飛び抜けたことをやっておられるクリス様は、私的なことよりも、まずは国としての存続を第一に考えておられる。

そして、王が、悪い奴であれば王の首の交代もクリス様、指導のもとしているとお伺いしています。

今回の我が国の王の交代も、実は、私は、案じておりました、実は以前から、全能には害意を感じておりましたが、それを言い出せずにおりました。

有力な貴族の間でも話し合いが行われておりましたが、結論には至りませんでした。

そんな中、今回の件でございました。

その中に勇者クリス様のお噂を耳にして、ああ、やっときてくれたと言う思いでした。

本当にクリス様、ありがとうございます。

私たちが不甲斐ないことで、ご迷惑をおかけしました」

と言って、デューク伯爵は頭を下げた。


「いいえ、私の方こそ、 でしゃばってしまって申し訳ありません」


「いいえ、クリス様は、勇者であり、盟主にもなっているとお伺いしています。

盟主というのは、王をまとめるものと言う意味もあります

王とまとめるものは、良識があって、初めてなされるものです。

力押しでもなく、剣の力でもなく、魔法力でもない見えない力です

クリス様には、そのお力があります。」


「デューク伯爵、ありがとうございます。その期待に応えられるように、これからも頑張ります」


デューク伯爵は、すごいニコニコ顔で笑っている。


「では、お時間をお取りして申し訳ありませんでしたが、娘も妻も貴方に会いたいと懇願されまして、我が屋敷にお呼びしました。

妻なんかは、待ちきれずに階段のところで、貴方を待っていましたから、さぞ、喜んだでしょう」


「そうだったんですか」


デューク伯爵は「おい」と言って執事に合図した。


執事は、奥さんを伴ってきたけど、奥さんはモジモジして顔が赤い


「もうしわけありません。妻は、貴方のファンで顔を合わすのは恥ずかしいとかで、部屋に入ることができなかったので。よろしければ最後に握手だけでも」


「はい、わかりました」と言って俺は立ち上がって、右手を差し出すと、奥さんもモジモジしながら、手を差し出したけど、手を握った瞬間に、気を失った。


「えっ」


「おい、人を読んで、ベットに寝かせてくれ」と言って奥さんを連れ出した。


「大変、お見苦しいところをお見せしました」


「いいえ、大丈夫です、目を覚まされましたら奥様には、ありがとうとお伝えください」


ということで、俺たちは、デューク伯爵の屋敷を後にした。


お城に戻ってきた俺たちは、部屋に入ると、「なんだか、すごかったね」とアリシア


コリン「うん、本当に」


イザベラ「でも、嬉しいね」


ソフィア「そうだね、段々と人離れしてくるよ」


セラフィーナ「これで皆さんも有名人ですね」


シャーロット「そうよね、王族以上なんだから」


「そういう二人も、王族以上に知れ渡っているわよ」


「えっ、どういうこと?」


ソフィア「だってコリンが書いた本を読んでみると良いわよ、私は本を読んだわよ」


「ちょっとコリン、変な書き方していないでしょうね?」


「してないよ」


「本当?、今度、読んでみるわ」



俺はロードリック王子の元を訪ねている。


「これで有力貴族の了承も得られたことだし、順調ですね」


「はい、これもクリス様がおられたからできたことです。

でも、まさか、側室の子である私が王になるなんて、思いもしませんでした」


「ロードリック王子、貴方には、他の二人よりも素質があります。

王とは、人の話を聞いて判断することができなければなりません。

自己中で政治を行えば、国民は不平不満が出てきて、国は荒れてしまいます。

王族だけでは国は維持できませんから有力なデューク伯爵のような方を味方に引き入れることも大切です。

ロードリック王子、もう一度、デューク伯爵などの有力貴族と話を持つのもいいと思いますよ」


「そうですね、クリス様の言う通りだと思います。早急にしたいと思います、ありがとうございます」と王子が言ったので、俺は王子の部屋を出てきた。



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