第59話 薔薇の花束を持って
誘導の仕事の後、理科室2でお弁当を食べ、華道部への対応を相談した。華道部は不定期活動なので、直接、現部長の2-7の森田千英さんのもとへ謝罪に行かなければならないだろう。
「やだっ。俺謝んないもん!」
ここで幸太朗の抵抗にあった。
「駄目だ!勝手に人の作品をいじったのだ謝るんだ!」
「お花足しただけだ!」
「幸太朗!」
幸太朗と言い合いになった。どうなだめたら言うことを聞くであろうか。
「まるで親子喧嘩だな。俺、謝りに行こうか?」
と細田が助け舟を出してきた。脳内を暴れる幸太朗を引きずる細田が通り過ぎた。
「細田が幸太朗と?」
「いや、俺1人で、うちの佐田が迷惑かけましたって。部費から花束でも出してくれたら華道部だし、許してくれるんじゃん?」
「間中、可能か?」
会計は間中だ。
「うーん。これ、換金しても良ければ」
間中が取り出したのはレジャーランドの株主優待券だった。
「どうしたんだ?それ?」
「教頭先生からの捜査料&口止め料ですよ。」
「いつの間に!」
「だーい好きなのはーひーとのお財布〜。」
時々間中が口ずさむ歌だ。会計をいじりながら楽しくなると歌い出すようだ。今は歌いながら株主優待券をひらひらと広げていた。
「これ10枚あるので、頑張った4人で2枚ずつ、残り2枚。幸太朗の分を没収して4枚換金すれば、薔薇の花束とか。」
「俺に似合うな。薔薇。」
細田はナルシストだったか。
「いいよ。俺、如月と行くから、レジャーランド。」
幸太朗が頷いた。ん?
「はい?」
間中の眉間に皺がよった。
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