第136話 ダイラス連邦 4

盾を買ってメイン通りに戻ってくるとイザベラが慌てて走ってきて、「大変、アリシアがいなくなった」


え、どういうこと?


「全員で、買い物していたんじゃないの?」


「買い物はしていたんだけど、洋服を買う店に入ったら、アリシアが着替えるために更衣室に入ったのよ」


「中から音がしたんだけど、アリシアが出てくるまで私たちは待っていたの、そしたら更衣室からなかなか出てこないアリシアを心配して、更衣室を覗いてみたら誰もいない」ということらしい。


店の主に聞いても、知らないと言うばかりだし、見ていない間にお店の外に出たのかと思って、探したんだけど、いないのよ。


というか、表に出れるわけないのよ。


更衣室にアリシアが今まで来ていた服があったんだから。


しかも、店の服がハンガーにかけたままあったの。とイザベラが説明してくれた。


ということはアリシアは下着姿なのか?


下着で表に出れるわけないけど、一応、店の前に出て探してみたんだけど、いないから、すぐに店の中に戻って更衣室を探してみたの。


そしたら裏側のパネルが外れたの。


そこで、おかしいと思って店の主人を探したら、もういなかったの!


「わかった、店に案内してくれる」と俺が言うと


イザベラが「ついてきて」と言って走り出した。


しばらく走ってイザベラについて走る、遠くからでも見える位置にコリンが立っている。


コリンが「中にソフィアがいるから…」


店の中に入ると、ソフィアが泣きそうな顔をしていた。


泣きそうなソフィアを、なだめて、アリシアが、どうしていなくなったのかと言うことを説明してもらう。


そうするとイザベラが、説明したのと同じことを言っていた。


俺も確認のために、店の中を見て回ったり、更衣室の中を確認した。

更衣室の中は、そのままにしてあるそうだ。


多分、今から着ようとしていたと思われる洋服がハンガーにかけてある、店に今までアリシアが来ていた服が畳んで置いてあった。


両方の洋服があると言う事はアリシアは下着姿と言うことになる。


俺は、自分の中から、すごい怒りを感じた。

アリシアがいなくなった?

アリシアを探さなければ!


落ち着け、と考えても一向に気持ちは落ち着かなかった。


どうすればいい?

そればかり考えていた


俺は、興奮やら怒りやらの感情を抑えることができなくなっていた。


どうする?

早くアリシアを見つけなければ!


徐々に冷静になっていくことができたので、そうだ自分にはできるじゃないか!


アリシアを探す方法。


俺は店の中だけど、店主の顔を知らないので探す事はできないが、アリシアなら探すことができる!!


俺は立ったまま興奮が完全に収まることもない状態で、自分の周りに魔力を集めだした。

そうすると、苛立ちからか、すごい魔力が集まりだしている。

今まで感じたことがないくらいの魔力をまとうことができた。


そこで感知魔法を使う。

範囲を徐々に広げていくと、アリシアを発見した。

まずアリシアが、生きていることを確認した。


ほっと胸の高まりが静まる。


魔法で遠くを見ることができる魔法でアリシアを確認したが、下着姿のまま、袋みたいなのに入っていて目を塞がれて手と足を縛られているみたいだ。


そして意識がないまま眠っているみたいだ。


つまり騒がないように、拉致するときに睡眠薬みたいなものを使ったんだろう。


まず、アリシアの安全を確保するために、特別強力な魔法の結界魔法をアリシア周辺に張った。


今まで使ったことがないくらい濃密で酸素だけを通す結界を張った。


これでアリシアの安全は確保できたので、アリシアに、これ以上、男たちに下着姿は見られたくないだろうと思って俺は透明の魔法じゃなく中が見えないような結界を張った。


俺が集中を解いて、アリシアが見つかった、そして確保したとメンバーに告げてメンバーは、全員が心配していたようで床に膝をついて泣いている。



そして、また先ほどと同じように魔力を自分の周りに集めてまといながら、アリシアを思い描きながら、この店に転移させて目の前に引き寄せる。


そうすると瞬間的にアリシアは、下着姿で俺の両腕の中に収まった。


このままでは動くことができないので、泊まっている宿の俺の部屋をイメージして下着姿のアリシアと一緒に転移してきた。


そしてベッドに寝かせる。


そして、もう一度、店に戻って、メンバーとともに宿に転移した。


アリシアを見守ってもらうように。


あまりにも多くの人が俺の部屋に入るのは、よくないので交代で見張ってほしいと言って、まずはソフィアから担当してもらった。


あとの2人は、自分の部屋で休憩してほしいと言っておいた。


アリシアを確保できたことでは、俺は緊張から引き離される事はなく、さらに怒りを増していった。


多分、人身売買の業者だろうと思われるやつらの所へ


と言うのも、他に同じような袋がいくつも確認されて、10代以下から、アリシアと同年齢の若い女の子が袋の中にいたからだ。


全部で8人ぐらいいる。


しかし悪人だって、証拠がなければ捉えることはできない。

俺は何とか我慢して、生きたまま捉えることを考えた。


と言うのは、多分、どこの国でも同じだろうけど、人身売買は重罪にあたるので、一生死ぬまで鉱山で働かなければいけない。


つまり死ぬほど辛い強制労働が課せられる。


多分、この国でも同じだろうと思う。


そう思って俺は、役人のところに行くことにした。


宿の受付の女の子から聞いた役人のところに行くと、数人の人が来ていた。

集まった、どの人も、自分の子供がいなくなったと言っている。


しかし拉致された人たちを見つけるためには人身売買をしている奴らは、ずる賢く、なかなか逮捕まで至らないそうだ。


どうすれば良いか、役人がいなければ逮捕はできない。


いろいろ考えたが、役人がいるところを出て路地裏から誰も見られないようにして、自分の部屋に転移した。


まだ、アリシアは眠ったままだったが、ソフィアが横についてくれていた。


そこでソフィアに相談してみる。


アリシアと同じようにさらわれた女の子が8人いる。


多分まだ、アリシアがいなくなったことに気がついていないだろうと言う事。


ただ空の袋はあるから、気がつくのは時間の問題だと思ったので、俺はアリシアが入っていた袋を手元に転移させた。


これでもう少し、気がつくのを遅らせることができるだろう。


拉致された人たちを乗せている馬車は、この街から離れようとしている。


そこで俺は疑問に思った?


街に入るときに警備していた兵士に、どうして気づかれずに連れて行けるんだろう?


そう考えれば街に入るときに、いつまでも見ていた兵士の顔を思い出した。


もしかして兵士の中に内通者がいる?

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