第181話 戦争の理由2

今夜7時に決行することを決めた。


しかし全員が、心配そうにしてくれている。


食事を早めに済ませて、6人部屋の方で時間まで待機をしている。


なんだか待っている時間の方が緊張する。


そして時間になったので、3人は立ち上がって、残る4人の顔を一人一人見て、うなずく。


「じゃあ、行ってくる」


と言って、全員が気をつけてと言ってくれた。


全員が、転移の魔法も使えるが、俺が、転移魔法を発動し、それぞれで透明化魔法を使い、まとまって近くに転移する。


一瞬だけ暗くなって、転移した先は、暗闇になる前だ。


俺は街頭の場所にマーカーをつけているので、探してみる。


馬車のマーカーの近くに、大きな豪華なテントがあるはずだ。


そのマーカーを探す。


そうするとマーカーがあった。


近くに大きい豪華なテントがある。


透明化になっていることを確認して、テントの真上から降りてくる。


俺だけがテントの横に降り立つ。


アレクとロゼッタは上空で待機。


その場所で中のサーチを行う。


中の探査を行うと、数人の人がいる。


しかしその中の、一番、偉そうな人を探す。


いた!


1番偉そうなやつに意識を集中すると、確かにきているものも豪華だ。


会話を聞いても、たぶん、こいつが親玉だ。


こいつに、しばらく意識を集中して、マーカーをつけて俺は離れた。


透明魔法を維持しながら、上空に待機している2人に近づいて離れることを伝える。


俺は宿に帰ると指示をして3人で転移した。


1時間とかからずに、俺の部屋に現れた。


そして一階下に行って女性メンバーが待っている部屋に行った。


ノックをして、「帰ってきたよ」と言うと、アリシアが開けてくれた。


アリシアと全員が、ほっとしたような感じの顔をした。


俺たち3人は椅子に座った。


座った瞬間に、俺は目を閉じて意識を集中する。


急ぐので説明は後回し。


椅子に座って両手をテーブルに置いて拳を作っている。


意識を出すると、俺の周りに魔力が集まって濃密になっていく。


それを維持しながらマーカーに集中している。


以前はできなかったことだが、今はいくら離れようとできる。


全員が、黙って俺を見ている。


俺が集中して微動だにしない状態が2時間続いた。


全身に汗が出てくる。


顔からも汗がダラダラ流れてきている。


体中に汗が出てきて洋服がびしょ濡れになってくる。


2時間、経った頃、俺が息をハァ〜〜と吐いた。


「全て、わかった」


俺は濡れた洋服が気持ち悪くて着替えに、自分の部屋に帰った。


そして、「ちょっとごめん、何か飲み物を出してくれる、あっ、待って自分で出す。」と言って自分で水を出した。


それを一気に飲み干して、ほっとした。


「全員に説明するよ、本当は俺の能力で隠したい部分もあるんだけど、今は、そんなこと言ってられないから話すよ。


本当は視察に行った時に豪華な馬車を見つけて印をつけておいたんだ。


転移したら印を目印にして豪華な大きいテントを探したんだ。


で意識を集中してその中にいる中心人物を見つけた。


そいつが指揮していると思って、そしてそいつに印をつけて帰ってきたんだ。


で帰ってきて時間がないので印をつけた男の行動と話を聞いていたんだ。


やはりそいつが軍を率いている中心人物だったわけだ。


そいつの名前は、サイラスだ。


つまり魔族の皇帝なんだ。


そして魔族の皇帝サイラスの進行の目的は、ブラッドフォード大公国にいる娘を取り返すのが目的らしい。


つまり皇帝サイラスは、ブラッドフォード大公国が自分の娘を誘拐したと思っている。


つまり誘拐された、娘を奪還しない限りは、軍は止まらない。


でもこのまま進軍されても、大公国と戦争になってしまうから、皇帝ベ サイラスに話を持ちかける。


そして娘の情報をもらおうかと思う。


俺の能力は、自分でも思うくらい異能だからできることだから。


その能力を最大限発揮すれば可能だと思う。


しかし急ぐ必要がある。


と俺は、ここで話し終えた。


全員が静かに聞いていたけど緊張の糸がほぐれてくるのがわかる。


「クリス、大丈夫?」とアリシアが言ってくれた。


「そんなに大変なことになっていたなんて」とソフィアが言う。


「でも、皇帝に会うことなんてできるの?」イザベラが問う。


「また、私たちがご主人様を守るのじゃ」


「でも、今回もついて行ったけど、私たちは待機していただけで、何もしなかったんじゃない」とアレクが言う。


「今回も2人にお願いするよ」


そして、ここに残っているメンバーも、俺たちが、どういう状況で帰ってくるかもわからないから、待ってて欲しいと言うと全員がこちらを見て涙目になりながらうなずいた。


「俺しかできないことだし、俺の能力が必要なんだ」


急がなければ、誘拐された女の子の身が危ないかもわからないんだ


と言うことを説明して、


2人に向かってじゃぁ行こうか!


と言ってアレクとロゼッタとともに転移した。

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