第82話 綺麗なインコちゃん

 物騒な話はまるで怪談のようだ。今後の科学部の活動が探偵まがいを続けて危険に至らないようにと平原先輩が至極真面目な顔で指導してくださりお茶会は閉会となった。


後片付けが終わると、平原先輩の彼女の蔵森さんが


「お喋り上手で綺麗なインコちゃんがいるって聞いたんですけど、会えますか?」


と聞いてきた。


「綺麗なインコちゃんって俺の雛ちゃんしか有り得ないんですけど、見に行きますか?」


細田がイキイキと先頭だって理科室3準備室へと案内をはじめた。平原先輩も


「久しぶりだな。雛ちゃん。お喋り増えた?」


なんて言ってらっしゃる。雛ちゃんが爆弾発言しないといいなと思いながら、ついて行った。午前中は酵素の歌だったから、今は普通のお喋りさんだと良いが。


生物準備室に入ると、坂本先生が


「戸村くん、ビーカープリン美味だったわ。カラメルが絶品よー。あらー平原くん久しぶり。あらあらあらあら〜彼女?」


としばし平原先輩達と戯れていたが、職員室に行く用事があったようだった。


「雛ちゃん、朝も会ったけど、今日はまた来たよ。元気?」


と細田はすぐさま雛ちゃんに駆け寄っていた。


「ゲンキ ヒナチャン」


「えっ凄い!可愛い!」


目をキラキラさせて蔵森さんも駆け寄った。

見慣れた私と幸太朗、間中は遠巻きに、お客さまと細田に場所を譲った。


「パステルレインボーという品種なんです。妹が鳥アレルギーで飼えなくなって、俺が1人暮らしするまで、預かってもらっているんです。」


と細田が説明していた。


「ヒナチャン カワイイ」


可愛いは言われ慣れてるからな。


「お話しするの可愛いー。ねっ健さん!」


ん?平原先輩を名前呼びでしたか。なんか、今、雛ちゃんの目が光ったのは気のせいだと思いたい。


「雛ちゃんヤッホー戸村だよ!」


あっ。


「タケチャン トムラ ラブラブ」


「「へっ?」」


やっぱりー。


「あっ雛ちゃんダメ!あっこれはなんか時々人の言葉をマネして…マネっていうか、えっと」


慌てて微妙に墓穴を掘っていく細田


「ヒナチャン ダメ?」


そこであざとく首を傾げる雛ちゃん。


「あっ、雛ちゃんはダメじゃないよ。あっどうしたらいいんだー」


平原先輩カップルと戸村先輩と雛ちゃんに挟まれ細田が大変だ。


「ケイゴトムラ ラブラブ」


あーそのバージョンで逃げるか雛ちゃん。


「人の名前拾ってラブラブ言うのが流行りなのね。可愛い!」


天使です。蔵森さん。


「ウワキ ウワキ ワカイサカリー」


あっそのバージョンっ…






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