第71話 お盆休み前科学部活動日
あれからすぐに夏休みになって、今日はしばらくお休みにしていた科学部もさすがに活動しなくてはならない、そんな日だ。
働き方改革のため、お盆の間は学校が完全に閉鎖される。科学部は生き物もいるのでその前の確認と毎年夏休み中に開催される『小中学生科学体験』なる催しの打ち合わせが活動目的だ。雛ちゃんは髙山先生がお盆休みの間連れ帰って面倒を見てくれるとの事、有難い。
暑くて朝から理科室2もガンガンにクーラーをたいている。今日は細田も一年生達も科学部全員が勢揃いしていた。
物理班、生物班、化学班、数学班の各班に分かれての話し合いも済んで催しの準備にいつ登校するかの確認が終わり解散となってからつい、いつもの4人が集まってしまった。
なんとなくの理科室2だ。
「そう言えば、俺、森田さんからTシャツもらった。弁償しますって。だから部費から買うの変な感じになっちゃったよ間中。」
と細田が言った。
「おー良かったです。前のと同じ?」
間中は部費が守られて喜んでいる。
「うーん。破いたのはバスケの練習用Tシャツだったんだけど、普通のスポーツ用のやつ。貰ったのは『A1高校華道部』って書かれた白地に赤い薔薇の花のTシャツなんだよなぁ。華道部員がバスケしてるみたいで、微妙なんだよ。」
森田さん、そんな贈り物のチョイスをしているようでは、元気そうだな。
「話題性抜群です。大丈夫ですよ。」
間中、テキトウだ。
「そういえば、この間、幸太朗が号泣してびっくりしたんだ。暴れるし、泣くし。何かあるのか?如月。今後の対処もあるし、知りたいんだ。」
細田が真剣な顔をして聞いてきた。だろうなぁ。幸太朗はPTSDというのだろうか、パニックを起こしていていろいろと危なかった。多分あの7年前の彼の心についた傷は塞がったと思ってもパックリ開いてしまう事があるのだろう。
「幸太朗、話しても大丈夫か?」
亀と鹿の間に挟まって体育座りをして下を向いたまま幸太朗は
「如月が話すなら大丈夫。」
と言った。
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