大学生な妹が実の姉と
~大学生な妹が実の姉と~
「ねーえーさん」
ノートパソコンに向かって作業していた姉・アミの背に、ユミカは甘えるように抱き着いた。軽く伸びをして振り向いた姉についばむようなくちづけをして、彼女はお菓子の箱をかさかさと揺らす。
こてんと傾げる仕草で甘えてみせて、口に乗せる音はいつもより少しふわふわと。
「ポッキーゲーム、しよ?」
「うふふ。どうしたの?今日は甘えんぼさんなのね」
「せっかく久々に姉さんの家にお泊りなんだもん」
大学を卒業してからすぐに恋人と同居を始めた姉のもとに、彼女は時折こうして遊びに来ている。今日は偶然にも11月11日というおあつらえ向きな日だったので、いつもよりも甘えたくなったのだ。
妹の愛らしいおねだりを、姉はもちろん断らない。
袋から取り出した少しビターな一本をふたりで左右から咥えると、熱いまなざしが絡み合う。
噛んだ時に落ちてしまわないように、唇をゅ、と閉じて支えながら、ふたりはゆっくりと甘いクッキー菓子をほぐしていった。
さくさく、さくさくと近づくふたりの唇は、やがてあっさりと重なる。
形の残った真ん中をふたりの舌が取り合って、戯れる嬌声がちゃぴちゃぴと鳴った。
やがて、とっくにお菓子がもうなくなってしまった頃に、ようやくふたりは顔を離す。名残を惜しむようにもう一度わずかに触れて、それからそろって笑った。
「御剣さんとは、もうこういうことしないでしょ?」
ユミカの手が、姉の手をそっと包む。
すっかり体温になじんだ白銀の指輪をなぞる妹に、姉は優しいくちづけで応えた。
―――とんとん。
と。
ノックの音。
『アミ、ユミカちゃんを見てないかい?』
「ああ。いま一緒にいるわよ」
扉の向こうから聞こえる妻の声にアミはあっさりと答える。
彼女はユミカと顔を見合わせ、最後にもう一度だけくちづけを触れてから、いつもの仲良し姉妹に戻った。
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