第164話 飛行魔法
昨日の夜は、久しぶりにアリシアと温泉の中で手をつなぐことができた、でも数秒だけど。
今日は、冒険に出発する日だ。
普通は俺の部屋か屋敷の前か、場所のところで待ち合わせをするんだけど、今日は朝早くなので、外の誰も見られるような場所じゃないところに集まってもらった。
集まってもらった女の子4人に対して俺は、
「今から冒険に行くのに、普通は馬車に乗って行くけど、今回はちがいます」
「で行く前にびっくりしないように練習を少ししたいんです」
「まずは、俺とアリシアがやってみせますので、見ててくださいね」
と言うと俺がアリシアに近づいて、手を握って地面から少し浮かんでみる。
アリシアは以前も飛行魔法を経験しているので、驚きは無い。
しかし他の3人は違った。
皆一様に、浮いている俺たちを見てびっくりしている。
「今はみんなに見やすいようにするために、少ししか浮いていないけど、今から高く上がるよ、でもその前に、よく見ていてね」
と言って俺とアリシアに透明魔法を使った。
消えたように見えなくなる。
それを見ていてメンバーが、口を開けてぽかんとしている。
あそっか
上空に上がるためには透明になっていないと、朝早くだから大丈夫かもわからないが、他の人に見られる可能性はある。
でも透明化になってしまうと、どこにいるのか分からないから、本当に空を飛んでるのかどうかわからなくなる。
と考えて地面に降りてきた。
アリシアと繋いでいた手を離して、じゃあ次はソフィアからやってみよう。
「初めは怖いかもわからないから、手をつないでもいいし、首に抱きついても嫌じゃなければいいよ。」
と俺が説明すると、ソフィアは首に抱きついてきた。
俺も、まさか首に抱きつかれるとは考えなかったので、大人の女性の良い匂いと胸の感触を感じた。
そして、まずは地面から3メーターくらいまで浮かんでみる。
そうするとソフィアは目をつぶっているから、目を開けてごらんと言うと、恐る恐る目を開けた。
軽い悲鳴をあげている、しばらくはこのままの位置で待機していたが、落ち着いてきたので、もっと上空まで上がるよと言って透明化の魔法を用いながら上がっていった。
空中に浮かびながらも右に行ったり、左に行ったりしていると、ソフィアもだいぶ慣れたみたいだ。
俺の首を離して、肩を伝わって手にまで移動して、今は手を握っている。
「ソフィア、大丈夫?」
「えー、だいぶ慣れたわ」と言ったので地面に戻った。
地面に戻ったて、アリシアの顔をチラッと見たら頬を膨らませていた。
そして次はイザベラだ。
テンションが少し下がってしまった。
「イザベラはどうする?」と俺が聞いたら、
「しょうがないから手を握ってあげるわ」といった。
手を握ってきたので、まずは3メーターくらい浮かぶと、握っていた手をつたって首まで来た。
震えているから、怖いんだろう?
でも、我慢しているのか声を上げる事は無い。
しかし態度に出ている、俺の首を抱きつくようにして密接度が高くなる。
なんだか一番、くっついているような。
「いちど降りる?」と俺が聞くと、大丈夫だからと言ってきたので、透明になってさらに上に上がっていく。
これは練習が必要かなと思ったけど、しばらく速度を速くしないで飛んでいると徐々に慣れてきたみたいで体から離れてくれた!
慣れたみたいなので地上に降りた。
最後はコリン、「コリンはどうする?」と聞くと、手で良いと言ってきたので手を握って、初めから透明化の魔法を使って3メーター位の上空に上がるが、普通にしているのでもっと上空まで連れて行った。
コリンは、怖がることもなく平然としているので大丈夫みたいだ。
「全員の練習が終わったので、、今回は馬車を使わないで、全員で飛んでブラッドフォード大公国に行きます。」
「そして降りるときは下を確認して人がいないところに降りて行きます。」と説明した。
「できたら落とすと危ないので、手に持っているバックは預けてもらえるかな?」と俺が言ったので、全員がバックを取りに行って俺の足元に置いた。
「そして、飛ぶ前に靴の紐をしっかり結んでください」
「飛ぶときは帽子はかぶらないようにね」と注意をして全員の確認を待った。
全員が手ぶらで、靴の紐もしっかり結び直した。
全員が準備を整えたので、以前、お店で買っておいたマントを5枚取り出した。
全員が普段着ている服の色がわかっているので、好みだろうと思ってそれぞれに合わせた色のマントを買っておいた。
それを1人、1人に渡していく。
「空を飛ぶ時は寒いから、このマントを着て防いでね」と俺が言ったのでマントを着てしっかり縛っている。
全員が準備万端になったので、まずは慣れるために手をつなぐ
上空でパニックったら大変なことになるから。
俺の右手はアリシアが握った
左手をイザベラが握った(一応先程の件があるので、パニックらないように)
アリシアの横をコリンが握り、イザベラの手をソフィアが握った。
つまり俺を中心に右側アリシアとコリン
左側にはイザベラとソフィア
手を握ったので、透明化の魔法をかけて全員を見えなくする。
そして、そのあと上空に浮かぶんで、ゆっくりした速度で慣れてもらう。
慣れたら徐々にスピードを上げていこうと思っている。
まずは、ダイラス連邦の街並みを見ながら飛んでいる。
右を見ても、左を見ても、全員の顔を確認したが落ち着いているから大丈夫だろう。
「全員、大丈夫」と聞くと、はい、ええ、うん、大丈夫よ、と返事が帰ってきた。
マントをしていてもジョークと言うのは寒いので、俺はいつもやっている魔法の幕で全員をつなげて1つにした。
そうすると、暖かくなるから、寒くない。
「急に、寒いのがなくなって暖かくなったんだけど、クリスがしてくれたの」とアリシアが聞いてきたので、そうだよと答えておいた。
飛行魔法は、直線距離で飛ぶことができるので、曲がってる道を進まなくても、いいので早い。
以前は場所で数日かかっていたところも、ほんの1時間くらいですぎた。
あまり長時間飛んでいても、緊張で疲れてしまうだろうと思って、俺は休憩を挟むことにした。
周辺に誰もいないことを確認して川の近くの丘に透明のまま降りてきた。
そして透明化を解除する。
手を離した途端、女性たちは、すぐに、どこかに行ってしまった。
俺は昼食の用意をするために、かまどを作る。
異空間収納から鍋を取り出したり、やかんを取り出したり、食材も取り出す。
そして料理を始める。
そこに女性4人が戻ってきた。
枯れ木は、周辺に落ちていたので、葉っぱと一緒に持ってきた。
川の流れを見ながら、調理をしている。
まだ寒い地方にいるので、暖かい鍋料理にした。
アリシアが、俺の横にきて「なんだかクリスって、何でもできてすごいよね」
ソフィアが焚き火を挟んで前に座って、「公爵は、いろいろな上級魔法を使えるし、たぶん、この中でも一番、強いし、勉強家だし、研究もよくやっているし、2つの国のトップと知り合いだし、2つの国の公爵だし、屋敷ももらっているし、私たちの裸も見られたし‥」
俺は、「……」何も言わなかったし、言えなかった。
特に最後は、どう言ったらいいかわからなかったから
あの時の記憶が今でも蘇る……
良いものを見せてくれて、ありがとう、神様
想像しただけで・・・
つい顔が、にやけてしまったのでアリシアに、ほっぺたをつねられた。
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