第24話 吹奏楽部にて

「今日の部活はこれにておしまい。鍵は2年の木原が締めて、きちんと職員室にもどしなさい。事件もあったことだし気をつけて。私もあれから鍵を預かる事はしてないから、フォローできないからね。責任持ってね。」


3年部長の門田亜佑美のピリピリとした声が部活の終了を告げた。まず3年が帰る。1年が2年の先輩を気にすると、


「暗くなってるし帰りなさい。私たちは木原と帰るし。」


と鍵当番の木原を労わるいたわる仲良し二年生を醸しかもし出す。バタバタざわざわと楽器の音とは違う騒がしさが去り、静かになると、


「どうする?蟹江先輩来てたよね。科学部でかき氷食べて帰るなんて言ってたよ。まずくない?」


「あの事ばらすかな?」


「科学部が犯人は第一発見者だって平凡な探偵やってくれれば良いのに。」


「誰よ、佐田は単純だから、雰囲気の悪い部長かキツめの副部長を犯人にしちゃうから大丈夫とか言ったの。」


「あんな面談とかいいながら、事情聴取みたいなことされるとは思わなかったよ。怖かったよ。」


「細田さん素敵だった。手触っちゃったとか喜んでたくせに。」


「私、何話したか覚えてない。」


「大丈夫よ。細田さん、簡単にしかメモって無かったもの。あんなの形式でしょ。」


「後ろに間中が立ってたわよ。」


「激ヤバ。あいつなんでいたの?生徒会?」


「如月の犬なんだよ。」


「まあさ、あのリード頭は良い案だったよね。瑛里が作ったんでしょ?不気味に作れてたよ。だてにサイコパス佐田の元カノやってないよね。大事なリード全部ダメにされて部長ざまあだったよ。少しはトラウマになってくれてると良いんだけど」


「クラリネットはリード安いからいいじゃん?サックスは高いのよ。ま、ダメになったやつだけどね。」


「1年でしょ、思わず引っこ抜いたの。勝手に盗んで悪かったけどさ。」


「おかげで吹奏楽部は被害者みたくはなったんじゃない?」


「松脂が一番痛かったかね。海原が思いついたんでしょ。」


「コントラバスも被害ないとまずいかと思って。でもあれ部室の古いやつだから。ただ撒くのは大変だったよ。奈津と2人で先輩くる前に仕上げたんだからドキドキだよ。」


「マミュマミュいじったのは不味かったんじゃない?今日、蟹江先輩見て青ざめてたわよ。」


「パーカスがティンパニのねじだけじゃ不味いじゃん。」


「とりあえず、アレどうにかしよう。」


「科学部にバレる前に隠そう。持って帰ればいいじゃん。」


「蟹江先輩が騒いだらどうすんのよ。」


「随分前から紛失してますとかそんなの知りませんで通るよ。大体、もう蟹江先輩は外部なんだし、怯える必要ないわよ。」


突然音楽室のドアが開き、背の高いメガネの男が現れた。


「はーい。外部の蟹江でーす。お探しのアレとはコレですかね。」


蟹江は両手に一つずつ強力吸盤フックを持っていた。後ろには如月、佐田、間中、戸村。


中の吹奏楽部2年生達は黙り込みしばしの静寂が音楽室を覆った。

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