第352話 魔物大量発生の後
オズワルド王国に魔物が大量に発生した原因を調査する必要もある。
あまりにもロードリック王子の俺への熱が高いので、逃げ出したいところだ。
俺はアイドルじゃないし、歌も音痴だから。
俺のメンバーは女性だけだけど、初期メンバーは、俺がFランクで、猫探ししか受けることができなかったから声を変えたんだけど。
たまたま、近くにいたから声をかけたけど、それが未だに続いているなんて、本当に、あの時、勇気を出して声掛けしてよかった。
あの時は村から出てきて冒険者になったけどFランクしかなることができなかったから上の依頼を受けるためにはパーティーを組まなければいけなかったから、ギルドには他に人がいなかったからソフィアたちに声をかけたけど。
そんな俺の周りには、今は、多くの人たちが俺を支えてくれる。
この会議室には、多くのロードリック王子を支えてくれる人がいると思う。
しかし、今日が始まりだから、まだ、多くの証拠や自白を求めることになる。
いくらあまり関係がないといっても、自分の父親には変わりは無い。
その父親が国家を揺るがすことに加担してしまうなんて、本当に残念でしかない。
俺たちは、早く、このオズワルド王国から出たいと思って、王子に部屋から出ることを申し出たら、すぐに許可されたので、俺たちは、部屋から出て誰もいない研究室に瞬間転移してきた。
この部屋も王子には伝えているけど、今は、王族のトップがいなくなったので、大忙しで誰もいない。
あの研究員もしない、研究員は、どこに行ったのか?
検索魔法を使っても、探し出すことはできないなんて、おかし過ぎる。
奴の家庭にもいないし、酒場でもないし、王都にもいない。
おかしい、そんなに早く移動できる訳ないのに。
もう少し検索範囲を広げてみても、引っかかってこない。
「みんな、聞いて、ここで研究していた奴が、どこにもいない、おかしい」
アリシアが「えっ、それは、クリスの魔法で検索できないということだよね」
ジャネットが「クリス様の検索で引っかからないなんて。あり得ません」
「でも、実際にいない」
パトリシア「どう言うことでしょう、私でも無理です。」
俺は研究所の部屋の中を確認してみるけど、目新しいものは1つも見つからない。
普通に試験管とか実験道具などは置いているけど、それで受験されたような形跡がないんだ。
試験管とかも、いつ使ったか分からないような古さがある。
どうも、あの試験官は、ここで実験をやっていたふりをしていただけみたいだ。
くそ、騙された。
俺も実験道具があったから、何かの実験をやっていたんだろうと思い込んでいた。
と言う事は、研究員は外部から箱のようなドス黒いオーラが入っているものを持ち込んだことになる。
俺は、手分けして研究室をいろいろ見て回ったけど、本当にどこに何かが隠されている可能性もあるから手探りで見つけようとしたけど、何も見つけられることもなく研究ノートもなかった。
テーブルの上に置いてある研究道具を見てみると、埃が溜まっていて物を動かした形跡がないんだ。
と言うことは、どこかに研究員も消えてしまった。
怪しい。
このやり方が、もしかしたら俺を殺した奴のやり方なのかもわからない。
俺の検索魔法でも引っかかることもなく逃げ果せるなんて人じゃない。
事件が起きてから1時間も経っていないのに、人がいなくなるなんて考えられない。
俺は隠し部屋でもあるんじゃないかと、検索魔法を展開してみたけど、ないみたいだ。
そこにロードリック王子一行がやってきた。
「クリス様、ここにおられたのですか?」
「うん、ちょっと探し物でね」
「何か見つかりましたか?」
「いや、何も見つからない、と言うのが、不自然なんだ、ここに研究員がいて、王と会っていたんだ、その研究員もいない」
「 城の外に出たんじゃないですか?」
「いや、城の外でもなしし、王都全体を見ても気配もない」
「えっ、クリス様は、そこまでわかるんですか?」
「うん、俺には特殊なスキルがあるからね」
「じゃ、ここで働いていた研究員は、どこに?」
「あっ、そうだ、 人事を管理する部署と給料の支払いの部署がありますので名前がわからなくても配置先から確認することができますから、人をやって確認してみましょう」
「おい、確認してくれ」と王子が言うと、ついてきた兵士が走って部屋から出て行った。
その兵士が戻ってくると、「報告します、この研究室には、数年、誰も配属させていないそうです」
「なに?」
「うん、と言うことは、それだけのことを成し得る人物が動いているということだね」
「あっ、そうだ」
「 ちょっと全員、ここで待っていて」
俺は、ジャネットと一緒に、研究員の家の路地に瞬間転移してきた。
そして奴がいた家のドアをノックする。
ジャネットが、「ご主人さま、おられますか?」と聞くと、 一瞬の沈黙の後、「主人は3年前に亡くなっていますよ」と奥さんらしき人は言ってきた。
確かに家の中には、子供とおばあちゃんらしき人しかいない。
「あっ、そうですか、間違えたみたいで、すいません」と言って、家を離れた。
「ご主人さま、どう言うことでしょう」
俺はもう一件、行ってみることにしたけど、俺がサーチで見ていた時に研究員はお城に行く前に食べ物を買っていた。
その店を見つけて、 店主に研究員の特徴を話して聞いたけど、知らないと言っていた。
俺は、先ほどの奥さんと、今、会ってきた店主の二人の脳をサーチしてみたら、精神魔法の形跡を見つけた。
精神魔法で記憶が消去されたみたいだ。
「ジャネット、今の二人は精神魔法で記憶を消された」
「えっ、でも、そんなことができるなんて、多くはいませんよ」
俺たちは路地から、先ほどの研究室まで戻ってきて、今の話を全員に伝えた。
「でも、そんなことができるのは、ジャネットたちとクリスしかいない‥‥‥」とアリシア
「実は、以前から思っていたけど、もう一人、いるんだ、今は言えないけど」
ロードリックが「もし、それがわかれば、自分にも教えて欲しいんですけど」
「その人物が分かれば、教えるよ」
「絶対ですよ」
「ああ、約束する、君の国に関係することだからね」
「はい、お願いします」
「じゃ、俺たちは、帰るね」と言ってロードリック王子の返事も聞かずに、全員に合図して瞬間転移で、ライオネル公国の屋敷に戻ってきた。
「はぁー疲れた〜」と言って、俺は床に寝そべってしまった。
床に冷んやりした冷たさが俺の頭のオーバーヒートを冷やしてくれる。
体からも熱がとられるように冷やされる。
でも、ここにも暖炉があるから、暖かいけど、あれっ、暖房? つけたまま?
と思って頭を上げると、まだレイチェルがいた。
今度はテーブルの上のフルーツを食べていた。
さっきから食べてばかり? レイチェル
「あっ、失礼な、事件が解決したから食べていたんですよ」
「そ、そうですか」
そこにアリシアが近寄ってきて、クリス、そんなところで寝ないの」と言って手を差し出したので、俺は、その手を掴んで起き上がった。
俺が椅子に座ると、冷たいコーヒーが出てきた。
コーヒー飲むと、苦味と酸味があり、冷たさも加わって美味しい。
「今回は、魔物との戦闘は、うまく行ったみたいだね」と俺が言うと、メンバーと神獣たちは、顔を見合わせていた。
「えっ、どうしたの?」と俺が聞くと
アリシア「えーと、クリス、ほとんどクリスの分身が魔物をやっつけたのよ」
「えっ、そうなの?」
ソフィア「うん、いきなり、瞬間転移して 現れたと思ったら、空にすごい数の氷の矢尻が浮き上がって一気に魔物を殲滅してくれたの」
「あっ、そうなんだ」
アリシア「 あんな現れ方するのはクリスの魔法なんだろうなぁって言う感じしか思っていなくて、皆んな、ただ立ち尽くしていたの」
イザベラ「そうそう、 全員、顔が違うけど、やり方はクリスだもんね」
「あっ、そうなんだ」としか言えなかった、そういえば、リミッターをつけるの忘れていた。
リミッターをつけて制限しないと、分身の全開モードに入るんだった。
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