第280話 ウルフ2

本当にやばい奴が出現してしまったものだ。


こんな、やばい奴を、俺は敵対しなければいけないのか!


逃げてしまいたい!


俺は、いまだに背中や顔から出てくる脂汗に洋服がぐっしょり濡れている。


しかしやつだって、すぐに襲ってくる事はないと思われる。


理由は、神獣たちがいるから。


だし、安心することはできない、多分、今の、俺の力では、やっつける事はできないと思う。


それは俺がヤツを恐れているからだ。


まさに蛇に睨まれた蛙状態だ。


やばい、やばい…


とアリシアが「クリスが、これほどの状態になるなんて初めてじゃない!」と言った。


ソフィアが「そんな、危ないやつなの?」


俺は、やっと声を出すことができて「尋常じゃない」


「奴のことを例えるなら、常識はずれとかそういう言葉だけじゃ収まらない」


「むちゃくちゃ、異常な、異質な奴…それらを合わせても言葉が足りないくらいの状態だ」


「今、奴と戦えば、俺は殺される」


その言葉を聞いて神獣たち以外のメンバーは、初めて怖さを知った。


どうする?


俺は、ちらっとジャネットの方を見た。


ジャネットは、俺の方を見返してきた。


俺が全てやるしかないのか。


俺は考えた、そしてテーブルに両手をつきながら立ち上がった。


「ごめん、しばらく俺を1人にしてくれる」


そう言うのが、やっとだった。


部屋には誰もいない、俺一人しかいない。


俺が消えた部屋は、まだメンバーの温かみだけが残っている気がして、俺は、それを心で感じながら、瞬間転移をした。


俺は深くか考えることもせずに俺は、どこに行くとも告げず転移した。


神獣たちには俺が行った場所は、わかるだろうけど。


俺は、ブラッドフォード大公国の山荘の屋敷に、転移してきた。


今から俺は、しばらく、この山荘にこもって修業することにした。


しかし生半可な修業では役に立たない。


少しでも攻撃する魔法が欲しい。


ための基準として、ステータス用の項目を増やすこと。


しかし、それだけじゃダメだと思う。


俺が思うに、ステータス評価基準じゃなくて、ステータス表を超えるようなものを作らなければいけないんだ。


俺のステータス表と言うのは、ある程度のレベルになったらないと表示されないと言う事はわかっている、と言う事は今までレベル10が最高レベルだと自分で決めつけていたと思った、しかし、、本当にそうなのか? 自分でもわからない。


さらに、その上を実践する必要があるんじゃないかと俺は思っている。


常識に囚われちゃだめだ。


非常識にならなければいけない。


それが俺の能力が無限大だと言う表示だと考えた。


それぐらいのレベルを上げても、奴とは戦えるレベルでは無いかもわからない。


今は考えるよりも集中することだ。


そして頭を使って能率よく素早く能力を上げていくことを考える。


今までは少ししかやらなかった筋肉トレーニングなんかも無茶苦茶と言っていいほどやった。


山を走ったりする事はもちろん。


ヘトヘトになりながら、筋力をつけていく。


そしてそれ以上に必要なのが集中力だから、同時進行で鍛錬していく。


そんな山の生活が、2ヶ月にも及んだ。



小さかった体型は、急激に伸びて、体もがっしりして筋肉がついてきた。


魔法力の飛躍的な伸びが、俺の体を急激に変えてくれた。


体を鍛えただけでは、ないと自分でも思うくらい体が変わってきた。


以前は、160くらいしかなかったのに、今では180センチを超えている。


たった2ヶ月で急激な変化は、筋力を鍛えたからではなく、多分、俺の魔力が、相当、上がったせいだと思う。


どうしてか、わからないが、魔法力が上がったような気がしたときに、夜寝て朝、起きたら目線が変わっていたから。


これが、普通に少しずつ変化していくんだったら、気が付かなかったと思うけど、昨日の目線と今日の目線が違うから気がついた。


何よりも魔法力が上がってくることが、しっかりと実感できるんだよね、魔法を行使しなくても。


鏡を見ても、本当に以前の俺とは、明らかに違うし、顔つきも変わってきた。


筋肉を鍛えてしまうと、瞬発力が落ちることもあるけど、それを落とさない程度に鍛えることや寝ることも大切なので、ダラダラ鍛えることをしないで、寝るときは、寝て、体を休めて、鍛えるときは、集中して鍛えることもしたけど、何よりも多くの時間を費やしたのは、魔法力の向上だっから、良い結果が生まれたみたいだと思う。


多分、以前から感じていた懸念は、ウルフのことだと思う、と言うのは、最近、少し懸念が変化してきているから。


今までは懸念が変化することなんかなかった。


多くの事件が起きても俺が昔から感じている懸念は変化することもなく。いつも俺の心を蝕んでいた。



以前だったらウルフを見た記憶を思い出すだけでも冷や汗や脂汗が出る位ひどかったけど、最近はそういうことがなくなってきた。


多分だけど、少しでもウルフに近づくことができたのかなと思う。


でも、自分は、まだまだだと思っている。


さらなる向上を続ける必要があるだろう。


この2ヶ月の間のことは、本当に、必死だった。


筋肉を鍛えながら、魔法を、どうしたら向上させることができるか、とかを、いつも考えていた。


言葉で話すのは簡単だけど、本当に失敗しながら、魔法力をあげることができた。


2ヶ月は、当然だけど60日、その60日の毎日が、鍛錬と魔法の研究と魔法力の向上に努めた。


今では、ステイタス表を見ると、多くの項目が表示されて、全てレベル10を示している。


火属性魔法  レベル267

水属性魔法  レベル240

土属性魔法   レベル125

風属性魔法  レベル101

光属性魔法  レベル28

雷属性魔法  レベル240

俊足魔法  レベル239

治癒魔法  レベル167

空間魔法  レベル128

異空間魔法 レベル231

闇属性魔法  レベル67

融合魔法  レベル58

重ねかけ魔法 レベル87

‥‥‥

などなど多くの魔法を使うことができ、それのレベルを、さらに向上させる工夫をしている。


治癒魔法も向上したのは鍛錬してるときに足元を滑らせて怪我をしたからだ。


治癒魔法は対象の人がいないと向上できないから。



山での鍛錬を終えて、後は集中力をつけるだけなので、俺は、みんながいるダイラス連邦の屋敷に戻った。


もちろん戻る前に、みんなのもとに戻るために温泉に入った。


久しぶりの温泉は本当にきもちよかった。


以前、アリシアから臭いって言われて、それは、もうショックだったから。


人を見張っていないといけなくて、目を離すことができなかったから、風呂に入ることもできなかったのに、終わってアリシアに会いたいと思って転移したら、クリス、臭いって言われて。俺の精神的な衝撃は、すごかった。


まぁ、確かにニオイがすごかったと思うけど、アリシア、ごめん‥‥‥ちゃんとシーツと布団は新しいのを買いましたから‥

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る