第83話 前世の明確な記憶
前世の記憶が完全ではなくて蘇った俺は、アルベルト・フォン・アーサーだったが、有能な魔法使いだったが、押し寄せる人の多さに力つき倒れてしまった。
自分の意識が薄れながら思った事は、涙を流しながらくいることではなく、そうならないように止めなければいけないし、動かなければいけないと言うことだった。
でも意識は薄れていく。
薄れていく意識の中に俺は、もし今度、生まれ変わることができたらと考えながら意識は途絶えていった…… 。
俺は、地下2階の部屋で涙を流していた。
周りに誰もいないことが幸いして、本当に泣いてしまった。
泣くのをやめようと思っても、涙が溢れてきて、涙は止まるどころか、どんどん、あとから洪水のように流れてきた。
止めようとしても止まる涙ではなかった。
ランプの光だけが照らし出される、この部屋で、まさか前世の記憶が蘇るとは思えなかった。
その時にタイミング悪く、ドアをノックする音がした。
ドアのノックを解除すると入ってきたのはアリシアだった。
なかなかクリスが戻ってこないから様子を見に来たんだけど、このフロアに降りたらクリスの声が聞こえたから。
と心配してきてくれたみたいだ。
アリシアを部屋に招き入れてソファーに俺は座り、アリシアに、すがりつくようにして泣いた。
アリシアは何も聞かずに立ったままで、しばらくそのままでいてくれた。
本当に悪いタイミングで来てくれるんだから!
涙を止めようと思っても、止まる事はなかった。
アリシアの洋服を濡らしながらも、俺は、さらにアリシアに顔を押し付けた。
しばらく、アリシアの体に顔を押し付けながら流していた涙が、いつの間にか枯れていた。
俺はアリシアに、「ありがとう」とだけ言った。
アリシアは俺の出身の村に行った時に、本当のことを話しているので、今自分が感じたことや覚醒したことを話した。
アリシアは、俺が座っている横のソファーに座って、何も言わずに静かに聞いていた。
そして前世の時に、俺が、どうして死んだかということも話した。
また涙が溢れそうになったが、アリシアが、両手を握ってくれた。
「大丈夫だよ、クリス」
「もう、そういう事は起こらないよ」
アリシアだけは、今でも俺のことをクリスと読んでくれる。
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